第10話 コミット・マーケット
「えぇっと、つまりクラムちゃんの話をまとめると……
ハテシナが異世界転移した先で予定調和を定める神の本を破ってしまい、
そのせいで神の本によって強引に束ねられてた各異世界が自治国と化して、
今では異世界同士の侵略戦争が勃発してるって事だな?」
「そうですよ〜!私は神の子文庫で読みましたけど、
もうこの主人公の子がブチ切れちゃって!」
ハテシナ、お前は異世界転移して一体何をやらかしたんだ……
「神の本がバラバラになった影響で世界は離れ離れになってしまったし、
ページが不整合なので異世界転移・転生時の時系列も歪んでしまっていて。
歴史を一旦整理する為に、新しい本が必要なんですよ」
「新しい本っていうのが、この書籍化の事か?
そうすると最後に残った表現者の思い通りに、
歴史が書かれるってことか……」
「おそらくそうだと思います!
侵略戦争をして無駄に多くの血を流すよりは、
各国代表の表現者同士で戦う方が良いだろうという事なのかと」
「その表現者っていうのが、
俺みたいな力を使える奴なんだよな?」
「そうです。
昔は文字を扱う予言者と巫女しかいなかったんですけどね。
神の本から解放されて表現力が多様化したので、
表現者っていう括りになりました!
チームの条件としては、表現者が最低でも1人は必要。
あとの2人はどちらでも構いませんが、最大3名までです」
「立て込んだ話の途中に悪いんだけどさ。
なんで僕がメンバーに入ってる訳?
なにかの間違いじゃないの」
確かに……
俺は表現が使えると判明したが、
ハテシナレイはそんな事もなさそうだし、俺との接点だって一切ない。
「神が定めた参加者名簿にはバッチリ載ってますよ?
タクオさんと、レイさんと、ツカサさん……
チーム名が、コミット・マーケットですね」
結果にコミットせねばならない感じの名前だ……
新刊を絶対に落とせなさそうで嫌過ぎる。
「へぇ〜!なんか楽しそうだな!
俺はやってもいいぜ!」
一応世界の命運が懸かっているらしいが、
この脳筋司書は本当に考えなしだな……
命の危機が訪れたのを、もう忘れ去ったというのだろうか?
「開催地として指定されたこの世界に、
おそらく各国代表が現れると思います。
3人とも、頑張ってくださいね♪」
そう言って微笑む、クラムちゃんの笑顔が可愛くて……
俺もツカサ同様、考えなしに頑張る事を決めてしまった。
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