第320話 合流

ルイスは、チャットでグレン達に戻る様にお願いする。そして、深いため息を吐き出した。ステータスには、異常のオンパレードで戦闘は不可能だろう。


「やはり、逃げる様に指示して正解でした。」


マーレイは、青ざめて申し訳ない雰囲気だ。


「ごめんなさい、守りきれなくて…。」


「僕は、大丈夫です。マーレイ様は、大丈夫でしょうか?何処か、怪我とかしていませんか?」


ルイスが、優しく笑えば涙を流すマーレイ。


「やれやれ、まさか本体が来るなんて…。」


精霊王は、深いため息を吐き出す。


「おや、足止めは大丈夫なんですか?」


「うん、君のおかげで暫くは大丈夫。」


精霊王は、本当に嬉しそうな雰囲気である。ルイスは、キョトンとして龍王を見ると説明してくれる。


「クリフォトから、こちらに来ないと言わせる事に成功しただろ?口約束とはいえ、立派な契約だ。」


なるほど、これってちょっと…かなり、まずいのでは?あちらと僕に、繋がりが出来てしまうという。


「うん、お察しの通りだよ。けど、男に戻ってしまえば問題ないよ。契約は、女である君との契約だもの。元に戻れば、君を見つける事は出来ない。」


なるほど、じゃあ合流できましたし。そろそろ、男に戻っても良いですかね。良いですよね?ゲレティー様は、マーレイ様の隣に寄り添ってます。


あちらの方は、大丈夫でしょう。


取り敢えず、解除薬を飲んで。僕も、グレン達と合流しましょう。流石に、疲れましたけど動かなければ。ダンジョンでは、未だに戦闘が繰り広げられています。そちらが、気になるのですよね。


「ルイス、大丈夫か?立てるよな?」


グレンは、心配そうに言えば他のメンバーも集まって来る。ルイスは、グレンに手を貸して貰いながらスカートがめくれないように立ち上がる。


「ありがとうございます。取り敢えず、男性に戻って現状を把握して。それから、いろいろと指示を出して…。あとは、物資の事やら連携についても…」


ルイスは、考える雰囲気で歩き出す。


「ルイス、マジで言ってる?」


「んぇ?だって、まだ終わってませんからね。」


すると、苦笑する周りの人達。


「…戦闘は出来ないので、せめてこういう所で役に立たねばと、僕なりに思ったのですが?えっと?」


「OK!なら、こうしよう!シェフェンさんは、物資関係をお願いする。ルッツさんは、メンバーさん達を使って現状の把握を頼む。貴族との交渉は…」


グレンは、悩み考えながらも指示を出す。


「それなら、僕達に任せてよ。」


精霊王が言えば、神々達も優しく頷いている。


「助かる。あとは、何かする事は?」


「今の所は、それくらいですね。」


ルイスは、うんうんと頷いている。


「じゃあ、お前は休め。」


グレンは、そう言ってルイスをつまみ出し、チャットを素早く開く。ルイスは、テントにて呟く。


「えっと、いきなり休めと言われましても。」


取り敢えず、装備変更して男に戻る。異常が、殆ど消えてなくなる。しかし、数個だけ消えない。


ルイスは、取り敢えずログアウトする事にする。


暫くして、ログイン。素早く起き上がり、チャットを確認する。順調そうで、何よりである。


「落ち着かないですが、もう少しゆっくりしますかね。暫くは、何も起こらないでしょうし。」


そう言って、周りの音に耳を傾けながら目を閉じている。すると、テントにマーレイが来る。


「おや?何か、僕に御用ですか?」


「その、聞きたいことが…」


ルイスは、キョトンとしている。


「ルイス君には、家族がいますか?」


マーレイは、言いにくい雰囲気で言う。


「居ますけど?」


ルイスは、キョトンとしている。


「…ルイス君は、家族と仲は?」


「……そもそも、余り会話もないです。」


ルイスは、それだけ言うと立ち上がる。


「親の愛情は、諦めました。その分、周りが愛情をくれるからそれで良いのです。寂しくないので。」


そう、困った雰囲気で笑いテントから出て行った。


「なるほどねぇ…」


精霊王は、小さくため息を吐き出して言う。


「だからこそ、彼は優しくなれるのかもね。」


そう言って、マーレイを見る。


「そうですわね。」


ルイスは、戻り仲間に指示を出している。


「いつか、親と仲直り出来たら良いですね。」


「無理じゃない?根本的に、親が悪くて改善されないのだから。努力したって、無理だと諦めもするでしょ。そんな、雰囲気だったよ。さっきのは…」


精霊王は、素早く姿を消してしまうのだった。


「さて、私も頑張っていきましょうか。」


マーレイも、テントからでるのだった。ルイスは、いつもの雰囲気で楽しそうなのだった。


マーレイは、クリフォトの言葉を思い返し、堕天しない様に見ておこうと思うのだった。

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