第384話 焦った者達

葛葉達は、フランスサーバーの始まりの街を歩く。すると、エノクはLINEを開いて無言で驚く。


「どうした?」


ハルトは、キョトンしてエノクを見る。


「親が、前に居た学校が嫌なら別の学校に転校すれば良いって。でも、どんな学校があるんだろ?」


「後で、調べてみては。」


留学かホームステイを考えていたが、留学はお金がかかるし何よりベックが留学中なので無理と判断。ホームステイは、留学より安くなるが心配だし2人同時では金銭的に難しいと考えたと書いてある。


本当に、ごめなさいと。


ちなみに、中学生が留学にかかる金額ですが。


短期留学(一週間)で、約6〜40万円

長期留学(一年間)で、約150〜700万円


なのだとか。まあ、これはだいたいの金額です。ネットで検索した内容なので。留学したい、させたい人はしっかり調べる事をおすすめするのですよ。


僕は、誰に向けて思っているんでしょう。


まあ、いいのです。


「前の学校から、離れた場所にしましょうね。」


「それは、そうだろ。」


葛葉の言葉に、頷きながら言うハルト。


歩いていると、慌てて駆け寄って来る集団。エノクは、震えている。葛葉は、そっと視界を切る様に前に出る。ハルトは、隣に立ったままである。


「俺達は、エノクに用があるんだ。急に、転校するだなんて。また、学校に帰って来てくれよ。」


「なるほど…。君達は、次の虐めターゲット候補達ですか。今まで、傍観または一緒に虐めて来た。その癖、自分がそのターゲットになると焦り出す。」


図星だったのか、黙り込む。しかし、怒って言う。


「お前には、関係ないだろ!これは、俺達とエノクの話だ。無関係者は、静かに黙ってろよ!」


「僕達は、友達で楽しく遊んでいるんですから。無関係者は、静かに黙ってて貰えませんか?君達、聞いた話では対して仲良くもなく、親しくもないのでしょう?何で、遊ぶのを邪魔するんですか?」


落ち着いた雰囲気で、冷静に言葉を返す葛葉。


「余り邪魔するなら、通報しますよ?」


少しだけ、語気を強め怒りつつも真剣に言い放つ。周りの人達が、会話を聞いてたのかヒソヒソ。


そして、その集団は逃げる様に去って行った。


葛葉は、無言で運営に通報。


「え、通報するの?」


驚いて、葛葉を見るエノク。


「します。時間は有限ですし、通報しておけばトラブル時の対応が早いからです。日本運営は、優秀です。サーバーが違っても、しっかりと対応してくれるので。通報が通れば、暫くは顔を合わせる事もないです。その方が、気兼ねなく遊べるでしょう?」


特に気にした雰囲気もなく、明るく笑いながら落ち着かせる様に言う。エノクは、無言で驚き笑う。


「ありがとう。」


「さて、クエストすすめよーぜ。」


ハルトは、笑いながら歩き出す。


「2人は、僕にとって最高の親友だよ!」


3人は、のんびりと歩きながら楽しそう会話する。周りは、暫くそれを微笑ましく見ながら解散して行った。万が一は、助けるつもりだったのだ。


さて、今回は呪術師のお兄さんに話を聞く。


最初から、ボスとの戦闘。相手は、オークとミノタウロスである。ハルトは、いい素材じゃないので残念そうである。葛葉は、無言でエノクは苦笑。


「2人ともEPは、大丈夫ですか?」


葛葉は、暢気に2人に聞く。


「あ、これ終わったら何か食べないと。」


「確かに、そろそろやばいかもな。」


エノクは、何食べようと言う。


「この間、鶏肉確保しましたし。ギルドの依頼で、野菜クエストした時に、余った野菜があります。終わったら、安全地帯で焼肉でもしましょうかね。」


葛葉は、素っ気なく呟けばテンション上がる2人。


「肉!豚肉!」


「お肉!牛肉!」


完全に、目前の敵を肉扱いである。


「あはは…」


葛葉は、乾いた声で笑う。


「取り敢えず、タレは甘めですかね?」


「「よろしく!」」


葛葉は、バフをかけながら言えば、敵にトドメを刺しながら言う2人。背後で、敵が光になり消える。


「はーい。」


そして、足装備の秘伝書を貰い依頼達成。


安全地帯で、焼肉をして食べる。途中に、居合わせたプレイヤーからお菓子の差し入れ。カヌレ、フィナンシェ、マドレーヌなどの焼き菓子の詰め合わせである。確かに、どれもフランスのお菓子ですね。


お返しに、3人で討伐したお肉を返すと嬉しそうに去った。紅茶で、お菓子を楽しみEPを確認。


「次は、中国サーバーだな。」


「ですね。さあ、移動しましょうか。」


3人は、早足で移動するのだった。


中華なBGMに、目を閉じてBGMを聞くエノク。暫くして、3人で移動を開始する。葛葉は、何かに気づいて苦笑する。ハルトは、察して盾をしまう。


「エノク、ちょっと走らないか。」


「良いけど、ハルトは足遅いよね?」


「では、急ぎますよ。」


3人で、全力で走るのだった。ジェイド達は、それを見て微笑ましく見送るのであった。

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