第344話 射手座 ♐︎攻略 前半

ルイスは、小さく息を吐き出す。


さてさて、どうしたものでしょうか?次の敵は、射手座なのです。いかにも、狩人みたいな見た目の。


日本では、いて座は「半人半馬の賢人ケイローンが弓を引く姿とされ、ヘラクレスが誤って放った毒矢が当たり、苦痛のためゼウスに死を願って聞き入れられ、彼の死を悼んで天に上げられて星座となった。」とする話が伝えられてますね。


しかし、紀元前3世紀頃の学者エラトステネースや紀元前1世紀頃の著作家ヒュギーヌスは、ケイローンをモデルとする星座はケンタウルス座であるとしていました。エラトステネースは著書 『カタステリスモイ』の中で、この星座はケンタウロスではない、とする説を紹介していまして。その根拠としては、ケンタウロス族は弓を使わないこと、星座が四つ足を持っているようには見えないことを挙げ、この星座はケンタウロスではなく、馬の足と尾を持つサテュロスのような人物であるとしています。


ふむふむ、国によって神話が違うのは面白いです。


サテュロスについて、ギリシア神話に登場する半人半獣の自然の精霊です。ローマ神話にも現れ、ローマの森の精霊ファウヌスやギリシアの牧羊神パーンとしばしば同一視されました。「自然の豊穣の化身、欲情の塊」として表現されます。


ちなみに、サテュロスだったら怖すぎます。


悪戯好きで、同時に小心者です。破壊的で危険であり、また恥ずかしがりやで臆病だったとか。ディオニューソス的な生き物として、彼等はワインと女性と美少年を愛しました。人間にとっては激しい恐怖だったのだとか。うちには、美少年が多いのです。


その、学校の美少年トップ3がそろってますし。ハルトくんも、3人には負けますが整ってます。


そう、説明すると苦笑する大人達。


「あのさ、一番狙われるのルイスじゃね?」


「それ、俺も思ってた。」


ユウユウの言葉に、トモが頷く。


「はい?」


キョトンとして、固まるルイス。


「ルイス、今のお前はリアルと違ってだな…。」


グレンは、とても言いづらそうである。


「仕方ない、ここは俺が言おう。ルイス、お前ってさ…中性的な顔してるのな。奴らの好きな、女性にも美少年にも見える容姿って事だな。」


すると、マッキーの言葉にルイスは青ざめる。


「まあ、ゲームだしやばい事にはならんだろ。いっそうの事、魅了してくれれば助かる。」


トキヤは、素っ気ない雰囲気で言う。


「いっ、嫌ですぅー!」


ルイスは、現実逃避しながら叫ぶ。


「ルイス、仲間にレイやセツナと言った女性も多いんだぞ?そっちに、興味を持たれる方が怖い。」


「あー…、そうなんですよねー。」


ルイス、ため息を吐き出すと無言で考える。


「それに、破壊はお前も得意だろ?仲間の為だ。」


「その言葉は、卑怯なのですよ…。」


ルイスは、少しだけ苦笑して呟く。


同盟や仮メンバー達も、無言で見守っている。射手座は、今の所はチャレンジャーがおらず、情報が全く無いのだ。公式や掲示板、その他のサイトで調べてもないものは無い。ルイスは、烏丸を見る。


「過去のイベントで、射手座がいたでござるが…その、弱かった為にデータが残ってないでござる。」


「ふーむ、困りました。」


ルイスは、考える雰囲気である。


「烏丸さん、他の考察班や攻略組の情報は?」


「ふむ、いくつか聞き込むでござるよ。」


そう言うと、仲間に視線を向ける。全員が、素早く走り出していた。ルイスは、頷いている。


「情報は、僕が買うと言っておいてください。」


すると、キョトンとする烏丸。


「情報源は、多いに越した事はありません。ただしですが、ふっかけるのならばこの日限りです。」


ルイスの言葉に、烏丸は真剣に頷いている。トキヤ達も、同意する雰囲気である。ルイスは、解散と言って立ち上がる。そして、暫くしてから集まる。


「ルイス殿、困ったでござる。」


烏丸は、苦笑して現れる。


「ん?」


ルイスは、キョトンとしている。


「それが、情報はあったのでござるが…」


ルイスは、無言で続きを促す。


「報酬を受け取っては、くれないのでござる!」


「ん?ん?えっと、どうしてですか?」


困惑した雰囲気で、聞き返すルイス。


「拙者の嫁であるゆえ。夫の主から、報酬を貰おうとは思わないと。困った、困ったでござる。」


「なるほど、それならば少々お待ちください。」


ルイスは、キッチンに向かいケーキを作る。


「情報を探してくれたお礼です。報酬ではなく、僕の純粋な感謝の気持ちだとお伝えくださいな。」


「なるほど!」


烏丸は、ルイスからケーキを受け取り嬉しそうだ。


「それと、いつか奥さんを紹介してくださいね。」


ルイスの、少しだけお茶目な雰囲気に同意する様に笑う周囲。烏丸は、少しだけ迷った雰囲気である。


「その、嫁は信者なのでござる。聖人様の…」


「おや、イメージ崩壊は避けるべきです?」


ルイスの言葉に、首を振る烏丸。


「寧ろ、イメージ崩壊しても素敵だと…。可愛がる対象として、信者(ファン)なのでござるよ。」


「何故、僕の周りの大人は…いえ、いいです。」


ルイスは、小さく呟けば大人達は笑う。


「取り敢えず、ケーキをお願いしますね。」


ルイスは、情報を受け取りゆっくりと座る。そしてから、リーダーと大体のスキルを考察する。


「じゃあ、行ってみようか射手座戦!」


マッキーの言葉に、全員が答えるのだった。


「戦闘開始です!」


ルイスの声に、全員が走り出した。

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