第328話 旅行1日目

瑠衣は、眠そうに時矢達に挨拶する。すると、牧田が珈琲を渡してくれた。時刻は、4時である。


「おはよう、瑠衣。」


「おはようございます…」


大人達は、慣れているのか目が覚めている。アーサーは、神崎達を起こしに行った。瑠衣も、眠そうである。暫くして、車で空港に移動していく。


「何か、ワクワクして来た。」


「楽しみだね。」


神崎の言葉に、瑠衣は笑いながら頷いて言う。


「良い思い出を作ろう。」


春都も、笑顔である。大人達は、そんな3人を微笑ましく見守る。そして、素早く飛行機に乗る。


そして、飛行機での空の旅…


「瑠衣、あの大きな建物がイベント会場だ。隣の遊園地では、コラボ企画をしてるからそっちも行く予定だな。取り敢えず、ホテルに一旦は向かう。」


牧田の説明に、瑠衣だけでなく神崎達もワクワク。


ホテルで、荷物を置いて最小限の持ち物だけで、イベント会場へ向かう。かなり広く、人も多い。


芸能人や俳優など、有名人もちらほら見られる。


「お、マッキーさんや。写真ええか?」


牧田は、オフだからと断る。すると、芸能人さん達は笑顔で分かったと言い、瑠衣達を見て言う。


「待たせてすまんな、イベント楽しもうな。」


そう言って、手を振って去って行く。


瑠衣達は、イベント会場でグッズを見たり、買ったらして楽しむ。勿論、食べ歩きも…


「美味しいな。」


蒸しケーキを、のんびり食べながら言う神崎。


「チョコも、美味しいぞ。」


春都は、もぐもぐ食べている。


「やっぱり、チョコも味が気になる。」


「苺味は、微妙だね。」


瑠衣は、不味かったのか口を押さえながらも完食。


「「苺味は、絶対に買わん。」」


その表情を見て、真顔で言う神崎と春都。それを見て、時矢は飲み物を渡し、アーサーは爆笑する。牧田は、そんな様子を撮影しながらも笑う。


瑠衣は、感謝して飲み物を受け取り、ちびちび飲んでいる。神崎達は、苦笑して瑠衣を見るのだった。


場所は移動して、トークショーコーナー。


「居ないな。」


「あー…、居ないっすね。」


牧田とアーサーは、小さく呟く。


お客さんが、とても少ない。しかも、どの客も座る場所を求めてやって来た雰囲気である。


「知名度が低い、地元のプレイヤーが選ばれているからな。ゲストも、フォローしているけどな。」


瑠衣達は、無言で頷くと座る。


「次は、木漏れ日喫茶の出店に行こうか。」


そう言えば、瑠衣を含めて神崎達も喜んだ。木漏れ日喫茶では、コラボが決まると限定スイーツが開発されて出る。お店では、コラボ限定は基本的にお店では売らないので、出店に向かう必要があるのだ。


「「「限定スイーツ!」」」


目を輝かせて、はもったルイス達の声に、トキヤは思わず笑い牧田は同意する様に頷く。アーサーは、ニコニコである。勿論、神崎はスイーツより肉派だし春都もそうだ。しかし、瑠衣の影響でスイーツも好きになっていた。肉には、勝てないが。


そして、木漏れ日喫茶で限定スイーツを購入。


瑠衣達は、嬉しそうに食べている。見ていても、美味しそうに幸せそうに食べるので、他のお客さんもつられて複数人が注文してしまう。


これには、マスターもにっこり。


「スイーツも良いけど、そろそろ昼だし…」


時矢は、考える雰囲気で言う。


「「お肉!」」


目を輝かせて、神崎と春都が言う。


「だね。」


瑠衣も、落ち着いた雰囲気で頷く。


と言う訳で、マップを見ながら昼ご飯のお店探し。


6人でここはどうとか、コラボメニューあるとか評判的に良さげだとか。そんな、感じでワイワイ。


そして、ご飯を食べてからまた歩く。


会場は、広くて1日では遊び切れない。取り敢えずは、遊べるだけ遊ぼうと決めて歩くのだった。


そして、夕方にホテルに行くと見知った顔が。


「牧田、久しぶりだな。」


「シンとヴェイン、お久しぶり。」


白龍人→ジェイド(シン)

蒼龍人→ヴァン(ヴェイン)


牧田は、暢気に笑いながら言う。素早く、時矢とアーサーの後ろに隠れる瑠衣と神崎。春都も、遅れながら隠れる。時矢は、素っ気ない雰囲気。


暫くの沈黙タイム…。


「お前達の部屋番号は?」


「俺達、805号室だな。」


牧田は、あっさりと答える。


「遊びに行っても、良いだろうか?」


「リアルで、会えたんだし話そう!」


牧田は、隠れる3人を見てから言う。


「良いけど、3人は別室だし。」


時矢とアーサーは、頷くと笑う。


「3人とも、仲良くなりたいのに…」


「ご覧の状況だし、おそらく無理じゃないか?」


時矢の言葉に、無言で頷く瑠衣。


「仕方ない、無理に誘うのは気が引ける。また、機会があれば一緒に食事でも誘うとしよう。」


そう言って、去って行ってしまった。


「瑠衣、悪意はないのは理解してるだろ?」


牧田の言葉に、無言でうんうんと頷く。


「まあ、取り敢えず部屋に移動するか。」


そして、お風呂に入り眠るのだった。




次の日、早朝…


瑠衣は、早く目が覚めたので牧田達の部屋に行く。


「おはよう、瑠衣。」


瑠衣は、シン達が居ることに気づいて固まる。


「すまない、部屋が特定されて避難させて貰っている。それにしても、リアルでは初めましてだな。」


シンは、優しく微笑み言う。瑠衣は、ため息する。


「はい、初めましてですね。」


瑠衣のキャラが、変わった瞬間に息を呑む2人。


「まさか、ルイスだとは思わなかった…。」


シンは、まだ驚いた雰囲気で言う。


「そりゃ、正体がバレないわけだね。」


「2人とも、秘密は守ってくださいね。」


いつもの雰囲気で、可愛いらしく言う瑠衣。


「「本物だ、すごい。」」


2人の方が、大物なはずなのに感動している。こうして、2日目が始まろうとしていたのである。

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