第393話 イベント開催と恐怖

さて、運営の招待で空港に僕達は居ます。


「凄く眠いなぁ…」


神崎君は、眠そうに欠伸します。時刻は、5時過ぎで人数も少ないです。ちなみに、4時くらいに起きて家から出ているのです。車で、空港に移動。


運営さんの車で、帰りも迎えに来るとの事です。


無事に飛行機に乗り、宿…ホテルにチェックイン。今回は、一人一部屋みたいで貸し切りだそう。


さて、最小限の荷物で狐面をつけて歩く。


あー、運営が呼んだゲストさん達が居ます。彼らもここで、宿泊するみたいですね。


視線が、とても凄いです。


「大丈夫か?」


時矢が、心配そうに言う。


「あの、少しだけ視線が怖いです。」


すると、さっと視線が消える。厳密には、気になるけど意識して見ない様にしてくれている。優しい人達に、少しだけホッとして申し訳ない雰囲気で礼を言う。すると、気にするなとごめんねの雰囲気。


取り敢えず、神崎も来たので別室で運営が用意した弁当を食べる。どうやら、瑠衣達の分まで用意したそうだ。食べて、そのまま会場へ行く。


「いつものイベントと、変わりのないイベント。」


神崎は、退屈そうな雰囲気で呟く。


「今回は、景色とお店に力を入れてるらしい。」


時矢は、スマホをマナーモードにして言う。それを見て、瑠衣も慌ててマナーモードか確認する。神崎は、電源を切ったらしい。LINEがうるさいから。


確かに、景色は綺麗でしたね。


さて、えっと次のイベント場所はアメリカ!?なるほど、アメリカ本社最後のイベントなのですね。えっと、本社じゃなくなるから最後に盛り上げると。


まあ、流石に外国には行きません。


なので、動画で盛り上がろうと思います。さてと、新しいマップ解放ですか。ずいぶんと、間が空きましたね。取り敢えず、綺麗なマップですね。


あれ、ベータ版といろいろ違う様な…。


なるほど、此処で過去データを覆してきましたか。僕達みたいな人が、簡単にクリア出来ない様に。これは、面倒ですね。いえ、全てを変えることはしないとは言え。これは、厄介過ぎますよね。


取り敢えず、いろいろトークショウも終わり。昼ご飯を食べる為に、ぶらぶらと食べ歩きする。


「この肉、美味しいな。」


豚バラ串を食べながら、呟く神崎。ビール片手に、ポテトを食べる時矢。お茶を飲みつつ、景色を楽しむ様に写真を撮る瑠衣。わいわいと、進んだ。


すると、途中で牧田とアーサー合流。2人とも、上手い具合に変装してて別人みたいですね。


そして、オシャレな室内店に。


今回は、大手から中小企業まで呼ばれてる様。流石に、高級レストランも参加してた事に驚きを隠せません。やはり、大物がたくさん来てますからね。職業問わず、皆さん楽しそうです。良い雰囲気です。


取り敢えず、どこで昼ご飯を食べましょうか?


「なあ、ルイス。」


「はい?」


あれ、プレイヤーネーム?


「着けられてる、気をつけろ。」


牧田は、真剣な雰囲気で言う。


「一般人だね。厄介…」


アーサーが、いつもの語尾を消して仕事の口調。


「そこの、高級レストランに逃げましょう。事情を説明すれば、追い出されはしないでしょう。」


無言で、頷く牧田とアーサー。


すると、偶然に聞いていた男性が話を通してくれていた。瑠衣は、隠す事なくお礼を言うと、無言で頷き慌てるように通してくれた。笑顔で去る男性。


オーナーさんも、個室に匿ってくれた。男達は、高級レストランにびびった雰囲気だった。しかし、残念ながら欲の方が勝ったらしい。店員に、話を掛けるが…摘み出されてしまった。再度来るも、警備員を呼ばれて連行されて行った。とても、怖い。


しかし、助けた男性が写真付きでこの行動を拡散。


勿論、瑠衣達の事は何も書かれておらず、写真にも載ってない。配慮されていて、お店側の対応にも優しいコメントが来ていた。マナー違反、駄目絶対!


いくら、有名人を見つけても考えなしは駄目だ。


子供2人が、怯えて震えてて不安そうにしてた。大人達は、子供達を守ろうと必死そうだったと書かれている。彼は、それなりに有名なスキー選手で、自分も苦労したから助けたいと動いたと書いてある。


そして、皆んなにも困っている人は助けようと呼び掛けていた。とても、良い人である。嬉しい。


牧田は、高級レストランでそれを見つける。


瑠衣は、少しだけ考えてコメントを打つ事にする。


『先程、助けて貰った子供の一人です。とても、怖い思いしたのでさり気ない優しさを、とても嬉しく思います。本当に、助けてくださりありがとうございました。僕も、助け合いたいと思います。』


すると、男性は驚いたのか直ぐに返信。


『あの後、大丈夫だった?怪我とか、してない?おじさんも、ずっと着けてるの見てたから心配で。自信がないから、言い出せなくて。助けるのが、遅くなってごめんよ。イベント、皆んなで楽しんで!』


『怪我等は、ありません。その勇気に、助けられました。本当に、ありがとうございました。』


すると、心から安心した様なコメントが本人とフォロワーさんからくる。うんうん、ほっこりですね。


さて、一件落着…。


とはならず、後の話ですが…


僕達を、着けた人達の身元が割れてしまいました。


5人とも、大学生で退学処分だそうです。5人のうち、2人は就職先も内定していたのに、内定取消しになったのだとか。再就職も、苦戦していると。


特定班、怖すぎませんか!?


なんか、コメント欄でやり切った感を出したコメントしてますが。ネット怖いです。いつか、僕も身元がバレてしまうのでしょうか…例の件で、僕の正体を探る人が多数いると分かり怖さが消えません。


お金を払ってでも、知りたい人がいるんですもん。ワールドクラッシャーズは、僕の正体を調べる金をリスナーからスパチャでお金を受け取ってました。


おそろしい…。


知ったところで、無意味だと思ってました。けど、裏ゲーマー業界では喉から手が出るほど欲しい情報なのだそう。勧誘や交渉に、使われるからだとか。


詳しくは、知りませんし教えて貰えませんでした。さて、これからどうしましょうかね…。


瑠衣は、無意識に身震いしてから深いため息をゆっくり吐き出した。神崎も、疲れた雰囲気である。


「お邪魔する、大変だった様だな。」


蒼夜が、本当に心配そうに来る。どうやら、お店側が直ぐに運営さんに報告してくれた様である。


「何故、バレたんでしょう?」


「楽屋から、ずっと遠巻きに追ってたみたいだ。動画を撮ってて、後で編集しようと思ってたとか。」


蒼夜は、不愉快そうに言う。


「警備員に、知り合いが居たんだと。見るだけを条件に、近くまで連れて行ったらしい。勿論、警備会社に苦情入れた。怖い思いをさせたな…。」


「マジ、楽屋からなら隠れられないじゃんか。」


牧田は、嫌そうに呟く。


「クソッすね。」


冷たい雰囲気で、短く呟くアーサー。


取り敢えず、警備の強化はしてあるとの事。ホテルは、安心して良いのだろうかと不安な瑠衣。ホテルの警備会社は、ホテル側が契約してる評判が最高に良い場所なのだとか。瑠衣は、ホッとしたのだ。

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