第308話 竜国へ

ルイスは、カロに聞いてみる事にした。父親が、まだかろうじて生きている事。カロに、会いたがっている事。そして、竜国は危険だという事を。


「俺は…、会いたい。」


写真を見つめ、俯いたままいうカロ。


「では、決まりですね。」


竜国は、隠された龍国の中にある小さな国です。竜姫サラさんと他2人の王子が居ます。最近では、プレイヤーの姿もちらほら見られますね。


ただ、竜種はプライドが高いし気性が荒いので、殆どのプレイヤーが竜国まで行く事はありません。


龍国で、大抵の竜国製品や物は買えてしまうので。


取り敢えず、龍国に着いたので親しい人に挨拶をします。勿論、カロやリリアも連れて行くのです。


顔合わせは、大事なのですよ。


慌ただしく、顔合わせして龍国宿で一泊。そして、次の日に竜国へ。カロの顔色が、とても悪いです。


「こ…怖くない、怖くない。」


カロは、小さく呟いている。竜達は、無視する。


「カロ、手を繋ぎましょうか。」


「こ、子供扱いするな…」


そう言いながら、手を握るカロ。手が震えている。宿につき、トキヤ達は観光へ。グレンは、疲れてぐったりしたカロの護衛だ。ルイスは、竜王に呼ばれたので、心配そうにさるのであった。


カロは、目を覚まして起き上がる。グレンは、ストレージを整理している。カロは、無言で外を見た。


「カロ、お出掛けするか?」


グレンは、暢気に笑い言う。暇そうな、カロを心配しての提案だった。カロは、少し悩んで頷いた。


そして、ここでアクシデントが起こる。


グレンとカロが、通行人に阻まれはぐれたのだ。竜達は、ニヤリと笑ってカロに近づく。しかし、目つきの悪い青年が追い返したのだ。


カロは、キョトンとする。


「…指輪。」


「え?」


青年の言葉に、我に帰るカロ。


「その指輪、見える様にしとけ。」


そう言って、ルイスがくれた指輪を服の外に出す。


「これ、ルイスの旦那のだろ?」


カロは、無言でうんうんと頷く。


「みる人が見れば、助けてくれるはずだ。ルイスの旦那に、竜族は感謝しているからな。」


そう、優しい声音で言う。


「ありがとうございます。えっと、名前は?」


「ムートで良い。」


すると、慌てた雰囲気のルイスが来る。


「保護、ありがとうございます。」


安心した様に、ホッとしている。隣で、グレンも申し訳ないと謝る。ムートは、優しく?笑っている。


カロは、思わず思う…


あ、この人…見た目で損するタイプの人だ…


「ルイスの旦那、いきなり呼び出してすまん。」


「良いのですけど、ロレッタさんが困ってました。ついでに、お仕事をお願いされちゃいましたし。」


ルイスは、ため息を吐き出して言う。


「すまない…。俺の顔に免じて、許してくれ。」


「良いのですけど。」


そう言うと、カロを連れて去った。


「カロ、あの人はなんて名乗りました?」


「え、どういう事?ムートって…」


ルイスは、ため息を吐き出して聞こえない様に呟いた。呆れた雰囲気で、疲れた様に。


「竜王さん、逃げ出してまで会わなくても。」


隣で、グレンが苦笑するのだった。

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