第348話 息抜きにクエストを…

取り敢えず、クエストという訳で待ち合わせです。


「ルイス様、どちらに?」


ランコルは、外に出ようとするルイスに言う。グレンも、隣に居たので何か用事なのかと思ったのだ。


「お友達と、今日は遊んでくるのです。」


「なるほど、それならばプレイヤーには、お気をつけて行ってらっしゃいませ。この時期ですし。」


ルイスは、苦笑して頷く。




冒険者ギルドにて…


ルイスが、ギルドに入ると視線が集まる。


「あ、2人とも来たな。」


トモが、気づいて手を振れば2人も手を振る。ルイスも、笑顔で手を振り近づいて行く。グレンも、ワクワクした雰囲気だ。完全に、プライベートだ。


それを見て、声をかけようとする初心者や、リタイアしたくなくて仲間に入れて貰おうとする人。


ルイスは、気づいてどうしようかと困る。


しかし、周りの圧に負けて踏み止まる。ルイスは、手を振り感謝しながら微笑んだ。圧を掛けていたプレイヤーは、気にするなと手を振ったり優しく笑いかけている。受付嬢さんでさえ、睨んでいたのだ。


「やっほー、大変そうだな。」


ユウユウは、思わず心配そうに言う。


「そうですね。けど、優しいプレイヤーさん達にはとても助けられてます。プライベートを、邪魔されないのが何よりも嬉しいですよね。やはり。」


ルイスは、声に出してプライベートと言った。すると、さっきの威圧もあってか逃げる一部の人。


「それで、クエストとは?」


「チェインクエストだと、思うんだよな。」


内容は、良くあるお使いクエストです。ミッションの下に黒塗りの枠が21個。クリアすれば、次のクエストが解放されるんですね。けど、珍しいです。


チェインクエストは、多くても10あるかないか。


倍以上あるものは、イベントで稀にある程度。それは、グレンも思った様で思わず2人は考える。


「これで、報酬がゴミだったら悪いけど。」


ハルトは、苦笑している。


「いや、別に俺らは遊びたいだけだし。」


「報酬とかより、遊び目的なので気にしないです。取り敢えず、移動しながら話しましょうか。」


グレンとルイスは、暢気に言う。2人も、同意する様に頷く。思い出した様に、ユウユウが言う。


「今、配信イベントやってるじゃん?」


「確かに、やってますね。」


ルイスは、頷いてキョトンとする。


「どうせなら、配信しようぜ。」


「俺は良いけど。」


グレンが言い、2人は頷く。そして、ルイスに向けられる視線。ルイスは、少し迷ってから頷く。


「タイトル何にする?」


「攻略合間の休憩にぞうぞ的なやつ!」


そして、配信開始。


クエスト1 美味しいパン


「あら、いらっしゃい。」


パン屋のおばさんが、優しく笑いながら来る。


「美味しいパンを、作りたくて。」


「それなら、おばさんに任せなさい。」


ルイスは、暢気にレシピを見て頷く。


「どうだい、出来たかい?」


ルイスは、頷いてからパンを渡す。


「流石だね。また、習いに来な。それと、お願いなんだがね?ミン爺が、忘れ物してね。」


「じゃんじゃん行こう!」


クエスト2 忘れ物を届けよう

ミン爺に、荷物を届ける。


「荷物、ありがとう。一つ、頼みが有るんじゃ。」


クエスト3 教会の掃除をしよう

決まったエリアで、指定のゴミを回収しよう。


「視聴者、0人だと気楽で良いな。」


「それな。」


すると、シスターが来る。


「この子、迷子みたいでして…」


クエスト4 迷子の道案内


迷子を案内し、その親から頼まれる。


クエスト5 荷馬車を奪い返せ


「普通のチェインクエストだな。」


「そうだな。」


ルイスは、考える雰囲気である。取り敢えず、雑魚敵を倒すとボス敵がゆっくりと現れる。


※ここから、ネタが入ります。


「いっやほぉー!」


「いくぜぇー!」


ユウユウとグレンは、ボスに全力突撃する。


「え、おい!?」


ハルトは、驚いて止めようとする。


「まあ、あいつらなら大丈夫だろ。」


「2人とも、お馬鹿さんです?


次の瞬間、HPが半分以上も削れる2人。慌てて、3人走り出す。このままでは、2人が死んでしまう。


お馬鹿!」


ルイスは、慌てた雰囲気で悲鳴の様な声で怒る。


「ルイス、回復!」


トモは、焦った様に言う。


「距離が遠すぎます!」


「援護するから、このまま突っ込むぞ!」


トモが言えば、無言で頷くルイス。


「ハルト君も、防御固めて突撃です。」


なんと、敵ボス撃破。


「何で、突っ込んで行った?」


少し呆れた雰囲気で、ため息をつくトモ


「未知の敵に、突撃するの楽しいし。」


ユウユウは、挙手しながら笑う。そもそも、こういう奴であるのは知っていた。ハルトは、苦笑する。


「お2人とも?次したら、ぶん殴りますからね。」


すると、思わず正座してしまう2人。


「今日も、おかんは大変そうだな。頑張れ!」


トモは、思わず笑いながら言う。


「誰か、おかんですか!誰が!」


ルイスは、素早く言い返す。ハルトは、無言で笑いを堪えて震えている。ルイスは、思わず素晴らしい笑顔。思わず、顔を逸らすハルトであった。


この時点で、視聴者2万人になっている。


勿論、ルイス達は気づいていない。友達と遊べて、楽しいが余りに視聴者とかどうでも良くなった。


荷馬車を返すと、試練のチケットを貰えた。


クエスト6 風精霊の試練をクリアせよ


「一気に、雰囲気が変わりましたね。」


ルイスは、キョトンとしている。


「戦闘か?いや、確かこのエリアは…」


火 火力の試練

水 魔法の試練

木 支援の試練

土 防御の試練

風 俊敏の試練

光 回復の試練

闇 異常の試練


全 最終の試練


「よし、次の試練は罰ゲームありな!」


トモは、ニヤニヤと言う。


「例えば?」


ユウユウは、暢気に聞き返す。


「試練の次、そのクエストで語尾しばりとか?」


「絶対に、負けません!意地でも、負けません。」


ルイスは、真顔で言う。


「回避特化のルイスは、スキル無しでな。」


「確かに、ルイスはスキル使えば楽だしな。」


トモの言葉に、グレンも同意する。


「え?いやいや、スキル使う前提の試練では?」


ルイスは、嫌そうな雰囲気。


「スキル使わなくても、ルイスは回避能力が高いだろ。これで、フェアになるはずだぜ。たぶん…」


とういことで、風精霊の俊敏の試練。


回避の間に、5人で入る。


ルールは、簡単3回勝負…。


風精霊の放つ、空気の弾を時間の間に回避するゲームです。ステージが、上がるごとに時間は増えます


HPバーの上にある、3つのハートが当たるたびに壊れます。3つ破壊されれば、ゲームオーバー。しかし、次のステージに行けたらハートが1つ回復します。一個もハートが、壊れてない場合はハートが4つになる訳です。ステージは、全7ステージ。


「それでは、行ってみよーう!」


「「「「おー!」」」」


風精霊さんは、ニコニコして風の弾を放つ。


「最初は、かなりゆっくりなんだ?」


グレンは、暢気に言いながら避ける。


「まあ、1番最初ですからね。」


ルイスも、苦笑して回避する。次々にクリアし、4ステージ目。ハルトは、装備に当たりハートが。


「え、装備も駄目なのか。」


ハルトは、少し落ち込む。


「まあ、当たってるからな。」


トモは、冷静に笑う。


「皆さん、ここからが地獄ですよ?」


ルイスは、頭が痛そうに言う。


「速くね?」


「速いな…」


トモの驚きの声に、グレンも呻く様に言う。


「運営さぁーん、早く修正をお願いするのです。」


ルイスは、ヒラリと回避しながら言う。


「お前が言うなよ。」


グレンの突っ込みに、笑うルイス。


「ハルト、罰ゲーム確定!」


ユウユウは、笑いながら言う。


「ぐぅおおお!」


ハルト、絶望の叫び。それを見て、3人は笑う。


「ぎゃあー、無理無理無理!」


ユウユウが、ステージ5で悲鳴をあげて罰ゲーム。


「長い長い、早く終わってくれ!ごふっ!」


残り1分で、トモも罰ゲーム確定する。


「ルイス、まだ余裕がありそうだな。」


ユウユウは、座りながら言う。


「まだ、あいつ一回も当たってないし。」


トモは、苦笑しながら言う。


「グレンは、後ハート2つか。ルイス、ハート8個とかやば過ぎん?これ、楽々勝利じゃね?」


ハルトが言えば、ルイスとグレンは苦笑する。


「ステージ6からは、ハートが2個ずつ削られるのですよ。しかも、フェイントや変化をつけて来ますから。スキル無しでは、流石に僕も無理です。」


焦る様に、どうしようかと考えるルイス。


「もう、当たれねぇー!」


泣き言の様に、思わず叫ぶグレン。


「どうせなら、皆んなで地獄に行こうぜ⭐︎」


「「絶対、いやだ!(です!)」」


トモの声に、同時に答える2人。3人は爆笑する。


視聴者15万人…。


「うおっ!危なっ…ぐはっ!」


フェイントに、騙されてグレンも罰ゲーム確定。残るは、ルイスのみ7ステージでハートは2つ。


「無理なのですぅー!」


ルイスは、スタート2分で罰ゲーム確定した。


「よぉーし、皆んなで地獄に行こうぜ!」


取り敢えず、外に出ることにするのだった。

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