第342話 リタイアする人達

俺は、とあるクランのリーダーだ。今回のイベントが、高難易度過ぎてメンバーの意見が割れている。


ユウユウとかは、続行を希望しているが…


取り敢えず、組んでいるクランでも同じく意見が割れているらしく、攻略が全く進んでいない。リーダー達で話し合い、続行組はノラと組む事になった。


しかし、うちのユウユウは勧誘合戦になる程の人気だ。まあ、あのルイスさんのリアル友達だしな。


本人も、それを理解しているのか困り顔だ。


「いっそうのこと、助けを求めてみるか。」


俺は、そう呟いて立ち上がるのだった。




瑠衣は、お店が早仕舞いしたので、メンバーと休憩も兼ねて休憩していた。やはり、話題は高難易度クエストについてだ。瑠衣は、無言で聞いている。


そして、マスターの娘さんが絡まれている事も…。


「あいつ、私の胸や尻を舐め回す様に見てさ。」


ケーキを切りながら、イライラした雰囲気だ。


「しかも、彼女になるなら仲間にしてやるとか、上から目線で馬鹿にした雰囲気で言うのよ。」


マスターが、心配そうに娘さんを見ている。


「ゲームで、そういう出会い求めんなよな。」


ため息をつく、大学生のバイトメンバー。


「最悪なのが、周りに手回ししてなかなか組んでくれる人が居ないんだよなぁ。厄介すぎる…。」


瑠衣は、考える雰囲気で言う。


「木漏れ日メンバーで、行動しているんですか?」


「そうそう、瑠衣君も来る?」


先怒りを消して、優しく笑うマスターの娘さん。


「僕は、既に所属クランがあるので。」


瑠衣は、素っ気ない雰囲気で言う。


「ふーん、なんていうクラン?」


瑠衣は、一瞬だけ固まるがそのタイミングで、マスターがケーキを瑠衣の前にもう一個だけ置く。


「えっと、マスター?このケーキは?」


瑠衣が、困惑した様に言えば。


「せっかくなので、残り物のケーキもどうぞ。」


「ありがとうございます。」


マスターと話している間に、他のメンバーと話しているマスターの娘さん。瑠衣は、小さく息をつく。


そして、瑠衣は宿題を出して暫く勉強する。気づけば、マスターが前に座って新聞を読んでいた。


「実は、相談があるんです。」


「先程の事ですか?」


マスターは、本当に深刻そうに頷く。


「私も、絡まれているのを見た事があります。娘達は、100レベルなのですが彼らは200超え。まだ、100にも到達していない私では…。」


マスターは、とても悔しそうな苦しげな雰囲気。


「運営に、通報は?」


「お説教を受けて解放されましたよ。」


瑠衣の言葉に、困り顔で答えたマスター。


「仕方ないですね、木漏れ日喫茶の常連客としてやれる事はしましょう。あ、店員としてじゃ無いですからね?くれぐれも、沈黙を通してくださいな。」


瑠衣は、堂々とした雰囲気で言う。


「本当に、ありがとうございます。」


「それは、全てが終わった後に言って欲しいです。取り敢えず、僕は帰ってする事が出来ました。」


瑠衣は、支払いをしてゆっくり歩いて行った。




ルイスは、ログインすると烏丸にその男について、早急に調べるようにお願いして立ち上がる。


「ルイス、どうするんだ。誘えば、バレるリスクが高くなってしまうぞ。確かに、確実だけど。」


トキヤは、珈琲を飲みながら言う。


「その時は、バイトやめるだけですよ。」


ルイスは、素っ気ない雰囲気で笑う。


「…まあ、そこまではしなくて良いと思うが。」


トキヤは、息を呑み目を丸くする。


「取り敢えず、友人の所属しているリーダーから、連絡が来てたので。それ含め、まとめて終わらせて来ちゃいますね。リタイア組の話でしょうね。」


「なら、俺も一緒に行く。」


トキヤは、私服装備から戦闘装備に変更して言う。ルーカスも、無言で着いて来たので3人で行く。




冒険者ギルドにて…


「突然、呼び出してすまない。」


リーダー達の隣には、ユウユウとトモが居る。


「単刀直入に言う、2人をイベント期間だけ仮加入させて欲しいんだ。実は、リタイア組が多くてな。2人は、ルイスさんとも仲がいいだろ?それで、悪意のある勧誘に悩まされていてな。頼む!」


ルイスは、2人を見ると疲れた笑顔のふたり。


「お2人なら、僕も大歓迎ですよ。」


明るく、ノホホーンと言うルイス。


「感謝する。俺は、リタイア組を見張らないといけんからな。何せ、自分達でリタイアを決めたのに、嫉妬して何やらかすか分からんやつもいるし。」


苦笑するリーダーさんに、ルイスは無言で頷く。


「暫くは、breezeの仮加入という訳で、お2人ともよろしくお願いしますね。まあ、2人の性格ならばメンバーとも大丈夫だと思いますけど。」


ルイスは、優しくクスクスと笑う。


「まあ、お邪魔するな。」


「暫く、よろしく!」


2人は、照れた雰囲気で言う。それから、暫くお茶をしてトキヤに2人を任せる。リーダー達は、キョトンとするがルイスは立つ事もせず無言である。


すると、木漏れ日メンバーが入ってくる。


「誰か、野良組まないか?」


此処は、始まりの街でイベントに行ける様なクランは少ない。かなり、追い詰められている様だ。


ルイスは、ゆっくり会話を盗み聞く。


暫くして、烏丸が紙を通りすがりに置いて行く。ルイスは、無言で紙を見つめている。


「なるほど…。」


小さく呟かれた声は、凍てつく様に冷たかった。


「ルイスさん、待ち人でもいるのか?」


「はい、そうなのですよ。」


先程の冷たさが、嘘の様に微笑むルイス。リーダー達は、それを見て素早く離れた場所へ移動。


ルイスは、無言で紅茶を飲んでいると騒ぎが。


「お前ら、まだ組めてねぇーの?」


バカにした口調に、無視する先輩達。すると、男はマスターの娘さんであるメイナに近づく。メイナを庇う様に立つ、木漏れ日メンバーの男性陣。


2人が、殴られた所でルイスは無言で立ち上がった


「おやおや、公共の場で血祭りですか?」


大物の登場に、ギルド内の全員が固まるのだった。










作者の謝罪

寝落ちからの、起きれませんでした。申し訳ないです。今度こそ、寝落ちしないそ…

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