第347話 クエストのお誘いと日常
学校にて、攻略情報を話しているクラスメイト。瑠衣は、本を開きながらも考えていた。
あとは、山羊座•水瓶座•魚座の3体。
過去に、モンスター化した星座は少なく、神話をヒントに弱点を探していました。
まあ、射手座はイライラしたので力技ですけど。
「瑠衣、おはよう。考え事か?」
「次の山羊座攻略、何かいい本がないかなって…」
ルイスは、神話の本を見せながら呟く。
「毎度思うけど、お前の知識量って凄いよな。」
「そう?」
春都の褒め言葉に、思わずキョトンとして首を傾げる瑠衣。読書は、かなり大好きでジャンル問わず見てきた。手芸や料理、図鑑は小さい頃からボロボロになるまで読んだ記憶があるくらいだ。
「だって、知らない事を知れるのは楽しいし。」
瑠衣は、純粋な微笑みを浮かべる。
しかし、春都は思ってしまった。それは、悲しい真実である。読書、料理、絵描き、手芸。
全部、1人で出来る遊びであるという事だ。
「瑠衣は、寂しくならねーの?」
「今は、ゲームがあるからね。メンバーと、わいわいするのは今も昔も大好きだよ。それに、頼られ過ぎるのは嫌だけど、頼られる事は嫌じゃないし。」
瑠衣は、少しだけ上機嫌に言う。
「そういう所だよな、俺には眩し過ぎる。」
「ん?意味がわかんない。」
瑠衣は、キョトン首を傾げるのだった。
木漏れ日喫茶にて…
そう言えば、誠太さんにバラしたんでした。どっ、どきどきしますけど。えぇーい、行くのです!
「こんにちは。」
「よーう、お疲れ様。」
皆んな、普通の対応で安心しました。
「そだ、瑠衣は攻略は順調か?」
一瞬だけ、誠太さんが反応するがスルーした。
「まあまあです。」
瑠衣は、暢気に違和感なく質問を回避、すり抜けていく。誠太は、無言で近くで聞いててくれている。万が一の時は、割り込んで会話を終わらせようと思ったからだ。瑠衣も、その優しさは理解していた。
お客さんも、攻略が上手く行かない人や、リタイアの話で盛り上がっている。しかし、運営は調整はしない方向と発言している。困ったものである。
「よーし、最後のお客さんも帰ったな。」
「それでは、皆さんお疲れ様でした。」
マスターの声で、着替えて足早に駅に急ぐ。
今日は攻略はお休みです。春都君、クエストの約束をしたのです。まだ、内容は聞いてませんが。
電車に乗り座ると、神崎達が声を掛けて近づいて来ていた。瑠衣は、キョトンとしている。
「瑠衣、クエストには俺達も行っていいか?」
わいわいするのは、大好きなのだ。なので…
「もちろんだよ。」
そして、瑠衣の読んでた本を見て笑う。
「相変わらず、勤勉だな。」
「山羊座には、ローマ神話とギリシア神話が書かれてた。これ、どっちだろう?どっちもかな?」
瑠衣は、射手座の時と同じ状況に困る雰囲気。
山羊座は、今まで敵として一度も出て来ていない。なので、比べる対象も居ない。さらには、どっちもの場合は面倒な事になるのはお察しなのだ。射手座より、情報量が少なく厄介な状況なのである。
本を閉じて、深いため息を吐き出す瑠衣。3人は、苦笑して励ますしかない。何せ、3人とも調べ物は得意ではない。なので、力にはなれないのだ。
一応、努力した時もあったのだ…諦めたけど。
神崎は、飽きやすいし動く事が好き。裕太は、基本的に馬鹿で本を読んでも理解できない。出来ても、上手くまとめられない。智也は、好きな事しか調べないタイプ。興味ない事は、調べたくなく面倒だと放り投げるのだ。ちなみに、春都も調べるの苦手であり、誤情報に踊らされてしまう。瑠衣は、知識欲が有り疑問に思ったり、もやもやすると徹底的に調べ尽くす。自分が、理解し納得するまで。
「取り敢えず、クエスト行ってから考えるか。」
神崎は、暢気に笑う。
「そうだね。ちょっと、眠いけど…。」
瑠衣は、小さく欠伸をして伸びをする。
「瑠衣を、動物に例えるなら猫だよな。」
すると、同意する2人の声。
「それ、よく言われるけどおかしいでしょ。」
「おかしくねーよ。」
そう、ふざけながらわちゃわちゃと過ごす。
「俺ら、ここで降りるんだった。」
そう言って、裕太と智也は慌てた雰囲気で走る。瑠衣と神崎は、笑いながら手を振るのだった。
「そう言えば、クエストって何のクエストだ?」
「それが、僕も何も聞いてないんだよね。」
瑠衣は、暢気に本を鞄に入れながら言う。
「まあ、いい息抜きになるかもな。」
「そうだね。」
神崎の言葉に、瑠衣も優しく笑い頷く。
「よーう、お前ら。今帰りか?」
牧田が、暢気に電車に乗って声掛けてくる。
「電車で会うのは、珍しいですね。」
瑠衣は、キョトンとしている。
「今日は、動画を撮りに行ってたんだ。」
「お祭りの動画を少し。」
アーサーも、いつものキャラを隠して言う。
「お祭りかぁ…。学校付近で、小さいけどお祭りがあるとは聞いてるけど。あとは、駅近くで祭りが。商店街のある、大きめの駅であるみたいだ。」
「商店街の方には、行こうと思ってる。」
瑠衣は、暢気に笑いながら言う。
「今日は、逆方向の街で大きな祭りがあった。」
神崎が、思い出した様に言う。
「なるほど、それで木漏れ日喫茶にたくさんの浴衣客が。お祭りで、出たゴミを置いて行ったり。注文せずに、お祭りで買った物を食べ出したり。お酒に酔いすぎて、絡んで来たり大変だったんだよね。」
瑠衣の言葉に、思わず引いてしまう牧田達。
「イベントあると、お店は戦場になるんだよ。」
素晴らしい笑顔で、遠い目をしながら言う。
「店員は、歴戦の戦士になるんだな。なるほど…」
心配そうに、苦笑しながら呟く牧田。
「ヤバいっす、正気に戻るっすよ!」
思わず、いつもの口調に戻るアーサー。
「まあ、いいや。終わった事だし…。それより、この時間とは遅いですね。混んでましたか?」
瑠衣は、深いため息吐き出して言い、話題を変えようと牧田達を優しく見つめる。
「人が多すぎて、乗り換えないと帰れなかった。それで、時間潰してたらこんな時間になったわけ。」
瑠衣は、納得する。牧田やアーサーは、瑠衣達が降りる駅より2つ後ろの駅なので、手を振り電車を降りる瑠衣と神崎。2人は、笑顔で手を振る。車内に2人だけになり、動画の話をする2人であった。
瑠衣と神崎は、のんびりと帰り道を歩くのだった。
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