第303話 悲しむ魔族に祝福を…

さてと、取り敢えずカロ君は移動の準備をして貰って。受け付けに、ゆっくり向かいます。


すると、少女がやってきました。


「貴方が、私の雇い主ですか?」


甘い匂いと、強気な声音。警戒されているが、ルイスは思ってしまった。あ、これは…勝てますね。


「取り敢えず、準備して来てください。此処での依頼は、終わりましたから。大丈夫です?」


「言っとくけど、雇い主だからってお触り禁止だから。その時は、容赦なく攻撃するわね。」


ルイスは、深いため息を吐き出してから言う。


「あのですね、自分の娘と同じくらいの子に手を出す訳が無いのです。そういう、趣味は無いのです。まったく、その態度と言葉は失礼なのですよ。」


「嘘…、効いてない?」


ルイスは、無言でうんうんと頷く。


「僕も、魅了系スキルを待ってますから。それと、プレイヤーには効きにくいみたいです。しかし、そのままは困りますよね。どうしましょうか?」


「魅了させて、直ぐに解除すれば?」


マッキーは、素材鑑定の待ち時間に言う。


「ここで、やるんです!?」


「いつ、やるんだよ。」


トキヤは、キョトンとして言う。ルイスは、嫌だ嫌だと首を振る。苦笑する、大人メンバー達。


「やれるものなら、やれば良いわ。」


魔族の少女は、少しだけ苦笑して言う。


「…台詞がぁ。真面目に、辛いです。もう良いのです、1度しかしませんし即解除しますね。」


気を利かせて、プレイヤー達は出て行ってくれた。


「いきなり、喧嘩を売るだなんて…怖いです。」


無言で、即解除。その場の椅子に、座り込む少女。


「やっぱり、勝てました。プレイヤー補正、やばくないですか?取り敢えず、加減はしましたが。」


「これが、魅了される感覚…。なるほど、できる気がしてきた。でも、長くはまだ無理そうね。」


うん、感覚が掴めた様で何よりです。そしてまた、黒歴史を1つ増やしてしまいました。悲しいです。


「ルイス、祝福なら押さえられるかもってさ。」


「もっと、早く知りたかったです。ですが、一応は掛けときますか。まったく、疲れました。」


祝福を掛けて、ルイスは椅子に座る。


「えっと…、私はリリア。その、失礼な態度や発言について謝罪するわ。その、ごめんなさい!」


「ただでさえ、ロリコンとか言われているんです。娘が可愛いと、言っただけですのに…。」


少しだけ、落ち込んだ雰囲気で言う。


「親バカなんだよな、ちゃんと理解してるって。」


グレンの言葉に、机に突っ伏すルイスだった。


「グレン、後で覚えておいてくださいね。」


素晴らしい笑顔で、ルイスが言えば逃げるグレン。しかし、速さでルイスに勝てる訳もなく、綺麗な飛び蹴りくらうのだった。勿論、手加減している。


ルイス達は、観光も納品クエストも終わって帰るだけだった。取り敢えず、カロとリリアは無事にbreezeに加入した。ルイスは、2人の未来に幸が多くあらんことを願った。そして、帰るのだった。




2人は、綺麗なお店に思わず驚いている。


「ようこそ、breezeへ。これから、此処が君達の帰る場所です。先輩である、キリアさんがbreezeの敷地やルールを説明します。取り敢えず、今日はそれだけしたら夕飯を食べて自由時間なのです。」


ルイス達は、夕御飯の為にログアウトした。


「取り敢えず、アトリエに移動するぞ。」


キリアは、優しく笑うと部屋に案内。荷物を置かせると、敷地ないを案内。そして、夕飯まで自由。


「ねえ、本当に私達で良かったのかしら。」


「思った以上に、凄い人だった。」


リリアは、同意する様に頷く。


「ただいま、戻りました。」


暢気に、部屋に入るルイス達。キリアは、素早くルイス達に紅茶を出す。夕飯前なので、お菓子は置いていない。ルイスは、小さく伸びをする。


「これから、よろしくお願いしますね。」


ルイスが言えば、次々に挨拶をするメンバー。優しい人達に、どう反応すれば良いか分からない2人。ルイスは、そんな2人を優しく見守るのだった。

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