第389話 ケルベロス
さてと、ケルベロスですかぁ…。とても、有名な怪物が出てきましたね。冥府の番犬ケルベロス…。
ケルベロスは、ギリシア神話に登場する犬の怪物。
その名の意味は「底無し穴の霊」を意味します。
ケルベロスは冥府の入り口を守護する番犬です。『神統記』の中で、50の首を持ち、青銅の声で吠える恐るべき猛犬として描いていますが、普通は「三つの頭を持つ犬」というのがケルベロスの一般像であり、文献によって多少の差異はありますが、主に3つ首で、竜の尾と蛇で構成されたたてがみを持つ巨大な犬や獅子の姿で描かれるそうです。
現在のゲームでは、3つ首の犬ですけどね。
「ルイス…は、考え中だな。放置で。」
グレンは、無言で考えるルイスを見て言う。
「だな。邪魔は、よくない。」
トモは、頷いている。
またハデスに対して忠実で、死者の魂が冥界にやって来る場合にはそのまま冥界へ通すが、冥界から逃げ出そうとする亡者は捕らえて貪り食うとされますよね。これが地獄の番犬といわれる由来です。
何か、伝説…伝説…。
神話におけるエピソードは、有名なわりには多くはないのですよね。えーと、前に読んだ本では…
ヘラクレスがケルベロスを捕えて地上に連れ出した話は有名でしょうか。この際にケルベロスは太陽の光に驚いて吠え、飛び散った唾液から猛毒植物であるトリカブトが発生したという話も残っています。
普段は3つの頭が1つずつ交代で眠り、残る2つの頭で常に見張りをしているが、竪琴の名手オルペウスが死んだ恋人エウリュディケーを追って冥界を訪れたとき、ケルベロスはオルペウスの奏でる竪琴の美しい音色によって全ての頭が眠らされています。
この神話が、楽師が条件さえ揃えば眠らせることが出来るのもとになった神話ですね。
「ルイスは、博識だもんね。」
エノクは、ニコニコと笑う。
「まあ、読書が好きだからな。それにしても、よく覚えてられるよな。俺には、むりだぜ。」
ハルトは、盾を地面に突き刺して座る。そして、各々の考えなどを話してみる。ルイスは、所持アイテムの確認を始めたので視線を向けるエノク達。
「どうした?」
「うーん…、少し考えがあるのですが。素材が、そもそもあったかなぁーと。確認中なのですよ。」
ルイスの言葉に、キョトンしている。
「何するんだ?」
「それは…」
ケルベロスは甘い物が大好きで、蜂蜜と小麦の粉を練って焼いた菓子を与えれば、それを食べている間に目の前を通過することが出来るのだとか。アイネイアースを連れたクーマイのシビュレーや、ペルセポネに美を分けて貰いに行ったプシューケーはこの方法でケルベロスをやり過ごしたとされます。ただし、プシューケーがケルベロスに食べさせたのは堅パン、シビュレーが食べさせたのは睡眠薬入りの酒に浸したパン(ソップ)だともいわれてます。
そして、後にこのことから厄介な相手を懐柔する賄賂の意で「ケルベロスにパンを与える」という言葉が生まれたのだとか。と言う訳で、睡眠薬か酒に浸したパンかお菓子なわけですよ。これ、罠の気配。
物によって、その後の対応が変わりそうです。
ちなみに、素材にランク指定されてません。これまた、罠の予感。そのかわり、報酬は良さそうです。
この世界、砂糖は割と普通に売ってますが、蜂蜜は希少品でかなりの高額です。お酒も、ランクが高ければ高いほど値段が跳ね上がりますからね。睡眠薬は、手ごろに手に入るので睡眠薬を安いお酒に混ぜて、パンにつけて渡す人が多いそうです。
ちなみに、罠部屋に案内されるのでやりませんよ。
僕達は、楽師が仲間に居たので過去にこのイベントに出会った時は、眠らせ素通りで上に行けました。
素直に、蜂蜜を使ったお菓子を作ります。
確か、まだやった人は居なかったはずです。甘い物が好きみたいですし、喜んでくれるなら嫌な思いをせずに済むし良い事なのです。という訳で、最高ランクの素材をどーん!失敗は許されませんね。
はい、料理人スキルさんのMAXパワー最高です。
「良い匂い!」
「こっちは、お酒が入っているので駄目ですよ?」
そう言って、お酒の入ってない方を渡すルイス。
「美味しい!」
「では、行ってみましょうか。」
ルイスの言葉に、全員が頷いた。
ルネッサンス時代のプラトン主義の哲学者達は、ケルベロスを地獄における三位一体の象徴と解釈したそうです。それによれば、3つの頭はそれぞれ、「保存」「再生」「霊化」を象徴し、死後に魂が辿る順序を示すのだとか。うん、よくわかりません。
さて、ゆっくりと立ち上がりこちらを睨むケルベロス。とても、威圧感を感じますがカッコいいです。
カッコいいのに、甘い物が大好きなんですね。
「なんか、普段のルイスみたいだね。」
「はい?」
何言ってるの?という雰囲気で、振り向くルイス。
「普段は無口で、クールだし甘い物が好きだし。」
すると、ハルトは確かにと頷く。
「エノク、察していると思いますが演技です。」
「うん、だよね。分かってるけど、思うのさ。」
取り敢えず、渡すと食べてくれましたね。では、素通り失礼します。と思ったら、あっちを通れと態度で示されました。では、行ってみましょうか。
うわぁ…、宝の山です。所謂、宝物庫へ案内されました。そして、一瞬で消えてしまう宝の山。
あ、アナウンスが…
『裏ボス、冥府の番犬を特殊クリアしました。初クリアボーナスと経験値を配布します。報酬は、メールから受け取りください。ケルベロスのもとに戻り、会話をしてから次に進む事をお勧めします。』
では、戻っておかわりでも渡しましょうか。
ちなみに、他の皆んなより多めの報酬が入ってました。皆んなも、意義はないし寧ろ報酬を渡そうとしてきたので、全力でケルベロスのもとに逃走です。
「えっと、良かったんですか?」
追加を置きながら言う。
『我には、必要ない物だ。』
『それに、すぐ追加されるからな。』
『滅多に、クリアされないのも理由だ。』
なるほど、申し訳ないので残りの作った残りのお菓子を置いていきましょう。さあ、進むのです。後ろで、食べてる音がしてますが気にしません。
あらま…ケルベロス居ますね。子供サイズですが。
「ケルベロスさん?」
後ろを振り向いて言う。
『ん?音楽で眠らせても、次は戦闘だろう?』
眠そうに、欠伸をしながら言う。
『睡眠薬なら、罠部屋にてボス戦だ。』
真剣な雰囲気で、ニヤリと笑う。
『美味しいお菓子には、褒美と経験値そして…』
愉快そうに、笑って含んだニュアンスの言葉。そして、全ての顔がルイス達を見つめて挑発的に笑う。
『『『試練を!』』』
「まあ、うん…そうだよな。」
グレンは、剣を抜き深いため息。
「少しだけ、苛つくな。」
「少しだけ?俺は、疲れたぜ。」
トモとユウユウは、呟く雰囲気で言う。敵は、子供サイズのケルベロスだけである。ルイスは、無言で薄く微笑む。そして、首の指輪を直している。
素早く暗殺者になり、火力バフを掛けるグレン。ハルトも、防御バフと肩代わりを発動。その他のメンバーも、バフを全力でかけている。ルイスは、短刀を抜くと全力バフを自身にかけて一振り。
ワンパン!
「次は、本体をやりましょうか?」
すると、扉が開かなくなる。そして、聞こえる謝罪
ルイスは、葛葉になり進むのだった。上に上がり、クエストをあっさり素早く終わらせる。
肩装備の秘伝書が宝箱から出てきて依頼達成。
外に出ると、追跡者達が驚いて悔しそうである。葛葉は、ゆっくり近づいてから威圧して去る。
そして、ロシアサーバに向かうのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます