第354話 息抜きのはずのクエストだった…2

さて、薬師で動くのは久々ですね。人によっては、僕の行動を不愉快に思うかもしれません。何せ、命が掛かってるのに、遊び感覚なのですから。


ですけど、助けられる範囲は全て助けたい。これだけは、嘘偽りの無い僕の…僕達の本音です。


さあ、敵策してみます。どうやら、全員が敵策で位置を確認しながら隠密している様です。グレンは、暗殺者のスキルで気配を消したりしている様子。


ルイスは、小さく息を吐き出すとシャドー達を見る


『お母さん!どこ、どこなの!』


『ああ、妻の姿が見つからん…』


『彼女は、死んだのか?お願いだ、生きてて!』


文字通り、彷徨っているのが分かる。そして、人としての心がまだ残っているという希望…。


「ごめんなさい、暫く寝ててくださいね。」


そう、小さく呟くと試験管を5本放り投げる。すると、シャドー達はバタバタと倒れて眠ってしまう。


「さて、探し物でもしますか…。」


いくつか、使えそうな素材を回収して、足早に撤退するルイス。身軽に茂みを飛び越え、シャドーを遠目に確認して敵策しながら木々の影に隠れる。


ハルトが、逃げている。ルイスは、隠れている木の枝を揺らしハルトの気を引く。ハルトが、視線を向けたので近くの川を指差す。ハルトは、頷いて川を渡る。ルイスは、素早く麻痺のポーションを投げてから、急いで場所を敵策しながら移動して行く。


ハルトも、近くの茂みに身を隠す。


「流石、ソロだと違った強さだな。」


グレンが、気配を消したまま隣に来る。


「さて、何の事でしょう?」


ルイスは、暢気に笑い警戒しながら呟く。


「さっきの麻痺のポーション。いつものと、違う麻痺ポーションだった。おまえ、複数の薬を使い分けてんのか…。悔しい、全然お前の底が見えない。」


「あははっ、そう簡単に手数は見せませんよ?」


ルイスは、ミステリアスに笑う。そして、遠くを見て素早く移動する。グレンも、異変に気づく。


「技術の引き出しは、無限大ですから。」


そう、小さく呟くルイス。


ユウユウが、囲まれているのを目視。龍の威圧で気絶させ、離れた位置を通り過ぎる。ユウユウは、驚いてキョロキョロするが素材を回収して走り出す。


ルイスは、林檎を見つけてホッとする。全部で8個で、ルイスは4つだけ残して回収する。そして、マップピンを刺して情報共有する。4人から、短めの感謝メッセージ。ルイスは、素早くその場を離れて敵策する。そして、皆んなの位置をマップで確認。


グレンは、林檎をゲットしましたね。トモ君も、急いで向かってて…。ユウユウ君は、かくれんぼを楽しんでいる様です。ハルト君も、動きますかね。


ルイスは、4人が林檎を確保した時点で撤退。


「ルイス、ユウユウが林檎を破壊してしまった。」


「ん?えっと、いったい何が?」


グレンの言葉に、キョトンとするルイス。


「シャドーに、林檎を見られた。そしたら、襲われて林檎を破壊されたみたいだ。トモとハルトも、現在進行形でにげてる。どうしようか?」


ルイスは、一度戻って林檎は置いてある。


「一度、林檎を追うシャドーの心を見たいです。グレンは、一度戻って林檎や素材を守ってください。僕は、2人の林檎を手放すかどうかの判断を。」


グレンは、頷くと気配を消して消えた。ルイスは、小さく息を吐き出して歩き出した。


ルイスは、シャドー達をみる。言葉の全てに、林檎に対する怒りを感じてしまう。ルイスは、林檎を手放す判断をした。2人は、林檎を手放しシャドーは林檎をめちゃくちゃにして去ってしまうのだった。










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