第343話 勧誘合戦
ルイスは、木漏れ日喫茶メンバーに手を差し出し、起き上がらせて回復をかけて優しく微笑む。
「僕は、君達を待っていたのですよ。」
すると、キョトンとしている木漏れ日喫茶メンバー
「3日前に、変態に絡まれていると話していたのが聞こえまして。つい、心配で待っていたのです。」
ルイスは、心配そうな雰囲気である。
「え、あの…お恥ずかしい。」
メイナは、驚いて恥ずかしそうに言う。ルイスは、クスクスと笑う。そして、真剣に男を見る。
「本当だったのですね。ではきっと、手回しされて野良で組めないというのも本当なんでしょうね。」
ルイスは、少しだけ残念な雰囲気で言う。すると、慌てた反応をする周りのプレイヤー達。
「うわぁー、全部聞かれてる!全部聞かれてる!」
恥ずかしそうに、悶えるメイナと苦笑するメンバー
「マスターも、その話を聞いて心配してました。」
「え、お父さんが?そっか、心配を…」
メイナだけでなく、その他のメンバーも苦笑する。
「それにしても、ルイスさんが常連客って本当だったんですね。それで、話を戻しますが要件は?」
殴られた、木漏れ日メンバーのコイズは聞く。
「僕達と一緒に、イベント攻略しません?」
「え、そんな申し訳ないですよ…」
メイナは、素早く申し訳ない雰囲気で言う。
「そうだ、そいつらにはもったいない。」
ルイスは、小さくため息を吐き出して男を見る。
「それは、何を基準に言っているのでしょうか。」
「おたくらは、日本サーバーの顔とも言える有名クラン。対するこいつらは、連携もままならん駆け出しのゴミ。ふんっ、足を引っ張って終わりだろ。」
ルイスは、考えてからメイナに動画を見せて貰う。
「メイナさん、此処での指示は何かありました?」
動画を止めて、ルイスが聞くと聞いてないと答えている。そう、明らかに指示が少な過ぎるのだ。
「なるほど。その人はメイナさん達を、勝たせる気が無かった事が分かりました。まともに、指示する気がないし適当に合わせろなど呆れました。」
ルイスの言葉に、思わず睨む男。
「やっぱり、わざとだったと。」
険しい雰囲気で、男を見る木漏れ日メンバー。
「メイナさん、マスターと僕のおじいちゃんは同い年で、小さい頃から僕もお世話になってます。それに、木漏れ日喫茶の常連客ですから。皆さんが、信頼できる存在だと知ってます。無理に、誘うつもりは有りません。けど、良ければどうでしょう?」
ルイスは、心から心配そうなそれでいて穏やかな微笑みを浮かべる。思わず、嬉しくなる喫茶メンバー
「あーもう、良い加減に邪魔すんなよ!」
男は、剣を振り回して攻撃する。しかし、素早くその剣は弾かれる。ルイスは、動いていない。
「待たせたな、マッキーさんだぜ!」
「おや、今日は忙しいのでは?」
ルイスは、素っ気ない雰囲気で言うと笑う。
「新メンバーが、気になったから来てみた。にしてもだ、いきなり攻撃するとか何だこいつ?」
ルイスは、説明すると不快そうなマッキー。
「ふーん…。その動画、俺にも見せてくれよ。」
マッキーは、動画を見ると怒りの雰囲気である。
「なるほど、これは無茶苦茶だな。」
「明らかに、仲間のミスを誘発してるっす。」
ルーカスは、真剣な雰囲気で言う。
「あ、そうです。このゲーム、街での戦闘は特殊な場合しか許可されてません。なので…」
すると、衛兵が現れて男を捕まえる。
「は?はなせやこらぁ!」
そう言って、暴れる男にルイスは笑顔。
「僕も、通報しちゃいます。」
「あ、俺もしとこうかな。」
マッキーも、素早く通報画面を出して言う。
「それ、良いっすね。」
ルーカスは、木漏れ日メンバーに通報の仕方を教える。烏丸が、隠れて通報をポチッたのは内緒だ。すると、鬼崎さんが現れて疲れた雰囲気である。
「また、貴方ですか…。」
「鬼崎さん、この人は過去にサバゲー5件、ホラーゲー2件ファンタジーゲー8件を出禁にされてます。しかも、個人情報を調べてリアル凸した事も…。」
ルイスの言葉に、表情を引き攣らせる鬼崎。
「そして、今回のターゲットは既に居場所がバレてます。まあ、木漏れ日喫茶隊なんてクラン名ですからね。しかも、狙われているのは女性です。」
すると、周りのプレイヤーから容赦なく白い目で見られる男。鬼崎は、深いため息を吐き出している。
「ログを確認して、悪質だと判断されたのでうちも出禁にしたいと思います。利用規約違反が、みられましたので。今まで、ありがとうございました。」
そうして、凍結されて消される男。
「何故、そんなに良くしてくれるんですか。」
「身内贔屓ですよ。行きつけのお店の、愉快な店員さん達。それで、どうしましょう?」
ルイスは、優しく微笑む。
「……よろしくお願いします!」
こうして、木漏れ日喫茶隊が仮メンバーとなった。
ルイスは、お店の3階の部屋を木漏れ日喫茶メンバーに貸す。手厚いサポートに、困惑している。
その日の夜、木漏れ日喫茶隊のサジがルイスに近づく。ルイスは、無言で微笑みサジの言葉を待つ。サジは、木漏れ日喫茶隊の頭脳役。リアルでも、お馬鹿2人のストッパー兼ツッコミ役を担っている。
「聞いて良いですか?常連客と聞きましたが、俺はルイスさんらしき人を見た事がないです。」
「そうですか。」
ルイスは、素っ気ない雰囲気である。
「本当に、あなたは何者なんだ。嘘ついたのか?」
サジの言葉に、深いため息を吐き出すルイス。幸いな事に、此処にはルイスとサジしか居ない。
「先輩、酷すぎないですか?今では、ほぼ毎日のように一緒にお仕事してるのに。少し、凹みます。」
その口調と雰囲気に、目を丸くして固まるサジ。
「先輩、他言無用ですよ?」
苦笑して、少しだけお茶目に言う。
「なるほど、ちなみにマスターは…」
「勿論、僕の正体は知ってますよ。」
ルイスは、ノホホーンと言う。
「取り敢えず、俺は何も聞かなかった。」
「はい、サジさんは僕と雑談しに来ただけです。」
サジさんの事です、約束は絶対に守ってくれるでしょう。ですが、知る人が増えれば増えるほどに恐怖が襲うのです。バイト辞めて、逃げ出したくなるのです。別に、バイトしないと困る訳では無いので。
「…大丈夫だ、だからちゃんとバイトに来いよ。」
そう言うと、手を振りサジは去るのだった。
「取り敢えずは、様子見だな。」
トキヤが、来ていた事はマップで理解していた。
「そうですね。」
ルイスは、そう呟くとログアウトするのだった。
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