復讐のチャンス

トレーダが怒鳴り声を出したため、会場はざわつき出した。


こうなることを知っていたかのように、アリシヤは落ち着いた口調で会場に響き渡るような声で話し出す。


「お静かに願います」


可愛らしい容姿であるアリシヤから公爵家の令嬢としての威厳のある声が響き、会場のざわつきは収まり、皆はアリシヤに注目する。


「トレーダさん、どうかなさいましたか?」


アリシヤはトレーダを見ながら言った。


トレーダは俺を睨んでいたが、アリシヤに言われて動揺する。


「私の執事であるマスフェスがどうかなさいましたか?」


黙っておどおどとしているトレーダにアリシヤが続けて問いかけ、周りの注目がトレーダに移る。


「お、俺は彼に殺されそうになったんです!」


なんとトレーダが俺に殺されそうになったと嘘を付いたのだ。


ふざけんな、お前が俺を裏切って殺そうとしただろ。と俺はトレーダの発言に苛立っているとアリシヤが言う。


「あら、私はマスフェスが貴方に裏切られたと言っていましたよ」


「ち、違います! 下民なぞに騙されないでくださいアリシヤ様!」


トレーダは必死にアリシヤに訴えかけ、再び会場はざわめきだす。


よくそんなに堂々と嘘を付けるな、グズ野郎。と俺はトレーダを睨みながら思っているとアリシヤが笑みを浮かべながら提案する。


「では、真偽は勝負で決めませんか?」


アリシヤの提案に会場からは賛否の声が上がり、自然と俺とトレーダが勝負をする流れになっていた。

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