盗賊を狩る

「ストライク」


俺はアリシヤの要望に答え、対象物に攻撃を素早く、確実に当てる魔法であるストライクを使って盗賊の首を跳ねた。


俺が盗賊の首を跳ねるのを見て、男性の冒険者は吐きそうな表情をし、女性の冒険者は地面に吐いていた。


「本当に綺麗な斬り口ね」


アリシヤはしゃがんで目の前に転がってきた盗賊の首を見ながら言った。


盗賊達は先程までの威勢を失くし、怯えた表情をしていた。


「マスフェス、残りの盗賊を全て殺してちょうだい」


アリシヤが俺に言い、俺は魔法を使わずに次々と盗賊を斬殺していくと、一人の盗賊がアリシヤに向かって走る。


俺はアリシヤに近付く盗賊の剣を握っている右手の手首を斬り落とす。手首を斬り落とされた盗賊は土下座をして命乞いを始める。


「たのむ、許してくれ! 金ならいくらでもやる、だから命だけは!」


「うーん…じゃあそこにいる盗賊を殺してみてよ」


アリシヤは命乞いする盗賊に、仲間割れをして仲間の盗賊を殺すように言った。


命乞いをした盗賊は落ちている剣を握ってもう一人の盗賊に襲いかかる。


命乞いをした盗賊は「やめ…」と叫ぶ仲間の盗賊を剣で斬り殺した。


裏切られた盗賊は血を流して倒れ、アリシヤはまた、俺に指示を出す。


「マスフェス、その者も殺してちょうだい」


「は? どういうことだよ、見逃してもらえるんじゃ…」


命乞いをした盗賊はアリシヤの発言に困惑してアリシヤに言った。


するとアリシヤはグウウ、と腹を鳴らせながら困惑している盗賊に言う。


「見逃すなんて言ってないわ、貴方が勝手に勘違いしたんでしょ」


俺はアリシヤの指示に従い、逃げようとしている命乞いをした盗賊を斬殺した。


盗賊を殺した後にアリシヤはお腹を触りながら俺に言う。


「マスフェス、お腹すいた!」


「嬢ちゃん、ちょっと待っててくれ」


俺は血のついた剣を布で拭いてから鞘にしまい、血で汚れた白い手袋を予備の手袋と替えて、バックに手を入れて食べ物を取る。


「クッキーでもいいか?」


「うん!」


俺がバックからクッキーを取り出すと、アリシヤは嬉しそうにクッキーを手にとって美味しそうに食べている。


「美味しぃ~」


アリシヤは頬を両手で触りながら言った。


美味しそうにクッキーを食べているアリシヤの顔は可愛らしく、あんな悪趣味を持っているなんて思えなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る