第387話 ルイス不在なホーム

グレンは、珈琲を飲みながら無言である。いつもならば、ここにルイスが居て自然とメンバーが集まって、話す相手に困る事などない。しかし、ルイスが不在になると全員が仕事や趣味に全力で取り組む。


よって、ここは静かな場所になる。


いつもは、グレンが不在な場合が多くルイスが不在はとても珍しい。ルイスは、人付き合いが苦手なので友達と遊びに行く事もなかったからだ。


最近、外国人の友達が出来たらしい。ハルトと3人で、別サーバーに行ってしまった。


「つまらないな…。」


グレンは、小さく呟き机に突っ伏す。


「毎回、俺は放って行かれるから慣れた。俺が、静か過ぎるって言う意味が分かるだろ?まったく、困ったリーダー様だ。本人が超絶無自覚天然人たらしなんだよな。まあ、そこが良さなんだろうけど。」


深いため息を吐き出して言う。


「本当に静かなんだな…。」


グレンは、苦笑している。


「おう。それより、お客さんだぞ。」


トキヤは、頬杖をついてニヤリと笑う。


「暇だからきたー!」


「ハルト、不在だったけどルイスもか…」


ユウユウは、明るく笑いトモは苦笑する。


「取り敢えず、俺はまっちゃんと遊んでくる。」


トキヤは、チャットを確認してから言う。


「よし、乗り込むか。」


ユウユウは、チャットを打ちながら言う。


「いや、どう考えても迷惑だよな?」


「ソウダナー。」


思わず、ツッコミを入れるグレンと諦めた雰囲気のトモ。残念ながら、このメンバーのツッコミ兼ストッパーのルイスと、天然ながらもまとも枠のハルトは不在である。よって、暴走担当のユウユウを止めれる人がいない。そして、時間は過ぎて今となる。




グレン達は、葛葉達に近づく。


「やっほー、早かったな。」


ハルトは、笑いながら挨拶。葛葉は、やれやれと無言で微笑んでいる。エノク達は、ワクワクしてる。


「葛葉なのな。」


グレンは、キョトンして呟く。


「まあ、そうですね。さて、移動しますよ。」


葛葉は、ゆっくり立ち上がると微笑む。


「歩きながら、自己紹介だな!」


ユウユウは、テンションが上がる。


「ユウユウ君、手短に頼みますよ?」


「ぐっ、了解だ!」


釘を刺され、一瞬の思考停止。理解して、了承。


「この雰囲気、何か安心するな。」


グレンが言えば、トモとハルトは声出して笑う。エノク達も、釣られて笑ってしまう。賑やかだった。


「エノク、君もですからね?」


「はーい、ふふふ…」


楽しいのか、笑いながら言う。


「まったく…。」


葛葉は、頭を押さえながら呟く。


「頑張れー、葛葉。」


遠い目で、軽い雰囲気で応援するシュゼ。


「ちょっ、無理無理無理無理っ!」


葛葉は、慌てた雰囲気でシュゼを捕まえる。


「あははははっ!」


ユウユウは、大声で笑う。


「誰でも良いから、自己紹介してくださーい!」


葛葉の声が、空へと消えるのだった。


15分後…


大きな狐になって、前脚で踏み踏みする葛葉と下敷きになっているユウユウとエノクである。


「大きな狐にも、なれたのな?」


グレンの言葉に、小さくなってユウユウの上に着地する。葛葉は、獣人の姿に戻りため息。


「やろうと思えば。」


「そっか。」


露天で飲み物を買い、自己紹介をする。


葛葉は、疲れて無言で目を閉じている。トモとシュゼが、乾いた笑みを浮かべる。グレンは、ユウユウとエノクを呆れた雰囲気で見ている。


「葛葉、自己紹介が終わったぞ。」


「はぁ…、やっとですか。」


そう言って、ドイツサーバーに移動したのだった。

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