第394話 お部屋で身内男子会

あの後、そのまま高級店で食事をする事に。着けられた事を、申し訳ない雰囲気で謝り牧田とアーサーが奢ると引かなかったのだ。全力で遠慮したのに。


蒼夜は、忙しいのか素早く帰ってしまった。


「帰りましょうか。景色も食べ物も、それなりに楽しめましたし。ちょっと、遊び疲れました。」


瑠衣は、狐面を確認してから立ち上がる。


「まあ、瑠衣がそう言うなら俺も何も言わない。」


時矢は、落ち着いた雰囲気で立ち上がる。神崎も、同意する様に頷いて荷物を手に取る。


ホテルに戻り、荷物を置いてベッドに座る。


夕飯には、まだ早く静かな時間が訪れる。瑠衣は、写真を見ながらぼんやりしている。見終わると、ベッドに寝転がり公式サイトを流し読みする。


「これは、癒しが足りませんね。」


そう呟くと、YouTubeを開いて丸々モフモフの動物の動画を見る。家の柴犬2匹とリル達に、心の中で浮気じゃないと言い訳しながらも見る。


可愛いは、正義です!可愛いは、癒しです!


僕にとって、即効性のある特効薬なのですよ。むふふー、やっぱり癒されますね。軽い、現実逃避に持ってこいなのですよ。可愛い…、良いですね。




その頃、牧田とアーサーの早い帰りに驚くゲスト。2人は、苦々しく理由を言うと険しい表情。


とても、落ち込む牧田と苛立ちを隠せぬアーサー。


「子供達に、怖い思いをさせてしまった。」


「楽屋から、着けられたら回避は無理っすよ!」


時矢は、無言で考える雰囲気である。


「少しだけ、様子を見て来る。」




ドアをノックされ、素早く仮面を着けて警戒する。しかし、時矢の声に少しだけ落ち着いた雰囲気。


「すまん、入って良いだろうか?」


瑠衣は、警戒しながらも時矢を部屋に入れた。そして、画面を外してベッドにボフンっと倒れる。


「こらこら、はしたないぞ。」


「このベッド、とても寝心地が良いのです。」


瑠衣は、枕を抱きしめてゴロゴロ。時矢は、思わず笑ってしまう。また、ノックがして神崎が来る。


「この部屋、飲食って大丈夫でした?」


「電気ポットあるし、大丈夫だと思うけど。一応、確認してみるか?ちょっとだけ、待ってくれ。」


時矢は、スマホを取り出して言う。


「ん?何だ、甘味を所望か?」


神崎は、悪戯っぽく笑って言う。


「辛いものでも、酸っぱいものでもどうぞ。」


瑠衣は、冗談っぽい雰囲気で枕を抱えたまま座る。隣に、神崎が座り笑い転がる様にベッドに倒れる。時矢は、少しだけ呆れた雰囲気でそれを見ている。


「お前ら、その珍味に俺を巻き込むなよ?」


許可が出たと、その後に笑いながら言う。


「「え?」」


瑠衣と神崎は、何だって?の雰囲気で言う。


「俺は、食べないぞ!?」


とか言いつつ、しっかり付き合ってくれる時矢。


「不味くはないけど、旨くもない!」


神崎は、微妙な表情で言う。


「み、味覚が…」


「こういうのは、まっちゃん案件だろ!」


口を押さえ、俯く瑠衣と酷い目にあったと、思わず上を見上げる時矢。3人は、小さく笑うのだった。


すると、ノックして牧田が呼んだか聞いてくる。


「せっかくなので、牧田さんも食べません?」


瑠衣は、明るくわらってゲテモノを差し出す。牧田は、キョトンして食べた事があるのか笑う。


「お前ら、俺に負けず劣らずのチャレンジャーだよな。しかも、この量まで減らすまで頑張って。」


「まったく、何アホな事をしてるんっすか。」


怒気が抜けたのか、ため息をついて笑うアーサー。そのまま、2人も椅子や壁に背を預け食べる。


「こ、これは…衝撃的な不味さ。」


「アーサー、語尾忘れてるぞぉー。」


呻くアーサーに、牧田はケラケラと笑いながらパクパク食べている。流石は、一時的にゲテモノハンターとしても有名だっただけはある。強者感がある。


「うわぁーん、僕は普通の食べたいです。」


瑠衣は、お茶で口の中身を流してから言う。


「誰っすか、こんなゲテモノ買ったのは!」


アーサーは、余りの辛さに涙目である。


「俺じゃない、俺を見るな。元凶は、神崎だ。」


時矢は、さりげなく渡された皿をパスして言う。


「俺も、楽しめたから満足かな。」


神崎は、爆笑しながら言う。


「わぁー!駄目っす、責任取るっす!」


皿を慌てて、神崎に押し付けてアーサーは言う。


「まあ、そんだけなら俺が後で食べる。」


牧田は、優しく笑って受け取るのだった。そして、瑠衣はお口直しにクッキーを出す。この後、夕食があるので量は少なめ。あくまで、お口直しである。


「み、味覚が戻ったっす…。」


涙目で、クッキーを齧るアーサー。


「いやー…、酷かった。」


お茶を飲みながら、笑う牧田。


「まったく、何であんなゲテモノ買ったんだよ。」


時矢は、苦笑して神崎を見る。


「うーん…、強いて言えば好奇心!」


「お願いですから、その好奇心は一生閉まって置いてくださいね。僕達を、巻き込まないですよ?」


元気よく、明るく言った神崎に困ったような笑顔で釘を刺す瑠衣。神崎も、流石に辛かったのか頷く。


その後、部屋を移動する。牧田とアーサーは、ゲスト側に戻って行くのだった。いつもの雰囲気に、戻った2人に運営は安堵する。勿論、蒼夜も嬉しそうだ。ゲストも、優しく笑顔を向けている。


食事をして、明日のスケジュールの確認をするのだった。全て、スケジュールは順調であった。


そして、2日目が始まろうとしていたのだった。

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