第377話 集いし仲間達

ルイスが、毛布に包まるとドアが開く音。顔だけ覗かせ、不安そうな何か探す様な弱々しい声で鳴くフィン。そして、ベッドに居るルイスを見つける。


「おや、フィンさ…ぐへらぁ!」


突撃され、変な声で呻くルイス。フィンは、撫でろとベッドに頭を乗せる。ルイスは、クスクス笑うとそのふさふさな頭をもふもふ。フィンは、寒さで震えた冷たい手に立ち上がりゆっくりベッドに乗る。


「ん?フィンさん、ありがとうなのです。」


ルイスは、いつもみたいに背中を預けて座る。とてもふかふかで、あったかいのだ。フィンは、満足そうに目を閉じている。まるで、ここが自分の居場所なんだと言うかの様に。とても、嬉しそうに。


暫くして、リルとソルが入って来る。


まだ、寒さで震えるルイスの左右にピッタリとくっついて、まるで子供に戻ったかの様に甘える2匹。ルイスも、もふもふしたいので甘やかす。


暫くして、カリカリとドアを引っ掻く音がする。


『開けてぇー!』『そこにいるのー?』と言わんばかりの、全力の引っ掻きである。なお、ドアには傷をつけない様に爪をしまっているので、たまに滑ってそのままビタンッと倒れている様である。


リルが、やれやれとドアを開けると全力でルイスに駆け寄る。そして、かまえと突撃して来る。


フィアも、ベッドに着地すると部屋を暖めた。


後ろにフィン、左右にリルとソル。膝に、スコル腕に抱かれるハティー。フィンの背中に、フィア。もふもふ達に、あっためられてうとうとうたた寝するルイスであった。もふもふ達は、嬉しそうに目を閉じて、楽な姿勢でゆっくりするのだった。




トキヤは、breezeメンバー全員で戦闘に来ていた。回復役のルイスが、不在の為に簡単な難易度だ。


そして、3体目を倒した所だった。


最初に反応したのは、プロメアだ。


「パパ!トキヤさん、私…帰る!」


「マスター…。僕も、帰りたい!」


ガイアも、少しして言う。トキヤは、ログイン状況を確認して無言でニヤリと笑う。マッキー達は、キョトンとしてトキヤに事情を尋ねている。


「我らがリーダー様が、お帰りだ。撤退する。」


すると、マッキー達も無言で驚いてから笑う。


「盟主帰還か、了解。俺達も、後で向かう。」


仲間達も、喜ぶ雰囲気でハイタッチとかしている。


「取り敢えず、俺達はホームに戻る。」


全員が頷く、撤退行動を開始したのだった。




カロは、荷物を入れる手を止めて指輪を見つめる。


「リリア。」


すると、手紙の確認をしていたリリアはため息。


「やっと、帰って来たのねルイスさん。」


その言葉に、ギルド職員達は無言で反応する。ベルトンは、やれやれとホッとした雰囲気である。


「なら、今日はそれだけ運んでくれる?」


ギルド職員は、優しく微笑むと去る。


「「分かりました。」」


そう言うと、素早く鞄を持って移動する2人。そんな2人を見て、ベルトンは心から嬉しく微笑む。さっきのギルド職員も、思わずにやけてしまう。




ルイスは、体があったまったので考える。


「さて、ここからどう動きましょうかね。」


小さく呟き、深いため息を吐き出す。


「そりゃ、お前の好きな様にすれば良いさ。」


トキヤは、もふもふに囲まれたルイスを笑いながら見て、明るい雰囲気で言う。ルイスは、微笑む。


「皆さん、ただいまなのです!」


ルイスは、ベッドから降りる。


「取り敢えず、お茶でもしよう。」


トキヤの言葉に、少しだけ無邪気に笑うルイス。部屋から出た瞬間、子供達に泣かれたり怒られたりしてお茶が遠のくのだが。それは、また別な話だ。


いつもの部屋に行くと、キリアとバロンが無言で目を丸くしてから優しく微笑む。ぞろぞろと、仲間達が集まり賑やかな雰囲気が広がる。ルイスが、心配をかけた事を謝罪すると大人たちは一言。


『帰って来ると信じていた。』


そう、言って優しく微笑んでくれる。ルイスも、思わず嬉しくなり微笑む。ランコルが、紅茶を置くとルンルンで飲んでいる。ランコルも、嬉しそうだ。


キリアは、ケーキを置いて微笑む。


「さてと、これからどうする。」


トキヤは、紅茶を飲んでから言う。


「予定通り、戦いますよ。僕の存在は、まだバレていないはず。なので、内密にお願いします。」


全員が、無言で頷く。トキヤも、同盟メンバーが聞ける様に通話を繋げている。ルイスは、考える雰囲気でティーカップを置くと悩ましい雰囲気である。


「取り敢えずは、勝つ事が最重要か?」


「そうですね。」


トキヤの言葉に、ルイスはゆっくり頷く。


「チートが、使われる可能性があるっす。」


ルーカスは、考える雰囲気である。


「今、僕達は運営と協力関係にあります。そう、長くはチートが使われる事は無いはずです。」


ルイスは、謝罪の後に運営に雇われるバイトの形での協力を求められた。運営のアカウントでは、育てて無い為に力負けすると思われたからだ。勿論、他の強いクランも雇うらしい。トキヤ達にも、一応は話を通しており、同盟は雇わなくて良いから参加させろ!っとコメントしている。しかし、運営にもプライドがある。交渉され、今に至る訳である。


「さてと、いろいろしないとですね。」


ルイスは、思わず素晴らしい笑顔で呟く。


「なんか、本当に戻って来て良かった。」


ルイスを見て、笑いながら言うのであった。音が消えたホームに、賑やかな声と穏やかな雰囲気が戻ったのだった。ルイスは、キョトンとしている。


「いや、何でもない。」


トキヤは、そう言うとケーキと一緒に言葉を飲み込んだのだった。ルイスは、首を傾げてからケーキを食べて表情を緩ませる。かなりの、癒しである。


こうして、その日はログアウトする事に。


「パパ、ちゃんと戻って来るよね?」


不安そうなプロメア。子供達は、無言で見ている。


「勿論ですよ。だから、安心してください。」


ルイスの優しく、とても暖かい微笑みに安堵する。そして、軽く挨拶をして渋々と離れて行った。ルイスは、クスクスと笑ってログアウトするのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る