第304話 新しい日常

あの人に、連れて来られたのは綺麗なお店だった。


そして、拠点であるアトリエに部屋まで用意されていた。敷地は、広い訳じゃないけど、手入れされていて綺麗だ。部屋には、ベッドと机椅子のセットそしてクローゼットが。荷物が少ないから、少しだけ広く感じてしまうけど。まあ、良いかな。


窓を開ければ、広がる緑の世界。とても、綺麗な空気で小鳥のさえずりが聞こえる。


ご飯は、給料引きだけどかなり安い。給料もかなり良くって、自由なお金が増えて少し戸惑う。今までは、雑用係でギリギリの生活をしてきたから。


取り敢えず、起きないと…


ギルド服を着て、部屋を出るとあの人が書類仕事をしていた。黙ってたら、綺麗なんだけどな。


リリアも、起きてきたみたいだ。




ルイスは、早起きな2人にキョトンとする。そしてから、優しく微笑むとノホホーンと挨拶をする。


「おやおや、2人とも早いですね。おはようございます。昨日の夜は、よく眠れましたか?」


2人は、頷いてから座る。


「おはよう…。」


「おはよう。寝心地が良くて、よく寝れたわ。」


カロは、素っ気なく。リリアは、暢気に言う。トキヤは、2人の顔を見てから視線を書類に戻す。珈琲を飲み、ルイスはトキヤと在庫の話をする。


「まだ、集めるべきでしょうか?」


「食材は、もう大丈夫じゃないか。問題は、ポーションの一部が素材不足で作らないって事だな。」


ルイスの言葉に、トキヤは考える雰囲気で答える。そして、ポーション問題にルイスは困った雰囲気で笑う。グレンが、無言でルイスの隣に座る。


キリアは、素早く珈琲を置いて、グレンは手を上げて感謝する。勿論、会話を邪魔しないためである。


「お店は、まだ開けそうにないな。」


「カリオストロが言うには、どうやらマナー違反するプレイヤーが多いとの事です。それで、薬草が根こそぎ取られて価格が上がっているのだとか。」


ルイスは、疲れた様な深いため息を吐き出した。トキヤは、仕方ないと苦笑する。グレンは、困った雰囲気で珈琲を飲む。そして、いろいろ会話が。


「ねえ、何でマナー違反者を倒さないの?」


リリアは、お茶を飲みながら言う。


「それは、意味がないからです。僕達プレイヤーは、この世界で本当に死ぬ事が出来ません。なので、直ぐに復活してしまうんです。」


ルイスは、暢気に笑うと説明する。


「その割に、落ち着いてるね。」


カロは、ルイスの瞳を見ながら言う。


「山の恩恵を分けて貰うならば、ルールを守る事が最低限のマナーなのです。そして、それを破れば巡り巡って自分に返ってきます。かなり、神様が干渉してきます。勿論、薬草神も山神もです。」


察してくださいと、笑うルイスに全員が笑う。想像して、青ざめるリリアと納得したと頷くカロ。


「手紙なら、ポストで送りましたよ。」


ポスト

アメリカ限定で、仮実装されたポスト。プレイヤーだけでなく、NPCやAIにも手紙を送れる。


ポストに近づくと、ウィンドが開きフレンドとギルドと交流住民とサーバーフレンドそしてクランにページ分けされている。見やすくて、良いですね。


ボタンを押すと、『その場で書く』と『保存した手紙を読み込む』が出てくる。複数保存してても、宛先の前に四角が有り、そこを押す事で送りたいお手紙だけを送れる。しかし、送れない場所もある。


ちなみに、ウィンドに手紙を書くが追加された。


なので、書き貯めはいつでも何処でも出来る。基本的に、プレイヤー同士ではなくプレイヤーから住民達に手紙を送れるのを売りにしたアイテムだ。


ちなみに、手紙が届けられない場合は、手紙の送信に失敗しましたと通知がくる。


「一つだけ、送れてないよ。」


カロは、それだけ言うと立ち上がる。


「おや、本当ですね。」


「それと、お届けBOX溢れてる。」


カロは、小さくため息を吐いて言う。そして、足早にお店に移動してポストから、手紙を回収する。


「え、あらま…大変な事に。」


お届けBOX

アメリカ限定、仮実装された物。相手に物を送ったり、送られてきたりするBOX。ポストの宅配便版。


15文字だけなら、メッセージも書ける。


「溢れて送れなかった品を、今日は取りに行ってくるのよ。荷馬車とか、必要かしらね。」


リリアは、考える雰囲気だがカロが戻ってくる。


「力仕事だし、手紙をお願い。」


カロは、手紙を渡して座った。


「分かったわ。」


リリアは、少しだけ嬉しそうに言う。ルイスは、そんな2人を優しく微笑むのだった。


「荷馬車は、要らないです。」


そう言うと、2人にマジックバックを渡した。


「これなら、1人で大荷物を運べます。中には、いろいろ入っているので、後で確認してください。」


「こんな高価な物、貸す必要はないわよ?」


すると、キョトンとするルイス。思わず、笑ってしまうbreezeメンバー。カロは、察して黙る。


「貸す?いえいえ、それは君達にあげます。」


「嘘でしょ…」


リリアは、固まってしまった。


「俺達も、最初は全て支給品だった。勿論、鞄もだな。ルイス様は、俺達に不自由なく仕事をして欲しいんだ。俺達の負担が、減ると分かれば全力で動くお方だからな。気にしてたら、もたないと思う。」


キリアは、フォローする様に言う。


「品物は、ATMで支払い済みなのです。」


ATM

アメリカ限定、仮実装されたアイテム。お金を引き出したり、振り込んだりできる。現実のATMと変わらない。ただ、ゲーム通貨しか取引が出来ない。


「取り敢えず、ご飯を食べようぜ?」


バロンが、料理を運びながら言う。ご飯を食べて、全員がそれぞれ動き出すのだった。

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