第315話 逆五芒星
ゲレティー様に、今回の件を相談してみました。すると、ゲレティー様は写真を見て頭を抱える。
「嘘でしょ…。」
見ていたのは、血で書かれた逆五芒星。
ルイスも、思わず苦笑してしまう。五芒星は、世界中で魔術の記号とされ守護に使われる事もある。上下逆である、逆五芒星は別名デビルスターと呼ばれ悪魔の象徴である。つまり、良くないものなのだ。
「悪魔でも、呼び出そうとしてたのでしょうか?」
「いや、この程度の生贄じゃ無理だよ。けど、術式を見ると魔神を呼び出そうとはしてたみたい。結局は、生贄が足りなくて失敗。代償に、悲惨な事になったみたいだね。良いかい、君の仲間にも呪術師がいるから注意しとくけど。この手の魔術や呪術は、本当に恐ろしいものなんだ。最悪、術師が死んで終わりではない。だから、手を出さない様に。」
ルイスは、リアルやこちらの世界の儀式には詳しくない。なので、上部だけの知識しかない。けど、ゲレティーがここまで真剣に言うのを見て、自分でも気にかけておこうと決意する。
「でも、失敗したのにゲレティー様は頭を抱えてましたよね。いったい、どうしてですか?」
キョトンとして、首を傾げるルイス。
「この術式、自立してるからまだ生きてる。」
ゲレティーは、低い声音で怒りを滲ませて言う。
「へ?…確かに、ベルトンも浄化が何ちゃらと言ってましたね。でも、何で自立してるんでしょう?」
落ちてた資料に、そんな事は書かれてません。
「そんなの、呼ばれる対象が術式をいじったに決まってるでしょ。かなり、強い魔神だったのかも。」
ルイスは、思わず青ざめる。
「例えば、クリフォト関係ですか?」
「おそらくね…。」
ゲレティーは、ため息混じりに呟く。
「こっちに、来させたくない。被害もそうだけど、何よりあの人が黙ってないだろうからね。」
ルイスは、セフィロトの事だと察する。
「取り敢えず、ベルトンが此方に来れない様に結界を張ったから、今夜は大丈夫なはず。ルイス、本当に申し訳ないんだけど。巻き込まれない様に、イベントクエストとして回避しながら動けるかな?」
ゲレティーは、深刻な雰囲気でルイスを見る。
「一応、僕なりに頑張ってみます。」
ルイスは、考える雰囲気で言う。
「ありがとう、頼りにしてるよ。」
「全ては、ゲレティー様のお導きのままに…。」
そう言うと、ゲレティーは困った雰囲気で言う。
「君は、君の導き…自由に従うべきだよ。僕の無茶振りに、毎回振り回されてさ、文句の一つや二つ言ったって怒らないのに。どうして、黙るのかな?」
「怒った所で、現実は変わりませんからね。どうせ後々、巡り巡って僕達の邪魔となる訳ですし。」
ルイスは、スクリーショットを見ながら言う。
「そっか、さて僕はそろそろ行くよ。」
そう言うと、ゲレティーは姿を消した。その後、精霊王が現れてニヤニヤと笑っている。
「君って、主に対して厳しくもなれるんだ。」
「世界規模の災厄が迫るなか、個人的な救いを求められても困ります。要は、怒られる事で楽になろうとしてるんですから。そんな事、ぶっちゃけた話どうでも良いので仕事してください。自己満足は、要らないのですよ。こっちは、凄く忙しいですし。」
ルイスは、素っ気ない雰囲気で言えば、精霊王は腹を抱えて笑う。近くで見守っていた、龍王は真剣な雰囲気で同意する様に頷いていた。
「まあ、そうだよね。取り敢えず、結界は張り直しておくよ。けど、クリフォトの仲間だった場合は、確実に力技で壊される。しかも、壊した術式から僕の居場所を探し当てる。かなり、リスクがある。」
「能力は封じれても、ステータスが弱くなる訳では有りませんからね。そう考えると、かなりの馬鹿力なステータスだという事ですね。面倒です…。」
精霊王は、その通りと笑う。龍王も、三柱の能力を理解しているルイスに思わず優しく褒める。
「取り敢えず、頑張って参りましょうか。」
そう言うと、二柱に挨拶をして去るのだった。
そして、同盟メンバーに情報を共有する。勿論、全て話すわけではない。クリフォトについて、三柱の対応については自然的に避けて話している。
「取り敢えず、わかった。準備を急がせる。」
イベントクエスト:神々の試練(聖なる浄化儀式)
START!
ルイス達は、慌ただしく動くのだった。
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