第375話 謝罪
瑠衣は、鞄を持って牧田達にゆっくり近づく。
「よっ、久しぶりだな。」
「瑠衣の兄貴ぃー!久しぶりっす!」
ここには、運営とシンとヴェインが他に居る。
「お二人とも、お久しぶりですね。」
瑠衣の声が、優しく温かいものに変わり、ふわりと優しい微笑みが浮かぶ。驚き、固まるリゼアと白兎の2人。次の瞬間、リゼアが鼻を押さえて倒れた。
「まあ、こいつは放置で。」
赤猫は、呆れた視線をリゼアに向けてから言う。
「それで、盟主様やい。いつになったら、帰って来るつもりだ?流石に、このままはまずいぞ?」
牧田は、頬杖をついて苦笑する。
「僕だって、遊びたいのを我慢しているのです。この方法が、効率よく時間稼ぎが出来て、なおかつ嫌がらせが出来るのでログインしないだけで。」
少しだけ不機嫌に呟けば、笑う牧田とアーサー。
「あははっ、なるほどな。でっ、どう思う?」
ニヤリと笑いつつ、瑠衣の言葉を待っている。
「そろそろ、僕のレシピが欲しいはず。ヒールポイズンで、被害が出たのですからね。最初は、使える捨て駒を侵入させるでしょうね。まあ、捨て駒として使われるのは、住民キャラでしょうけど。」
瑠衣は、落ち着いた雰囲気で言う。
「ふーん、何で住民?」
牧田は、珈琲を飲んでから言う。
「僕が住民を、多くメンバーとして迎えているからですよ。それに、自分達で行くのはハイリスク。だから、万が一の逃げ場を作るならそうするかと。」
瑠衣は、椅子に座り微笑む。
「取り敢えず、とっきーには言っとくか。」
牧田は、真剣な雰囲気で言う。
「瑠衣君だっけ、君の予想は当たりみたい…。」
通知音に、白兎はパソコンを確認して無言で驚く。
「取り敢えず、ある程度の予想を時矢さんには伝えてあります。なので、まだ戻れそうにないです。」
頷いてから、安心させる雰囲気で言う。
「了解。また、何かあれば連絡する。」
「はい、了解なのですよ。」
牧田の言葉に、優しく頷く瑠衣。
「さて、取り敢えず本人が居るわけだし…」
蒼夜は、そう言うと瑠衣に頭を下げる。
「この度は、不当な凍結並びに名誉を傷つける事になってしまい、誠に申し訳ありませんでした。」
運営側の人間が、深刻そうな雰囲気で頭を下げる。
「本音で言えば、不愉快でしたし辞めてやろうかと思っていました。けど、仲間との日々を思い出して踏み止まる事にしました。なので、お構いなく。」
瑠衣の本音に、申し訳ない雰囲気の運営陣。
「それで、お詫びに次イベントのチケット宿泊券付きを送ります。対象は、breezeメンバーです。」
「なるほど。瑠衣だけに、チケット渡しても一人だと行かないもんな。賢いやり方だと思う。」
牧田は、ニヤリと笑う。
「宿泊先は、貸切りにしたから安心して良い。まあその都合上、申し訳ないが日本運営と公式司会の宿泊先にもなってる。なので、警備体制もセキュリティーも万全だとだけ。少しでも、楽しんで貰えたらと思う。宿代は、アメリカ運営が払うらしい。」
「何故、アメリカ運営?」
瑠衣は、キョトンとしている。
「依頼者が、アメリカ運営の社長関係者だった。どうやら、上手く行ってる弟に腹が立ったらしい。」
蒼夜は、不愉快そうに言う。
「だから、4月から日本運営が本社になる。」
瑠衣を含め、その場の全員が拍手する。
「君がルイス君か。初めまして、ゲームワールドクラッシャーズの創立者の白兎だよ。僕の管理がなってないせいで、大変な事になって本当に申し訳ありませんでした!僕も、奴らの処罰を急ぐよ。」
白兎は、深く頭を下げて言うのだった。
「対応するのであれば、文句は言いません。」
瑠衣は、優しく微笑むと言う。
「なるほど、聖人様はリアルでも聖人だったか。」
白兎の右腕が、小さく言えば頷く白兎だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます