第365話 お茶会
さてと、ゾロゾロとメンバーが来ます。僕の隣は、グレンとトキヤさんに挟まれてるのです。トキヤさんの隣は、マッキーさんですしグレンの隣はルーカスなので、色んな意味でガードは鉄壁なのです。
「なあなあ、聞いてくれよルイス。」
ブレイブに、話を振られたので視線を向ける。
「どうしたんですか?」
キョトンと、首を傾げながら。
「この間、ハロウィンで弟が友達の家に悪戯したんだけどさ。庭の植え木に、トイレットペーパーをぐるぐる巻きにする悪戯なんだが…夜に雨降って。」
想像したのか、苦笑するメンバー。ただし、グレンだけは意味を理解してないのか黙っている。
「そんな悪戯って、あるんだ。」
グレンの呟きに、ルイスは頷いてから言う。
「アメリカでは、ハロウィンに家や庭木をトイレットペーパーでぐるぐる巻きにする悪戯があるんですよ。くれない家なんて、庭木にトイレットペーパーぐるぐるしゃえ!って感じで。アメリカだと定番のイタズラなんです。けど、雨ですか…。」
「そうそう、破けたりして掃除が大変でさぁ…。もうさ、ハロウィンパーティーどころじゃなくて。」
疲れた様に、戯けた口調で笑うブレイブ。
「それは、大変でしたね。」
暢気にうんうんと頷くと、ほかのメンバーも話題を出してくる。ある程度、話すと落ち着いてくる。
「ルイスは、何か話題とかないの?」
ヴァンは、ルイスを見て思わず言う。全員の視線が集まるが、ルイスは思わず無言になってしまう。
話題…。こういう時、何を話せばいいのでしょう。普段は、基本的に聞き役なので話題なんて考えた事も有りませんでした。リアル情報を、こぼさない様に何かしら話題を振らねば。飼い犬の話題?となると、写真を見せる必要とか出てくるんでしょうか?
「あー…、ルイス?無理して、話さなくて良い。」
気をつかう様に、ジェイドがフォローする。
「あ、はい…。じゃあ、次の方どうぞ。」
ルイスは、話そうと思ってたのだが、その言葉を呑み込んで続きを促した。察していたメンバーは、無言でジェイドを見てため息を呑み込んだ。
結局、ルイスの番が来る事はなく終わろうとしていた。ルイスは、無言で紅茶を飲みながら一息。
「じゃあ、そろそろお開きにしないとな。」
マッキーは、敢えて此処で終わらせようとする。
「ルイスは、何か話す事は無かったのか?」
トキヤは、小さな声でルイスに言う。
「特には、無いですね。」
終わるという雰囲気で、何か言える度胸は無い。だから、ルイスは言葉を呑み込んで雰囲気を優先させる。数人は帰るが、一部の人は残る。
「そう言えば、ワンコ元気にしてるか?」
トキヤは、暢気な雰囲気で話題を振る。
「元気ですよ、冬毛でふっさふさなのです。相変わらず、階段は降りれないですがそこも可愛いのですよ。最近、犬用の服を着ているので可愛さも倍ですね。トキヤさんは、どんな感じですかね?」
ルイスは、ノホホーンと笑いながら言う。トキヤといえば、猫と犬を飼っているので話題が合うのだ。
「猫は、服を嫌がるから着せてない。最近、家の中で1人運動会してるから大変だな。犬は、傍観者だし。最近は、ソファーで爪研ぎされて買い直す予定だな。革製品だから、もうボロボロになってしまった。爪研ぎ、買ってあるんだがなぁ…困った。」
苦笑しながら、最近の日常を愚痴るトキヤ。
「確かに、目を離すと大惨事ですからね。うちの子も、家のスリッパをボロボロにしてしまいました。最近は、兄さんの靴下を盗んで遊んでますし。」
ルイスは、クスクスと笑いながら言う。マッキー達も、その笑顔につられて思わず笑ってしまう。
「それは、大変だな。というか、大河が被害に。」
マッキーは、笑いながら言う。
「靴下を奪い返す為、家で追いかけっこが始まりますし。見てる此方は、とても楽しいのですが。それで遅刻をする訳にはいかず、賄賂(おやつ)で返して貰い新しい靴下を出さざるを得なくなるとか。」
ルイスは、思い出す様に暢気に言う。
「ルイスは、被害に遭わないのか?」
グレンは、興味があるのかノリノリで聞いてくる。
「キッチンでの、攻防戦は日常的ですが?ベットの陣取り合戦もいつもの事ですし、負けたら悔しいのでモフモフしてから一緒に寝てますよね。」
ルイスは、少しだけ戯けた雰囲気で微笑み言う。その後は、他の参加者のペットの話題で盛り上がる。帰ってしまったメンバーが、後悔したのは言うまでもない。とても、穏やかに時は過ぎるのだった。
「そうだ、ルイスとグレンに聞きたいんだが。」
ブレイブの言葉に、キョトンとする2人。
「弟が、日本の学校に通う事になってさ。日本の学校って、どんな感じなのかなって。その…、俺の弟は難聴障害でさ。とても、悲しい思いもしてて。」
心配そうな雰囲気で、複雑そうに聞いてくる。
「たぶん、何処でも同じですよ。受け入れる人、受け入れられない人は居ますし。それで、虐めが起きる事もやはり有ります。ブレイブさん、国のあり方と人のあり方を同じにしては駄目です。やはり人ですから、人それぞれ大きく違うのですよ。」
ルイスは、真剣な雰囲気でしっかりと言う。
「正直者めぇ…。そこは、嘘でもフォローしろ。」
いじけた雰囲気で、そう言いながらも嘘をつかないルイスの真っ直ぐで優しい性格を嫌いになれないブレイブ。ルイスは、素っ気ない雰囲気で言う。
「それで安心して、大切な弟さんが万が一でも傷ついたらいけないでしょう。事実を最初から、ある程度でも話しておけば心の準備も出来ると言うものです。前向きに、コミュニケーションも取れます。」
ルイスの言葉に、ブレイブは小さく息を吐き出す。
「いっその事、ルイスやグレンがクラスメイトだったら良いのになぁ…。まあ、無理だろうが。」
そんなブレイブを見て、トキヤは暢気に質問する。
「ちなみに、何て学校だ?評判なら、調べるが。」
「確か、星秀冠高校だったな。」
ルイスは、無言で驚いてポーカーフェイスになる。グレンは、聞いていたが他の人と話してたので、リアクションをする余裕がなくスルーした。トキヤ達も、表情に出す事なくネットで調べ出す。
「まあ、可もなく不可もなしって感じだな。何が、スポーツに力を入れてるらしい。」
トキヤは、暢気に言えば苦笑するブレイブ。
「出来れば、辛い思いをして欲しくないな。」
ブレイブの言葉に、無言で全員が頷くのだった。そして、楽しい話題を話して解散するのだった。
「ブレイブの弟、普通科に通うみたいだ。」
トキヤが、警戒した雰囲気で言う。
「ですが、お互い知らない人ですし問題ないかと思います。僕から、話すつもりはありませんし。」
ルイスは、少しだけ頭が痛そうに言う。
「で、お前はどう思ってる。」
マッキーは、真剣な雰囲気で言う。
「正直に言えば、最初は良い顔しても嫌になったら何するか分からない人も居ます。弟さん、エノク君は日本語が少ししか話せない様ですし。」
ルイスは、とても心配そうに呟く。ルイスが最も警戒してるのは、陽キャ組である。過去に、上手く喋れない障害者の生徒とトラブルを起こしている。
それは、ゲームに誘ってトラウマにさせて、精神的に追い詰められ自主退学した生徒が居るのだ。ルイスは、フォローはしてたのだが力及ばず。最後に、感謝の言葉を泣きながら言い転校してしまった。
「ゲーム世界まで、フォローは不可能だろ。」
グレンは、知っていて何を考えてるか察したのだろう。お前は悪くない、人付き合いが苦手なのによく頑張ったと言う。トキヤ達も、無言で頷いた。
「ルイス、くれぐれも正体だけは…」
トキヤの言葉に、ルイスは無言で頷いたのだった。
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