第322話 帰還とルイスの悩み

ルイス達は、浄化作戦で疲れていたので、今日はお店も閉店してゆっくりと寛いでいた。


私服装備で、紅茶を飲むルイス。周りで、メンバー達もゆっくりと雑談しながらお茶を楽しんでいる。カロは、手紙をルイスに渡すと隣に座る。


「おや、これはまた賑やかになりそうですね。」


トキヤは、後ろから手紙を見て思わず笑う。


「親バカルイスが、また見られる様になるのか。」


「うちの子は、みんな可愛いのです。それに、序列などないし可愛いは癒しで正義なのですよ。」


ルイスは、親バカワールドを展開させる。


「まったく、困ったリーダー様だぜ。」


グレンは、愉快に笑いながらお菓子を食べる。


「カロ達も、同世代の子が居ることで安心すると思いますし、少しでも人との関わりを恐れないで欲しいのです。幸いにも、うちの子は親贔屓かもしれませんが、とても優しい子たちなのです。だから、きっと上手くいくと僕は思っているんですよね。」


優しく微笑み、また紅茶を飲むルイス。大人達は、同意する様に頷き、グレン達も明るく笑う。


「今日のお昼に、帰ってくる様ですね。」


「それなら、大好物を用意しないとですね。」


キリアは、優しく笑いながら言う。


「良いですね、久しぶり2人で料理しますか?」


「よ、よろしいんですか?いえ、とても嬉しいのですが、ルイス様はここ最近は忙しそうでしたし。」


キリアは、驚いた雰囲気である。それもそうだ、キリア達の料理スキルを上げるために、基本的にルイスはキッチンに入らない様にしていた。ルイスは、それでも譲れないと元気よく立ち上がる。


「僕だって、料理したいんですもん。」


そう言って、キッチンに向かうルイス。キリアは、嬉しそうに微笑みその後ろを追うのだった。


トキヤは、無言で微笑みルーカスもほのぼのと見守っている。料理出来るメンバーは、ルイスから学ぼうとキッチンに向かっている。その他のメンバーはゆっくりと休んでいる。キッチンから、暫くして良い匂いが広がってくるのだった。




プロメア達は、ドキドキした雰囲気でドアを開け、アトリエにゆっくりと向かう。


「お帰り、プロメア達。」


トキヤは、優しく笑いながら言う。


「「「ただいま!」」」


トキヤは、3人を連れて部屋を出る。


『3人とも、お帰りなさい!』


全員が、声を合わせて言う。プロメア達は、嬉しそうに微笑み食事を堪能する。そして、食べ終わるとずっと会いたかったルイスに向かって歩き出す。


「3人とも、修行お疲れ様でした。そして、お帰りなさい。僕も、君達と会いたかったですよ。」


ルイスが、優しく微笑み3人を見る。3人は、存分にルイスと久しぶりの会話を楽しむのだった。


カロやリリアも会話に入り、最年少組の愚痴や修行についての事を優しく微笑みながら聞いている。途中で、キリアが飲み物の追加を持って来たりする。


今日は、ゆっくり休む様に言って解散した。


それから、5人で買い物に出掛けると言うので、ルイスは5人の買い物に付き添う。どうやら、3人はカロとリリアの殺風景さに困惑した様である。という事で、部屋をコーディネートすべく買い出しにやって来た訳である。ルイスも、2人が遠慮しているのを知っていたので、乗っかってみた。グレンも、暇を持て余していたので同行している。


今回、トキヤとルーカスが留守番である。


相談しながら、ワクワクと品選びする5人。ルイス達は、それを優しく微笑みながら見守っている。


「そう言えば、ルイスの部屋も殺風景だよな。」


「まあ、ログアウトするだけの場所ですから。」


グレンの言葉に、ルイスはキョトンと答える。


「まあ、うん…。けど、良い機会だしルイスの部屋もコーディネートしよう!ちなみに、俺達の部屋の写真あるけど、こんな感じでちゃんとしてるぞ。」


グレンは、スクショを見せながら笑う。ルイスは、考える雰囲気で自分の部屋を思い返す。


「スコルとハティを預かった時に、コーディネートを解除してそのままなのですよね。もともと、仕事部屋兼寝床でしたし…。使い心地を、かなり優先してたのですよ。そう考えれば、殺風景でしたね。」


少しだけ、気まずそうに視線を逸らす。


「まあ、時間はあるし息抜きにもなるから、気長にコーディネートして行こうぜ。ルイスの場合、忙しすぎてそれどころじゃ無かったんだろうし。」


グレンは、暢気に笑いながら続ける。


「お前は、自分を大切にすべきだ。たまには、我儘や癇癪だって起こしたって良いんだぜ。まあ、立場がお前をそうするなら、最悪は捨ててしまえば良いとさえ思う。愚痴なら、いつでも聞くぜ相棒。」


固まるルイスを置いて、グレンはカロ達の場所に向かう。プロメアが、心配そうに声をかけてきて我に戻るルイス。そして、何とか笑い追いかける。


「頼られるのは、嫌いじゃありません。けど、頼られすぎるのは嫌気がさすのです。でも、困っている人を見捨てられないし、放置すれば最悪な事態になりかねません。僕は、どう選択すべきだったんでしょうね。いまだに、わからない事ばかりです。」


ルイスは、少しだけ苦しそうに呟く。


「現状を知らんから、俺からは何とも言えないけどさ。一度、全てを放り投げてみるのはどうだ?聖王の立場も、リーダーの立場や盟主の立場もさ。」


グレンは、のんびりと笑う。


「あの子達が、帰って来たのに出来ませんよ。彼らの帰る場所である、クランを捨てる事は絶対に出来ません。ただの店では、彼らを守れませんし。」


ルイスは、真剣な雰囲気で呟く。


「やっぱり、お前は自分より他人なんだな。まあ、そこは譲らなくて良いとも思うけどさ。」


グレンは、心配そうに微笑むのだった。ルイスは、無言で目を丸くして考えるのだった。

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