第385話 聞きたい事…

暫く走り、治癒師の少年に話を聞く。


エノクは、ずっと葛葉に聞きたい事があった。もしかして、過去に虐められた過去があるのか?それをどうやって、乗り越えたのだろうか?そして、自分にここまでしてくれる理由はいったい何なのか?


けど、なかなか聞き出させずにいた。


洞窟探索が、クエストなので葛葉はドワーフと話に行った。どうやら、葛葉はとても詳しいみたい。


「ねぇ、ハルト。」


「ん?」


装備を確認してた、ハルトに聞いてみる。


「葛葉って、過去に虐められてたの?」


すると、少しだけ驚いてから考えるハルト。


「…聞いた話では、虐められてないらしい。あくまでも、小学校からのクラスメイトの言葉だけど。」


なら、虐められてはないのかな?


「で?何で、そんな事を聞くんだ?」


ハルトは、隣に座りながら言う。


「えっと、何て言うか。葛葉の言葉って、被害者の事を良く理解した言葉に聞こえるんだよね。」


視線を逸らし、苦笑しながら呟く。


「なるほど…。」


ハルトは、そう呟き黙り込む。


「何か、変な事を言ってごめんね。」


「2人とも、そろそろ移動しましょうか。」


葛葉は、暢気に言うが2人を見てキョトンとする。


「ん?えっと、私が居ない間に何かありました?」


少しだけ、心配そうな雰囲気で2人を見る。


「いや、特に何もない。」


ハルトは、いつもの笑顔で立ち上がる。勿論、それで葛葉を騙すなど不可能だ。観察力が高い、葛葉にとってはバレバレなのであった。エノクは、黙る。


「取り敢えず、受け付けで特殊アイテムを貰って、隣の酒屋で鉱夫さんと会話して来てください。」


ハルトは、もう一度だけ葛葉に確認して行った。


「それで、何であんなに不機嫌なんです?」


葛葉は、座りながら言う。


「えっと…。」


エノクは、勇気を出して説明する。


「でも、葛葉は虐められてなくて良かった。」


「エノク、君はヒーローは好きですか?」


葛葉の言葉に、キョトンとする。


「うん、大好きだよ。スパイダーマンとか!」


「では、質問ですが。ヒーロー物の悪役は、ヒーローが来たと同時に悪事を働くのですか?」


淡々とした、感情を感じられない言葉に固まる。


「もとから、悪事をしててヒーローが駆けつけると思う。と言うか、事前に防げた話は見た事ない。」


意味を察して、思わず青ざめるエノク。


「虐めも同じです。1つ違うとすれば、ヒーローはいつでも駆けつけてくれるとは限らない事でしょうか。さて、つまらない話しはここまでです。」


最後の言葉で、いつもの葛葉に戻り微笑む。


「僕は、虐められた時に大人が止めてくれてた。」


エノクは、ゆっくりと葛葉を見る。


「アメリカ人は、正義感が強いですからね。酔っ払いの喧嘩でさえ、争っている止めなきゃ!って割り込む人が多いと聞きます。良い文化ですよね。」


葛葉は、明るい雰囲気を崩さずに明るく笑う。


「そうだね。」


「葛葉、鉱夫なんて居ないんだけど?」


ハルトが、疲れた雰囲気で言う。


「店内の酒場で、酔い潰れているのでは?」


葛葉は、立ち上がるとエノクを見て言う。


「ハルト、方向音痴の疑惑ありですね。」


その言葉に、思う笑うエノク。


「聞こえてるんだけど。こらっ、葛葉。」


「あははっ。それでは、案内しますね。エノクも、一緒に行きますよ?早く立ってください。」


立ち上がった、エノクの背中を押しながら逃げる葛葉。ハルトは、冗談っぽいノリで怒っている。


楽しくなって、思わず笑うエノク。


「葛葉、僕ね。日本アニメで、一番好きなヒーローがいるんだ。名前は、忘れたけど大好きなんだ。」


葛葉は、キョトンとする。


「では、思い出したら教えてくださいね。」


「うん、わかった!」


3人で話を聞きに行き、洞窟に入るのだった。そして、あっさりと魔物を倒して戻ってきた。


「弱かったね。」


「まあ、推奨レベル100ですから。」


そう言って、歩き出す。


頭装備の秘伝書を貰い依頼達成。


アメリカ→フランス→中国


次は、イギリスサーバーである。




とあるグループのチャット

ブレイブ

弟が、リア友と遊び中なんだが気になる…。


ジェイド

リア友と?まあ、良い事なんじゃないか?


ルーカス

余り、心配する事はないと思うっすけど。


ロゼ

ルーカス、何でそう言い切れるんだい?


ルーカス

一緒に居るのが、葛葉だからっすよ。


ロゼ

あ〜…、なるほど。なら、楽しく遊んでるかも。


ジェイド

葛葉とリア友…だと!?


ロゼ

ジェイド?キャラ崩壊してる…


マッキー

待たせたな、マッキーさんだぜ!


ロゼ

待ってないから、帰って良いよ。


マッキー

酷いな!?


ルーカス

はいはい、待ってたから要件を言うっすよ。


ジェイド

この時間に、参加して来るのは珍しいな。


マッキー

烏丸から、動画が届いたから投げとく。


ブレイブ

おおっ!それは、とてもありがたい!


マッキー

だけど、一部切り取られてた…。どういう事だ?


ルーカス

うーん…。どういう事っすかね?


マッキー

分からん、烏丸は黙秘を貫いてるし。


ブレイブ

良かった、とても楽しそうじゃん!


ジェイド

…個人の秘密を、勝手に見せるのはマナー違反だ。


マッシュ

なるほど、それならば納得しますね。


マッキー

…なるほど、理解した。


ルーカス

取り敢えず、今は仕事っすね。配信して来るっす。


ジェイド

俺も、そろそろドラマ撮影に行かないとな。


ブレイブ

俺も、そろそろ勉強しなきゃ…。


マッキー

じゃあ、取り敢えず解散!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る