第386話 再会
僕には、少し前まで遊んでいたゲーム友達がいた。
でも、僕の事が嫌になったみたいだ…。
イギリスサーバーで、ギルドに登録する為に受け付けに行く。ギルドに入って、すぐに大勢に囲まれたことには驚いたけど。けど、皆んな良い人だった。
「葛葉、良い加減に話そうか?」
葛葉の肩に手を置いて、素晴らしい笑顔のエノク。
「あははは…、私は商人である事には変わりありませんよ?革命でも、商売しかしてませんから。」
嘘は言ってない、本当の事も言ってないけど…。
「葛葉の尻尾って、ふわふわしてて触り心地が良さそうだよね。ちょっと、触らせてくれない?」
すると、葛葉は尻尾を抱きしめてオロオロする。
「エノク?私は、革命ではそれなりに有名ですが。全ての革命に、出ている訳でも無いんです。」
「そうなんだ。」
あれ?嘘じゃない…。じゃあ、この違和感は?
「さあ、クエストに行きますよ。」
葛葉の言葉に、頷いて歩き出す。すると、見知った後ろ姿を見つけて少しだけ驚く。けれど、無言で小さく笑うとまた歩き出す。葛葉は、それを静かに見て何か考える雰囲気。ハルトも、何か言いたそう。
その人は、何かに気づいて振り向くが、エノクはギルドの外に出てしまう。その人は、慌てた雰囲気でギルドから出て追いかける。エノクは、驚く。
「エノク、久しぶりだな。」
「シュゼ…。うん、お久しぶり。」
エノクは、少しだけ困った雰囲気である。
「ずっと、謝りたかった。ずっと、一緒に遊んでいたのに周りに置いて行かれるのが怖くて。もう、一緒には遊べないなんて言って傷つけてごめん!」
葛葉は、納得した雰囲気である。ハルトは、無言で2人を見ている。エノクは、無言で目を丸くする。
「大丈夫、気にしてないよ。実はね、足を引っ張っている自覚はあったんだ。だから、また遊べる様になりたくて機械を探して日本まで行ったの。」
そこで、シュゼは普通に会話が出来ている事に気づいた。そして、心から良かったと笑いかける。
「それにしても、なんでお狐様と居るんだ?」
「リア友だからだよ。」
暢気に、答えるがシュゼは驚いて固まる。
「リア友…。取り敢えず、わかった。えっと、何かクエスト中なら俺で良ければ手伝うけど。」
エノクは、何のクエスト中か教える。
「それなら、俺も少し進めてて途中だし一緒にやっていいかな?その、迷惑じゃなければ…。」
エノクは、さり気なく葛葉達を見る。葛葉達は、優しく頷くと嬉しそうな2人。葛葉は、チャットを確認して無言で数秒間だけ見ると遠い目をする。
「葛葉?えっと、大丈夫?」
「コホンッ、問題ありませんよ。」
ハルトは、隣で笑いを堪えている。どうやら、チャットを確認したらしい。葛葉は、小さくため息。
「取り敢えず、乱入者が来る前に行きますよ。」
「えっと、葛葉のお友達かな?別に、気にしなくても誘えば良いのに。僕は別に、気にしないよ?」
エノクは、暢気に笑いかける。
「目的を達成するまで、まだ合流はしたくはないです。取り敢えず、ダンジョンに行きましょう。」
3人は、頷いてから歩き出す。
「そういえば、シュゼさんの職業は?」
葛葉は、落ち着いた雰囲気で言う。
「俺は、楽師だけど。サブは、追加されたばかりの占い師にした。けっこう、楽しい職業だな。」
考える雰囲気で、『まだ、よく分からないけど。』っと、笑うシュゼに葛葉は思い出す雰囲気。
「占い師は、ラック依存と呼ばれるくらい幸運値で左右される職業です。基本的に、力と速さは捨てます。幸運値と精神値、余裕があれば防御を上げるのがランカー達のスタイルですね。それにしても、特殊戦闘スタイル役職は解放基準が厳しめなのに、頑張って解放クエストをクリアしたんですね。」
すると、自分の努力を誉めてもらって嬉しそうなシュゼ。エノクも、自分の事の様に喜んでいる。
「ありがとう。その、葛葉は攻略組なのか?」
感謝しながら、素朴な疑問を聞くシュゼ。
「…一応。詳しくは、諸事情により話せません。」
目線を逸らし、困った雰囲気の葛葉。しかし、シュゼもエノクも深くは聞くことはせずに頷いて笑う。
「そう言えば、セカンドアバターだったね。」
「なるほど、所謂お忍びって事か。」
葛葉は、無言で頷いた事でこの話は終わった。
「いっぱい、鉱石が取れた!」
「ダンジョンって、報酬がデカイよな。」
2人は、嬉しそうにいう。ハルトも、ウキウキだ。
手装備の秘伝書を貰い依頼達成
「そろそろ、お昼のログアウトしましょうか。」
葛葉はシートを引き、簡単な机と椅子を出す。机には、お茶菓子とコーヒーセットを置いてログアウトする。ついでに、お手洗いなどを済ませていく。
「俺は、ここで待ってる。」
シュゼは、コーヒーを飲みながら座る。そして、1番に戻って来る葛葉。シュゼは、無言である。
「いくつか、聞きたい事があるんですが。」
「ん?えっと、何が聞きたいんだ?」
キョトンと、葛葉を見るシュゼ。
「エノクと、リアルについて話した事は?」
真剣な雰囲気で、葛葉が聞くので考える。
「ある。酷い虐めに、苦しんでいる事も。」
とても、息苦しそうに呟く。
「良かった。それなら、話は早いです。現在、エノクは日本の学校に居ます。が、滞在期限が迫っています。でっ、アメリカにそろそろ帰るんです。しかしながら、前の学校には帰りたくないという事。」
それで、葛葉が何が言いたいか理解する。
「それなら、俺の居る学校に来れば良い。数日がかりでしか、来る事は出来ないし自然も多くて寮もあるんだ。だから、基本的に守られているし。」
シュゼは、明るい笑顔で役に立てると笑う。
「では、シュゼさんから誘ってあげてください。僕達が提案するより、シュゼさんが誘ってくれる方が嬉しいと思うんです。今度こそ、彼を1人にしないでくださいね。これは、僕との約束ですよ?」
シュゼは、私語が僕なのに気づいて一瞬固まる。
「分かった。絶対にもう、1人にはしない。」
葛葉は、嬉しそうに笑うとコーヒーを飲む。
「…葛葉。お前は、人の痛み分かる人なんだな。知ってるか、人の辛さや痛みが分かる人は、同じ辛さや痛みを受けた事のある人が多いんだ。今のお前は救われてるのか?もう、辛くは痛くはないのか?」
優しい口調で、葛葉に問うシュゼ。
「僕を、僕だと肯定してくれる誰かがいる限り。僕は、壊れないし自分を見失いません。その肯定で、僕は自己肯定が出来てますから。幸いにも、僕を肯定してくれる友達や仲間が近くに居ますから。」
葛葉が、ノホホーンと笑えばシュゼも嬉しそうだ。
「戻ったよ。あれ、2人とも仲良くなってる?」
「さて、目的は達成したのですよ。」
そう言うと、チャットに目を通す。
「ギリギリでしたね。友達が、向かって来ます。」
「ああ、葛葉の友達だな。」
その言葉に、シュゼは思い出した雰囲気。
「葛葉達の友達かぁ〜、楽しみだよ。」
ハルトは、戻って来てその言葉を聞くと言う。
「早かったな。」
「3人とも、戦闘職ですからね。」
そう言うと、ハルトは笑うのだった。エノク達は、キョトンと話を聞いているのだった。
次回
グレン、ユウユウ、トモ参戦!
グレン「やっと、俺達の出番か。」
トモ「つ、疲れた…」
ユウユウ「追いついたぞぉー!」
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