第313話 純粋VS苦労人

ルイスは、クエストを達成してゆっくりとホームに帰る。リル達も、楽しかったのか上機嫌である。ルイスは、それを見て明るく無言で微笑む。


帰ると、キリア達が「お帰り」の言葉を言う。


そして、ルイスからおやつを貰い嬉しそうに食べ、各々が好きなお昼寝スポットに移動して行った。


ルイスは、自分用にお菓子を出す。すると、ランコルが紅茶を置く。ルイスは、笑顔でお礼を言うと座り直して一息。そして、紅茶を飲みながらチャットを確認。トキヤ達の現状を、素早く確認する。


そして、お店の書類仕事を始めた。


暫くすると、カロとリリアがやって来る。


「お帰りなさい、2人とも。」


ルイスは、優しく微笑むと2人は頷く。


「「ただいま。」」


そう言って、ルイスが朝に渡した紙を渡す。


「終わったから、次の欲しい。」


「ん?」


ルイスは、笑顔のまま固まる。


「全部、終わらせて来たわよ。」


「いや、あの…文章を読みました?1週間分な、はずですよ。まさか、本当に終わらせたのですか?」


2人は、うんうんと頷いている。ルイス、深呼吸。


「何で1週間分を1日で終わらせてるんですか!」


「「やってみたら、面白くてつい…」」


いやいやいやいや!確かに、遊び感覚で出来るもの多めで作りましたよ。2人が、嫌にならない様に楽しんで出来るように。苦手分野も、しっかり入れ。


それが、まさかの裏目に出てしまいました…。


「ついじゃ、ありません!」


2人は、『てへ☆』っと言いたげに笑っている。


「だって、終わってからクエスト受けると、成長しているのが体感できて嬉しくて…。その…。」


「楽しくて、成長が出来るなら良いじゃない?」


ルイスは、深いため息を吐き出す。


「駄目に、決まっているでしょう?取り敢えず2人とも、ソファーに座ってください。」


そう言うと、ルイスは書類を置いて2人を見る。キリアは、困った雰囲気で2人に飲み物を出す。


「2人とも、少し前まで健康的ではない生活をしていました。まだ、此処での環境も慣れてはいないでしょう?無意識に、ストレスもあるはず。だから、僕としてはしっかり休んで遊ぶ事も大切だと思うんです。そして、健康的な生活をして欲しいです。」


ルイスは、真剣な雰囲気で2人を見る。すると、住民メンバーが無言で集まって来ている。


「でも、早く強くなりたいし。」


リリアも、頷いてルイスを見ている。


「そう思うのならば、尚更だと思いますよ。疲労というのは、蓄積されるものですから。その、蓄積された疲労が限界になると、最終的に体を壊してしまうんです。最悪は、死ぬ事だってあります。そんな事になっては、2人にとって本末転倒ですよね?」


ルイスは、しっかりと言えばキリア達も同意する様に頷いている。大人達は、うんうんと頷いている。


「分かった。取り敢えず、今日は休む。」


カロは、少し驚いてから小さく笑って言う。


「困らせて、ごめんなさい。」


「ごめん…。」


2人とも、申し訳ない雰囲気だ。


「いえ、僕も次からは1日分ずつ渡す事にします。僕達は、なるべく長く皆んなと居たいので。」


ルイスの言葉に、住民メンバーの全員が驚いた。そして、嬉しそうに優しく笑うのだった。ルイスは、2人にお菓子を出す。そして、2人のする事に座学を追加しようと決めるのだった。知識は、大事だ。


先生は、誰をつけようか。どの本を、教科書がわりにするか。どの知識を、教えるかを考える。


ちなみに、2人とも文字の読み書きや計算は完璧である。一般常識も、大丈夫なので冒険者としての知識を教えれば大丈夫だろう思うのだった。


「ルイス達、ただいま。」


「お帰りなさいです。チャット、見るの忘れてました。えっと、うん…今日のノルマは達成ですね。」


ルイスは、チャットを確認するとギフトでトキヤ達に報酬を送る。トキヤは、キリア達と話している。


「1週間分を1日で。俺達も、負けられないな。」


「そうね。お兄ちゃん氏に、褒めてもらうんだ。」


気合い入れて、力強く頷きあう2人。


「対抗しないでください!?」


ルイスの、叫びが響くのであった。


「えっと、なんだ…頑張れリーダー。」


グレンは、苦笑しながら言う。


「ルイスの兄貴って、かなりの苦労人っすよね。」


ルーカスは、乾いた笑いを溢して言う。


「取り敢えず、お茶にしましょうルイス様。」


キリアは、全員分の飲み物を出す。ルイスは、ため息を吐き出してから頷いて、全員分のお菓子を出すのだった。こうして、賑やかに時間は過ぎる。




ルイスは、訓練を考えながら紅茶を飲む。もう、戦闘の予定は無いので私服装備だ。


「取り敢えず、これで良いでしょう。」


カリオストロは、紙を見て無言で頷く。


「では、そろそろ寝るのですよ。」


そう言うと、紙を持って元気よく立ち上がる。大人達は、おやすみと声を掛ける。グレンは、ソファーで寝落ち。レイは、親に呼ばれそのまま落ちた。ルーカスは、配信の為に狩に出掛けて、トキヤも1日で溜まったストレス発散に出掛けている。


ルイスは、おやすみなさいと言うと自室に戻った。

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