5 風紀委員(風)剣士の呪縛
剣の道を志す者は挙って入門を試みるも、スパルタっ
そんな噂に違わぬ、
その前に今、
別に、好きで来た
部室にて行われた、『
そこでアイデアを出さずにいたら、締め出されたのである。
その
決して、ディスりたいのではないが。
まさか、主に無口な
いや、
せめて、
そう自らを奮い立たせ、インター・ホンを押さんとする。
と、そこまで来て、遅ればせながら気付いた。
ともしなくても現在、
という
骨折り損のくたびれ儲け以下ではないか、と。
「……帰ろ」
落ち込んだ末に、諦める
丁度、もう日も暮れる。
そろそろ、下校時間ではないか。
今からスカウトに行っても、絶対に間に合わない。
潔く、この場は引いておこう。
そう開き直り、背を向けた、まさにその時。
「うんぅ?
見ない顔じゃな?
お前さん、
一体、
突如、
そして、それすらも優に上回る威圧感、風格。
繰り広げてきたであろう数々の激戦をイメージさせる、顔の傷による隻眼。
極めつけに、ラスボス感半端ない立木ボイス。
そんな、歴戦感、ベテラン感が迸る、バリバリ最強っぽい猛者が、背後に立っていた。
「んぅ?
その制服……。
お前さん、
顔を近付け、何故か鼻まで利かせ、質問する大男。
どうやら
そして、
部活仲間未満だし、クラスメートでもない。
そこまで親しい間柄でもなければ、友達として自然な同性ですらない。
現状、自分達の関係と説明する、最適な表現が見当たらない。
そもそも、『関係』などと言い張るには、付き合いが希薄すぎる。
よって、詰みである。
「えっと……」
「プリンの
「え?」
「プリンの
男なら、はっきりせんかい」
言い
しかし、肝心な質問内容が、意味不明だった。
まるで、プリンが生き物みたいではないか。
そんな、恐怖の山じゃあるまいし。
そして先日、
自分はそんなに、ナヨナヨしているだろうか。
どちらかといえば、二人がワイルド
ムードを緩和する
いや、
腕を組み、
ハッタリなどでは、断じてない。
こうなった以上、仕方が無い。
正直に答える他
「まぁ……はい」
「どっちじゃ?」
「好きです」
「どういう意味でじゃ?
もしくは、あれか?
一生とか、毎日とか、そういう感じか?」
「そこまでではないです。
普通に、週1ペース
「そうか」
答えに満足したのか。
「
じゃが、手土産も
菓子と茶ぁ
お前さん、日本茶と紅茶、どっち派じゃ?」
「紅茶、です」
「それは好都合。
ここだけの話、
丁度、一服しようとしていた所じゃ。
忙しかろう時間を縫って
お前さんの分も、用意させちょくれ。
それに儂は、お前さんを大層、気に入った。
初対面で、あそこまで儂に物怖じせず答えて来た。
そんな男は、久方
それくらいの歓迎は、させてくれ」
がははははと豪快に笑い、
クイッと顎を上げ、目配せをして、
何というか。
怖いのは面だけで、その実かなり気さくらしい。
であれば、断る理由は
「あら?
こんばんわでございまする。
奇遇でござんすね。
あなた様のご実家も、この近くでありんすか?」
不意に後ろから、奇妙な言葉遣い。
振り返った先には、思った通り。
こうして、
「おぉ、『
今、帰って参ったか。
学業、お疲れ様じゃけぇのぉ」
「ーーえ」
「……あ」
思わぬ形で、
「……改名、ですか」
「はいでやんす。
丁度、中3の誕生日に。
今では、15にさえなれば、子供だけでも安価、短期間で可能なので。
住民票に、振り仮名も
といっても、お聞きになられはった通り。
客間にて
そのまま苦笑いし正座しつつ、綺麗な所作でケーキを食べ始めた。
「家は代々、和風でありまして。
それを、父は
結果、それが行き過ぎ裏目に出て、『
それ以外にも、幼少の自分より色んな言葉遣いを教わった結果。
人前では、この
おまけに、
まっこと……
「まぁ……うん……」
これはもう、同情しか沸かない。
そして、思い返してみれば。
確かにこれまで、
それどころか、彼女の父や、
といっても現状、そこまでの関係性を築けていないだけかもしれないが。
更に言えば、彼女の一人称。
彼女は、自分を『
彼女には申し訳ないし、決して本人に面と向かっては言えないが。
それは彼女の、凛としたイメージとは
お世辞にも、似合ってはいなかった。
和風な見た目に合わせて、『自分』、大穴で『拙者』。
騎士の
もしくは、お嬢様みたいな口調に寄って、『
きっと、本来であれば、その辺りなのだろう。
それらを捨て去ってまで、あざとらしい一人称を選んだ
そこには、「過去の忌まわしい
そんな、彼女の祈りが見え隠れしていた。
「とまぁ、そんな
そこを出されると、
古今東西、様々な作品こそ
英語を冠していない、一文字も出ない特撮など、存在し得ない。
特撮じゃなくても、
正直、『
そんな、ダイダロスの血みたいなのは、非日常的
それに付随して生じる、彼女の気苦労は、
そもそも、そんな調子では、『トッケン』の名を口にする
「……あれ?」
ーーではなかった。
「
今、『トッケン』て……」
「は、はい……。
こんなの、前代未聞です……」
そこに関しては、ノー・コメントだった。
そう断ずれる
理由が分からず、自体が飲み込めず、困惑する2人。
「もしや……。
どれだけ嫌がっても、突き放しても、来る日も来る日も。
……耐性が、
……外国語は無理でも、カタカナならば、言える程度に……!?」
……んな、アホな。
口を衝いて出そうになった言葉を、どうにか押し留める
真偽の程は定かではない。
未だに、半信半疑では
「スマホ、スマホ、スマホ!
ケータイ、ケータイ、ケータイ!
ホイップ、ジェラート、カスタード!
あぁ、あぁ……やはり、そうです!
和製英語やカタカナ、スイーツならば、口に
お喜びくだされ、
闇は、
「……ヨカッタデスネー」
「はいっ!!
とってもっ!」
そのまま彼を立たせ、経験も
「という
これからは
「へ?」
「さすれば、更に呪いが薄れるやもしれん
ここは一つ、人助けだと思って!
どうか、よしなにっ!」
そんな簡単に行くかなぁ。
と不思議、不審がる
が、ここで断り、水を差すのも気が引ける。
また、それによって
となれば。
残る道は、一択のみ。
「……
「はいっ!!」
だが、この成果を、どう
きっと、何を言っても、信じては
こんな、「百聞は一見に如かず」を地で行く
「これは、あれですわねっ!!
今風に言えば、『
そんな中、更に状況が
「……あ、あれ?
な、
いや、揚げてはいるがっ!」
目を抑え、脳をフル回転させる
やがて、仮説を導き出す。
「もしや……チャラチャラしたカタカナは、対象外……!?
この血が、無意識に拒絶反応を示しているとでもいうのか……!?
くっ……
……どういう基準なんだろうか。
あと厨ニ、コント感が凄まじい。
そう思いつつ、
本人は至って真面目だし、実際に呪い(?)が発動して入るらしいし。
知らんけど。
「あ……あるぇ……?」
不意に、フラフラとよろめく
慌てて受け止めた
彼女は、綺麗な顔で、スヤスヤと眠っていた。
時刻は、夜の7時
女子高生が眠るには、やや早い時間帯だが。
どうやら、彼女は生粋のロング・スリーパーの
「……」
そのまま床に寝かせ、父に声を掛け、
が、誰一人として、さほど信じて
無慈悲だと思う反面、無理も無いよなと、
翌日。
部室にて、寝落ちした
他の部員とも話し合った末、
本格的に復活したら、正式に仲間となる運びとなった。
そんなこんなで。
これで、部員は4人。
残るは、あと1人。
なのだが……。
「ちょっ……押すなって!」
「あんたこそ、大人しく引っ込みなさいよぉ!!」
「
あなたの
「
抜け駆けすんじゃねぇ!!
「
カラオケとかさ!」
「決まりー。
親睦会も兼ねて、派手に騒ごー」
「んじゃ、オタくん
こっちはこっちで、かってにやってるからー」
「インチョは貰ってくわ!
取んなよ!」
「だ〜か〜ら〜!
抜け駆けすんなってんだろがぁっ!!」
特撮に明るくないなりに力になろうと奮闘し、声を掛けまくった結果、募った野次馬
その数、
その目は一様にして、ギラついていた。
どんな手を使ってでも、『トッケン』とやらに席を置いてでも、意中の相手を横取りさせてなるものか、と。
「……ねぇ、
この前の、『
悪いけれど、守れそうに
「……」
色々と
しかし、満場一致で最難関認定されていたマドンナ、
折り返し前日である3日目で、彼らの望みは今、断たれようとしていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます