第357話 視聴者参加型レイド
ルイスは、ガイアの言葉を頭で繰り返す。
マスター達、その精霊はもともと幸運を運ぶ精霊だよ。けど今は、その逆だから気を付けて。
つまり、不幸が起きると?
マスター達、精神耐性と物理耐性は高い?それとね、幸運数値はどのくらいかな。それで、いろいろ変わるんだけど。何にせよ、面倒な相手だよ。
これって、ステータス変動型のBOSSですか。となると、本当に厄介ですね。例えるなら、敵にデバフを掛けても幸運値が少ないと失敗。味方にバフを掛けても、それが失敗またはデバフになるという事ですよね。かなり、厄介なのですが。ふむ…
「ガイア、だいたいの数値は分かります?」
すると、難しい雰囲気で考えて言うガイア。
「味方だけなら…。けど、精霊は無理。あれは、幸運の具現化だから。取り敢えず、幸運値30だとスキル失敗になる。また、精神耐性が50以下でも失敗なりやすいよ。物理耐性が80以下で此方の防御スキルを無効化してくるだろうし。」
ルイスは、考える雰囲気である。
「幸運値は、高すぎても駄目だよ。」
そう言って、ルイスを見るガイア。思わず、視線を逸らすルイスに苦笑するグレン達。
「マスター生産職で、幸運値を上げてるよね?」
「うーん…、どうしましょうか。」
ルイスは、難しい雰囲気。
「詳細をルイスは、見たか?」
トキヤは、暢気に笑いながらアドバイス。
詳細?詳細、詳細…っと。
このボスは、呪いにより弱体化されており自分対象の効果にしか、何かしらの対応が出来ません。敵であるプレイヤーに、何かしらの効果は出ません。
つまり、僕達が攻撃やスキルを使えば何かしてくるけれど。僕達が使ったスキルによる、フレンドリーファイアは無いですよと。なるほど、敵が僕達のスキルを利用して攻撃してくるなんて事もないと。随分と優しめ…、コホンッ!すみません、比較対象を間違えました。中ボス規模なら、そうでもないですね。まあ、やるのですが。どうしましょうか?
「弱体化状態で、中ボスレベルじゃん。いや、油断は出来ないけどさ。スキルが、厄介なのは変わらないしな。で、お前達はどうしたいか…だな。」
マッキーは、楽しそうな雰囲気で言う。
ルイスは、無言で考える。これは、息抜きで楽しい方に進むべき。ガチガチな、レイドバトルじゃ楽しめない。なら、どうすべきか…答えは、1つだ。
ネタに走りつつ、勝つ様なバトルにする。
どんなふうに、考えれば楽しめるでしょうか?皆んなが参加できて、ネタになりそうで面白い編成…。
「ルイス、余り変な事は考えるなよ?」
グレンの言葉に、ルイスは素晴らしい笑顔。
「幸運値ガン無視、パワーでゴリ押しとかどうでしょうか。どうせ、味方には効果が付かず敵のみに対応されるんですから。『味方に迷惑かからないのであれば、ゴリ押しちゃってもどうにかなるよね!』作戦です。我ながら、作戦名が長いですね。」
「おいこら、ネタに走りやがったこいつ!」
トモは、思わずガクッと転ける振りをしながら言う
「何かたのしそーだな。」
ユウユウは、ケラケラと笑う。
「なるほど、やってみたいかも。」
ハルトも、頷いてから明るく笑う。
「まあ、やるだけやってみるか。」
グレンは、苦笑しながら頷くのだった。対する、トキヤ含める視聴者参加組はテンションが上がる。
「きたきた!そういうの、待ってたぜ!」
マッキーは、うっきうきである。
「力技か、どんなスキル使おうかな。」
トキヤも、スキル編成を組み直している。
「普段は使わないスキル、ここで試すか。」
ジェイドは、武器を見ながら言う。
「準備万端、どーんとこーいっす!」
ルーカスは、ルンルンとして大鎌を構える。
「回復職は、ひたすらに回復を!支援職は、ひたすらに味方にバフを!あとは全員ひたすら攻撃してくださいな。デバフは、必要ありません。どうせ、失敗か無効化されるので。蘇生は、半分以上の人が居なくなってからで。強い人から、優先蘇生です。」
ルイスの言葉に、楽しげに笑い突撃して行く。
「上限になったら、デバフも良いかもです。」
やはり、デバフは失敗や無効化されたりする。しかしながら、幸運値?何それ、美味しいの?と言わんばかりのパワープレイに幸運精霊も戸惑っている。
「脳筋プレイ最高!」
「イェーイ!」
全員が、楽しそうにボコスカ攻撃している。ちょっとだけ、いや…かなりかわいそうな幸運精霊さん。
「最後の一撃!」
5人で、攻撃すれば幸運精霊の仮面が外れ、美しい美女な素顔が解放される。黒いドレスは、その姿に似合う色合いに。幸運精霊は、嬉しそうに微笑む。
辺境伯が現れ、身構えるルイス達。視聴者は、既に帰ってしまっている。ルイス達は、水鉄砲を使う。
苦しむ辺境伯、するとその息子が目を覚まして裏世界から辺境伯を追い出した。ガイア達は、ルイスを表世界に導き辺境伯を警戒する。次の瞬間、奥さんが現れて薬を辺境伯に投げる。苦しむ辺境伯…
辺境伯は、正気に戻り奥さんと我が子に謝る。
そして、やらかした事の償いを一生を賭けてすると精霊王に誓うのだった。精霊王は、許せないが償う意思だけは受け取ろうと言い姿を消した。
とある場所にて
「あらら、パッピーエンドじゃん。」
暴食の悪魔は、上機嫌に笑う。
「良いのか?計画は、失敗したぞ?」
怠惰の悪魔は、怠そうに呟く。
「構わないよ。僕、人間が大好きだからね。っていうか、君らは何で人間が嫌いなのさ。」
「……。」
怠惰の悪魔は、視線を逸らす。他の悪魔も、沈黙を貫く。暴食の悪魔は、やれやれと笑うと呟く。
「楽しかったなぁ…。」
怠惰の悪魔は、苦笑するのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます