第356話 堕ちた幸運精霊
取り敢えず、隠れてしまった精霊さん達を探す。ガイアは、周りをキョロキョロ見て歩き出す。
「精霊の手を、離さないでね。戻れなくなるよ。」
次の瞬間、空間がガラリと変わる。
「こ、これは…」
グレンは、驚いて呟く。
「ここは、裏世界だよ。見えざる者が、彷徨い住む場所。だから、此処で迷子になれば帰れなくなる。そもそも、ここに長く居る事自体が危険なんだ。」
ガイアは、真剣な落ち着いた雰囲気で言う。言葉には、感情が込められておらず、思わずゾッとする。
「えっと、でもそう簡単には入れないよな?」
ユウユウは、苦笑しながら言う。
「入れない。けど、たまに迷い込む人も居る。というか、迷い込ませるのはいつも僕達の方だね。」
すると、4人は固まる。ルイスは、暢気に頷く。
「え、ルイスは知ってたのか?」
トモは、困惑する様に言う。
「精霊は、執着心が強いですからね。」
すると、ガイアは視線を逸らす。
「特に、気に入った人間を迷い込ませます。」
ルイスは、ニコニコしてるが4人は固まる。
「マスター、僕はちゃんと帰すから安心して。」
ガイアは、良い所を見せようと気合を入れる。
「はい、プロメア達も待ってますからね。」
ガイアは、いつもの雰囲気になり笑顔で頷く。
「うん、なるほど。」
「流石は、無自覚天然人たらし…」
「ある意味、強い!」
「ルイスが居れば、何とかなる気がした。」
4人は、納得した雰囲気である。ルイスは、キョトンとしている。ガイアは、うんうんと頷く。
「見つけた。」
ガイアは、何もない空間に手を伸ばす。すると、精霊がたくさんいる。ルイスは、悪魔はもう居ない事とシャドーになった住民を解放した事を言う。
すると、精霊達は喜び踊る。
ルイスは、1人だけ精霊じゃないのに気づく。そして振り向くと、グレンが真剣な雰囲気である。
「ルイス、その子は…辺境伯の息子だ。」
眠っているのか、目を閉じて穏やかに眠る。
「まだ、死んでなかったから助けたのよ。けれど、ここに長く居れば人でなくなるから、時間を止めてるのよ。エリザが、辺境伯を治すと信じて。」
精霊のリーダーが、優しく笑い言う。
「なるほど、良かった。一応、薬師なので…」
すると、精霊達も頷いて道を開ける。
外傷は、一つだけ。それも、治療済み。ルイスは、笑顔になればホッとするグレン達。ガイアは、精霊達と話してたが戻ってくる。そして、言う。
「マスター達、お願いがあるんだ。」
ルイス達は、キョトンとする。
「堕ちた精霊達を、帰してあげたいんだ。黒精霊になって、歪な姿で彷徨っているみたいなんだ。」
ガイアは、悲しそうに言う。
「ある程度、ダメージを与えれば何とかなるよ。」
グレンは、頷くと全員が笑顔で頷く。
「あれ、これタイムアタックみたいですね。」
すると、グレン達も慌てて確認。どうやら、クエスト通りに進んでいる様だ。ルイスは、指輪を外して龍人になる。そして、短刀を片手に真剣な表情。
「準備は良い?じゃあ、スタート!」
5人は、素早く走り出した。その後、ガイアが精霊達を帰してあげるのだった。すると、保護してた精霊が現れて助けを求めてきた。
レイド 堕ちた狂気精霊
「視聴者参加型でやるか。」
グレンの言葉に、視聴者達は喜ぶ。
「では、やりたい人はコメントにて。」
次々に、プレイヤーが現れる。
「じゃあ、始めますか!」
見慣れたメンバーに、少しだけ落ち着くルイス。
そして、美しい姿の女性姿。そんな、精霊が雑音や奇声の様な叫びをあげてレイドがスタートした。
黒いドレスに、ヒールの高い靴。白金の髪が、風に靡きスタイルがよくわかるドレス。高貴な姿の精霊だ。ガイアが、青ざめたのが分かる。
「マスター達、その精霊はもともと幸運を運ぶ精霊だよ。けど今は、その逆だから気を付けて。」
全員が、驚くと警戒心を高めるのだった。
「そろそろ、配信を終わらせたいな。」
「これで、最後だと良いのですが。」
ルイス達は、いつもの装備に戻すと苦笑する。
「マスター達、精神耐性と物理耐性は高い?それとね、幸運数値はどのくらいかな。それで、いろいろ変わるんだけど。何にせよ、面倒な相手だよ。」
ガイアは、苦々しい雰囲気である。ルイスは、新しい敵に考えを向ける。堕ちた精霊は、優雅に立つ。
そして、動き始めたのだった。
作者の謝罪
取り敢えず、生存報告です
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