第372話 最悪の事態…

ルイスは、無言で目を閉じて座っている。


こういう事は、何も初めてでは無いです。最悪は、お店を閉じてしまえば良いのですよ。全て投げ出して、ゆっくりするのも良いかもしれません。


今では、ポーションを売る住民さんも増えました。


だから、僕達が絶対に必要では無いという事です。何故、僕が嫌な思いをしてまで動く必要があるんでしょう。何が起ころうと、ここからは自業自得ですし、僕にはもう関係ないのです。疲れたのですよ。


「ルイス、眠いのか?」


トキヤは、キョトンとしている。


「少しだけ。けど、大丈夫ですよ。」


ルイスは、頑張って笑うがトキヤには分かる。かなり、精神的に疲れている。トキヤは、ルイスの開いた掲示板を消す。余り、見てて良いものではない。


暫くして、ルイスの寝息が聞こえてくる。


「おやすみ、ルイス。」


グレンは、無言でルイスを見て苦笑する。


「心の正義感が、黒く染まりそうだな。」


「ルイスは、教えた。後は、自業自得だろ。」


ルイスは、気持ちが悪くなり目が覚める。


少しずつ暗く、狭まる視界と凍り付く様な音。視界が真っ暗になり、いきなりに落下していく感覚がする。トキヤの焦った声と、グレンの叫び。ルーカスの怒声が、最後にルイスには聞こえた。音もない、寒くて真っ暗な空間を落ちて行く。パリンッと、音がして意識が現実へと浮上する感覚…。


瑠衣は、青ざめるて固まる。


覚悟を決めて、ログインボタンを押す。


『このアカウントは、違反行為のため現在凍結中です。詳しくは、詳細を開きご確認ください。』


瑠衣は、詳細を開くが真っ白な画面。


「何も、書かれてません…。」


深呼吸をして、運営に問い合わせする。運営は、調べ直して報告すると電話を切った。瑠衣は、そのままベッドに倒れる。そして、そのまま寝てしまう。


もう、辞めてしまいましょうか?と思いながら。




蒼夜は、焦っていた。突然の瑠衣からの電話、その口から告げられた信じられない現状。全力で走る、後ろから鬼崎も険しい雰囲気で走って来る。


「お前…、何てことしやがる!」


息を切らし、怒りを滲ませ怒鳴る。


「だって、これだけクレームが来ている。運営として、対応しないと駄目だろう!明らかに、ルイスが悪いんだから。嘘や営業妨害、当然の対応だろ!」


「お前に、それを実行する権限はない。それに、その判断基準はなんだ?何で、嘘だと断言できる?」


蒼夜は、鬼崎達に逃げ場を塞がせる。


「は?だって、クレームが…」


どうにか、逃げ切ろうと言い訳をする。


「偽客(サクラ)だよ、そういうバイトサイトを見つけた。本人達も、一部は認めている。それに、運営として調べた上でしっかり言わせて貰うが…ルイスの言葉に、嘘は一つもないと断言する。つまり、不当な凍結をした訳だ。お前、クビだけで済むと思うなよ?うちを、荒らした罪は重いからな。」


そう言うと、警察が男を連行して行った。現在、急いで凍結を解除しているのだが…。既に運営が、ルイスを凍結したと話が広まっている。長引けば、ルイスにとって不利な環境になってしまう。


「くそ、謝罪しても仕切れん。」


次の日、凍結は解除され運営から事の経緯を説明された。しかし、ルイスが戻って来る事はなかった。




凍結解除から、1週間が経過した。掛け直した電話にも、瑠衣は出る事は無く時が過ぎて行く。


蒼夜は、深刻そうに机に突っ伏すのだった。


掲示板では、批判したプレイヤーによる壮絶な掌返しが行われている。ついに、アバター崩壊したプレイヤーが現れたのだ。サーバーは、強化されたので落ちる心配はない。だから、運営も監視だけする。


「蒼夜さん、イベントの打ち合わせですが。」


「…ここでは、無理だな。」


頷くメンバー達、蒼夜は疲れた雰囲気で言う。


「蒼夜、場所なら俺が探すから寝てこい。」


大河は、落ち着いた雰囲気である。


「ありがとう、少し休む。」


そう言うと、ゆっくりと歩き出す。


「蒼夜、おそらく瑠衣は時間稼ぎの為にログインしていない。敵の目的は、ルイスだ。その、ルイスがログインしなくなったら困るのは奴らだろ?」


大河の言葉に、蒼夜は無言で驚く。そして、真剣な雰囲気で考えている。そして、どうしてか聞く。


「何でって、じゃなきゃこんなデータ渡す訳ねーもんな。現在、見えなくなっている敵のプレイヤーIDと名前のスクショ。ヒールポイズンの材料、そして作り方が書かれたメモ。今までに、確認されている奴らが使ったチートとバグの情報とかかな。」


すると、蒼夜は目を丸くしてから嬉しそうに笑う。かなり、有益かつ重大な情報だ。何だかんだで、瑠衣もやられっぱなし気に食わない様である。


「何か、少しだけ元気が出て来たよ。」


蒼夜が言えば、大河はまだ続きがあると言う。


「ゲームワールドクラッシャー、その創立者である白兎から協力したいと話があった。自分達を参加させる代わりに、敵対メンバーの個人情報を全て公開すると言っている。赤猫は、賛成してたんだが。」


大河の言葉に、蒼夜は考える雰囲気である。赤猫を呼び、話を聞くと先輩後輩関係らしい。


場所は、木漏れ日喫茶を借りる事にした。マスターには、信頼できる従業員を2人くらい呼ぶ様にお願いしておいた。何せ、有名人達が集まるのだから。

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