第319話 虚無の少女
ルイスは、待機場に戻り戦況を確認する。神々達も作戦に、参加しているので神々も少ない。
トキヤ達から、報告を聞いて考えるルイス。
儀式場所は、今の所は全部で10ヶ所。マップを開き、考える雰囲気のルイス。すると、少女が歩いて来る。ルイスは、キョトンとして振り向く。
神々は、少女に気付いていない。ルイスは、警戒する。すると、マーレイがルイスを庇う様に立つ。
「去りなさい…。ここは、お前の世界では有りません。彼に、手出しはさせませんから。」
そう言うと、杖を出して戦闘体勢になる。
少女は、虚な瞳でマーレイを見ていた。ルイスは、嫌な予感がしてマーレイを抱えて飛び退いた。先程まで、マーレイがいた場所が大きく抉れていた。マーレイは、青ざめるとふらふらと座り込む。
少女は、それを興味なさげに一瞥して歩く。
「ルイス、そいつ何なんだ?」
「僕にも、分かりません。」
グレンの言葉に、ルイスも困惑した雰囲気である。
「クリフォト…。」
少女は、小さな声でつぶやいた。
「……っ!?全員撤退!」
ルイスは、息を呑み吐き出す様な悲鳴じみた声で指示する。その、ただならぬ雰囲気に全員が驚く。しかし、少女はルイスにしか興味がない様だ。
「何故?」
少女は、キョトンと首を傾げる。
「何故、光であろうとするの?」
その言葉に、マーレイは無言で驚く。その言葉が、ルイスに向けられていると知っているから。
「貴方の心には、虚無な空間ばかり…。でも、何故か温かいの。それに、私は惹かれてしまう。」
「それは、僕の虚無を埋めてくれる人達が居るからですよ。強制的ではなく、自然に集まり心を通わせ助け合う。とても、温かな人達がです。だから、過去に寒かろうが今が満たされているから良いんですよ。君にも、そんな人が見つかると良いですね。」
ルイスは、深いため息を吐き出して言う。
「無理よ。私達は、生き物の悪い面だもの。決して満たさせず、満たそうとしても枯れてしまうの。」
少女は、諦めた雰囲気で呟く。
「それは、全ての生き物も同じって事ですよ。僕然り、神様然り…だって、クリフォトが司るものが悪い物だとしても、君に優しさが無い訳じゃない。司るものは、一種の役職だと僕は思っているので。」
すると、クリフォトは驚いた表情をする。
「虚無の少女は、今満たされた…。枯れるまで、此方には来ないと約束する。けど、魔神は止められないの。ごめんなさい…。また、会いましょう。」
「出来れば、もう会いたく無いのですが。」
ルイスが言うと、虚無の少女の瞳に光が宿る。そして、上機嫌で無邪気に笑って言うのだ。
「私、悪い子だから。」
すると、男の人に連れられ去った。ルイスは、立てなくなり力無く座り込むのだった。
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