悪趣味

盗賊が襲ってくるのを見て、アリシヤがおぞましい笑みを浮かべながら俺に指示を出す。


「マスフェス、この者にインテンスを使って」


アリシヤの言葉に俺は正直驚いた。


なぜならインテンスは対象物に連続で六回当てる魔法で、剣で発動すると対象物に連続で六回斬り刻むことになり、鎧を着ていない人間に使えば惨いことになるからだ。


しかもアリシヤの笑みはそれを知った上でおぞましい笑みを浮かべていたのだ。


「趣味が悪いな嬢ちゃん…インテンス」


俺はインテンスを使って盗賊を斬り刻んだ。案の定、俺に斬り刻まれた盗賊は惨い姿になって息絶えて倒れた。


俺が殺した盗賊の死体を見てアリシヤは満足そうにしていた。


「まさか、お前…剣豪マスフェスか?」


「そうだが、何故俺が剣豪だと分かったんだ?」


盗賊の一人が確信した様子で俺に言ったので、何故俺の事が分かったのか気になって盗賊に問いかけてみた。


「なあ、マスフェス。俺らの仲間になんねぇか?」


「断る」


盗賊は俺の質問を無視して話を続けた。アリシヤに仕えていた方が得だと判断した俺は、無視された事に多少は傷付きつつも盗賊に答えた。


「そうか、それは残念だな!」


「マスフェス、今度はストライクで首を跳ねて!」


盗賊はそう言いながら俺に駆け寄ってきて、アリシヤは子供のような無邪気さで俺にお願いしてきた。

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