第368話 運営への宣戦布告

日本運営にて、蒼夜は冷たい視線で動画を見る。


隣で、大河は好戦的な笑みを浮かべている。鬼崎も無言だが、凍てついた微笑みである。


「さて、宣戦布告された訳だがどうするよ?」


大河は、お茶を飲みながらニヤける。


「聞いた話、アメリカ本社に問い合わせたが。そんな事実は、存在しないと返答が来た。が、身内に裏切り者が居るのは確定だろうって話だな。」


蒼夜は、真剣な雰囲気で険しい瞳を向ける。


「大河君、笑えないからね。まず日本サーバーで狙われるのは、確実にルイス君なんだから。」


鬼崎も、少しだけ怒った口調で言う。


「アメリカでも、狙われたのはブレイブ達だ。間一髪で、日本サーバーに逃げて来た訳だしな。」


蒼夜は、様子を窺う雰囲気である。


「日本サーバーのセキュリティーは、不完全だ。リゼアと赤猫が、セキュリティーを組んだが。悲しい事に、奴らはセクハラとパワハラで辞めてしまっている。一応、蒼夜がリーダーになってから誘ったけど答えはNOだったし。動かすのは、無理だろ。」


大河は、考える雰囲気である。そう言いながら、メール画面を開く。そして、思い出した雰囲気で。


「まてよ、プロメアのシステム。ずっと、引っかかっていたんだ。何処かで見たと思ったら…」


2人は、重要な話だと気づいて黙る。


「いや、でも…瑠衣は何処で赤猫と?」


「大河、俺達にも説明しろ。」


蒼夜は、真剣な雰囲気で言う。


「ん?ああ、赤猫と似たようなセキュリティーなんだよ。プロメアデータは、これだろ?対して、赤猫のセキュリティーデータの一部だ。似てるだろ?」


大河は、動揺する様にデータを見せる。


「なるほど、セキュリティーを知る人間から指導されてるなら可能だな。だが、無関係な一般人を巻き込むつもりはない。もう一度、声を掛けるぞ。」


蒼夜は、そう言うと部屋から出て行った。


「了解、取り敢えず電話してみる。」


『なんだ、大河か。何度も言うが、お断りだ。』


低い落ち着い声音で、ピシャリと断る赤猫。


「セキュリティー完成迄でも、そこまででも良いのでどうかよろしくお願いします。」


大河は、真剣な雰囲気で言う。


『狙われてんのは、身内か?大変だな。だが、俺は引退した。もう、関わる気は無いんだ。』


冷たい雰囲気に、食い下がるのは不可能だと察す。


「個人的な質問をして良いか。」


『あ?まあ、元同僚だしな。良いぞ。』


変わった口調に、キョトンとしながら言う赤猫。


「瑠衣…いや、ルイスと知り合いなのか?」


すると、驚いた様な沈黙。


「いや、弟がお世話になったのかと思って。プロメアのシステムで、お前に似たシステムがさ。」


『はぁー!?あの瑠衣の兄だと!?』


その後に、ドタバタと音がする。


「苗字、同じだろうが。迷惑かけてないか、心配だっただけだ。兄として、あいつは興味ある事はガンガンと突き進んで行くからな。大丈夫だった?」


真面目に心配そうに、元同僚として兄として言う。


『いや、寧ろノリノリで一緒に考えてた。』


すると、今度は大河がガクッとなる。


「そかそか。なら、良いんだ。個人的な事を聞いて悪かった。では、また仕事の電話をします。」


『それは、断るつってんだろーが!』


赤猫が、ブチっと電話を切ってしまう。


「どうやら、個人的にお友達らしい?」


蒼夜の呆れた視線に、お茶目に言う大河。


「大河君?お仕事中に、何してるの?」


笑いながらも、優しく注意する鬼崎。


「リゼアは、合法ショタで釣ればワンチャン?」


「いや、ダメだからね?」


大河の言葉に、苦笑する鬼崎。リゼアは、精霊王の花嫁エルフのキャラの元ネタの人である。ショタを愛し、天才なのに残念な色白で吊り目の美人。


運営に喧嘩を売ったのは、もはや組織と言っても過言ではない。とある、YouTuber達である。


炎上系グローバルYouTuber

『game World crusher!』(ゲーム世界粉砕機)


数々のゲームを破壊し、炎上しながらも人気を誇るグローバルYouTuber達である。ゲーム会社から、依頼を受けて盾矛じゃないが対決する動画も上がっている。彼らが負けたのは、だったの2回だけ。


アメリカの銃撃ゲームと日本の音ゲーである。


ちなみに、アメリカの銃撃ゲームはリゼアとそのチームが。日本の音ゲーは、赤猫がセキュリティーを組み会社側のセキュリティー社員を指導している。


疑問としては、彼らが依頼をアメリカ本社から受けたと言っている事。かなりの大金が、報酬として設定されているという事。そして、ゲーム世界だけでなくリアルも調べ尽くして、暴露している事だ。


現に、身バレした有名プレイヤーから苦情がアメリカや各国の会社に来ているらしい。相手は、プロだし油断も出来ないだろう。何より、裏切り者だ。


アメリカ本社には、確実にいるらしいし…。


蒼夜は、深いため息を吐き出す。一応、個人情報などの重要なデータは専門の会社に保存して貰っているので安全だ。裏切り者がいたとて、プレイヤーの個人情報が盗まれる事は無いだろう。


「何とか、しなければな…。」


蒼夜は、苦々しく呟く。




ルイスは、いきなりやってきたブレイブ達に驚いていた。事情を聞き、泊める事にする。


「最悪だ、弟が留学中で良かったぜ。」


そして、真剣にルイスを見る。


「日本サーバーが狙われたら、まずお前が狙われるだろう。だから、気を付けろ。リアルも暴露されるし、個人情報もバンバン出してくるからな。警察も動いてるが、奴らの身元が割れてない。とてもじゃないが、逮捕どころではないらしいんだ。」


ルイスは、思わず青ざめる。


「何せ、本社に裏切り者がいるみたいだしな。」


トキヤは、LINEを開き冷たい声音で言う。


「これ、解決しても大ダメージなのでは?」


ルイスは、顔色が悪く震える様に言う。


「本社の肩書きは、消えるだろうな。」


マッキーが、凍てついた視線でウィンドを見ながら呟く。かなりの国が、データ崩壊とサーバーダウンしている様で、無事なサーバーに雪崩れ込んでいる状態だ。この場に乗じて、きっとゲームワールドクラッシャーも紛れ込んでいるはずである。


ある意味、リアルとゲームでの戦いの火蓋が落とされたのだった。運営とプレイヤー、世界規模の組織を潰そうと2つの世界で動き出したのだった。




フリー•ライフ•リベレイション

紅のヒールポイズン開始。



※本来、ヒールポーションは緑です。

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