第371話 ゲームワールドクラッシャー
とある場所にて、青年は深いため息を吐き出す。久しぶりの仕事で、疲れた体を椅子に預けてから、大好物のチョコレートを一粒だけ口に放り込む。
とても、至福の時…。
「白兎、メンバーが一線を超えた。」
いつも、自分のサポートをしてくれる親友が言う。
「みたいだね。」
頭が痛そうに、短く頷いて水を飲む。せっかく、良い気分だったのにとても最悪の気分である。
「FLLに、喧嘩を売るだなんて最悪だ。」
「赤猫とリゼアだよな、勝てる訳がない。」
仕事を手伝ってくれる、2人のメンバーも苦笑。
「となれば、僕たちがする事は1つ。」
白兎は、冷たくニヤリと笑って立ち上がる。
「徹底的に、邪魔するのみ。」
3人も、素晴らしい良い笑顔で頷くのだった。
ゲームワールドクラッシャーには、3つのチームに分かれている。1つは、白兎が率いるチーム。全員が、真っ当に働いており実力派エリート集団だ。2つは、コイル率いるチーム。こちらは、武闘派だが常に冷静で荒くれ者はいない。問題なのは、スタンジャ率いるチーム。今回、暴走したチームである。
プライドが高く、性格の悪い奴らの集まりだ。
「個人情報を暴露は、流石に犯罪なんだわ。」
白兎は、冷たい声音で真剣に呟く。
「うちに、犯罪者はいらない。確かに、俺達は炎上系だが。しっかり、常識的な基準がある。」
「取り敢えず、何から始めるよリーダー?」
パソコンを取り出し、素早く準備するメンバー。
「うーん…、運営と協力関係になりたいな。後はだけど、あいつらに監視役をつけたい。それと、ルイス君だっけ?全力で、謝りたいんだけど。うちのチームだけでなく、全部のチームに信者いるよね。」
眠そうに欠伸をしつつ、苦笑しながら考える。
「なら、信者に監視役をさせるか。ルイスについてだが、余りにも情報が無さ過ぎるんだよな。けど、相棒であるグレンは身バレしてるし。そっちに、信頼を得てから紹介してもらうとか?運営は、公式サイトから例もあるし確実に交渉できると思う。」
親友の言葉に、少しだけ考える白兎。
「確かアメリカ本社には、日本プレイヤーの情報は保管されてなかったんだよね?何でだろう?そのおかげで、奴らも焦っていて色々ガバガバなんだけどさ。依頼者も、もう少しで探れそうなんだけど。相手もプロ、中々に厄介にも逃げ続けてるんだよ。」
白兎は、深いため息を吐き出して苦笑する。
「グレンに接触するのは、得策じゃないと思う。」
メンバーに言われ、白兎も無言で頷く。
「取り敢えず、出来る事からやろう。」
全員が頷くと、素早く動き出したのだった。
俺は、考える。白兎は、恐らく奴らを潰すだろう。武術に特化し、ホームを警備する俺達だが。身内同士の戦いに、参戦すべきか迷っていた。
「リーダー、白兎さんが動きました。」
「…そうか。なら、俺達も動くか。一線を超えた以上、犯罪者を仲間として認める訳には行かない。」
俺は、覚悟を決め白兎と合流する事にした。
俺達は、焦っていた。ルイスの情報が欲しい、なのに情報がないのだ。視聴者も、何故かルイスの情報は欲しい様で食いつきがすごい。分かってるのは、高校生である事だけ。それしか、情報がないのだ。
誰か、情報操作してる奴が絶対にいやがる!
学校の同級生とか、そういう奴らが自慢や情報を漏らしているはずだ。なのに、何で無いんだ。
(※単純に、瑠衣が周りの人に恵まれてるだけ。)
しかも、グレンは身バレしてたらしいが、その写真は消されていて。どう調べても、出て来ないし!
(※周りの大人達が、全員協力して動いてます。)
アメリカサーバーに、日本プレイヤーの情報がないから。ルイスについては、自分で調べろだと!?
(※蒼夜が、プレイヤーを守るため動いた結果。)
完全に、詰んでるじゃねーか!
こうなれば、ルイスが常連だというカフェで…いやいや、警察を呼ばれて終わってしまうだろ。
くそっ、せっかくここまで順調だったのに!
それに、噂だと店員達はルイスの姿を知らない。そして、話した事が無いと過去に聞いた事がある。
せっかく、大金報酬の仕事だってのに…。
ちくしょうがぁー!
ルイスは、紅茶を飲み考えている。掲示板には、ルイスを悪者にするかの様なコメントがびっしり。
「そろそろ、相手がヤケクソになりそうですね。」
ルイスが、小さく呟けばトキヤは無言で頷く。
「一応、警戒だけはしとこう。」
「…はい。」
胸騒ぎに、顔を曇らせれるルイス。そんなルイスを見て、トキヤは気を引き締めるのだった。
運営は、真剣に仕事をしている。赤猫達が参加し、セキュリティー問題はクリアしていた。
しかし、誰も予想していなかった。
この後、裏切り者が大胆な行動をするとは…。警戒していたのに、防ぐ事に失敗して大変な事になる。
その事を、まだ誰も知らない…。
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