第296話 ベルトン戦開始

ルイスは、騒ぎ出した教会の人達を見ても、落ち着いて動じない。そして、深い溜め息を吐いた。


「僕達は、断罪しに来た訳じゃないので。」


すると、全員が全力装備に変更する。今まで、温存していた装備。耐久値は、MAXで傷ひとつない。


「見ろ、やはりベルトンは化け物で悪なのだ!」


「かわいそうな人達…。欲に目が眩んで、神の言葉も受け入れずに、その微笑みに仇なす者に天の裁きを。全ては、ゲレティー様のお導きのままに…。」


ルイスは、断罪文を祈りながら言う。


すると、全員に断罪の神の加護がつく。ルイスを含めて、全員が驚く。断罪の神とは、邪神だったはずなのだから。しかし、とてもありがたい加護だ。


『今回だけだ、その男とは縁があるからな。』


そう、加護をもらった人達にはそう聞こえた。


ずっと前から思ってたのですが、断罪の神様って優しいですよね。そもそも、恋人の秩序の女神が殺されたせいで、怒り狂って邪神となった人です。穢れが移らない様に、敢えて冷たく子供に接する神なのです。やはり、根本的には良い人なのでしょうね。


疑問なのですが、断罪の神様はどこでベルトンと?


いや、ベルトンではなくルドカリムになら有り得ますね。まあ、今は良いです。それよりも…


「では、取り敢えずベルトン攻略しますか。」


ルイスは、いつもの口調とキャラで笑う。


「情報共有が、出来る奴は?」


「呪いじたいに、弱点は有りません。ただ、寄生体が弱ると呪いも弱る性質が有ります。それと、ベルトンの弱点は左肩と右足です。聖属性は、完全無効化。火属性も、ダメージ半減します。闇以外の属性も、ダメージ量が減ります。以上!」


ルイスは、質問するなと早口で情報を言う。


「それは、何処からの情報だ?」


トキヤは、真剣な雰囲気で言う。


「地下室の禁書情報です。詳しく知りたいなら、ある程度の覚悟はしてください。忠告は、しました。ベルトンが、何故に踏み込むなと言ったか、後悔するほど理解しますから。裏設定って、怖いです。」


「ベルトンの、本当の名前は?」


トキヤは、ルイスを見て素っ気なく聞く。


「ごめんなさい、彼との約束で言えません。」


ルイスは、双神の刃を装備して俯く。


「いや、大丈夫だ。ルイスは、ベルトンの中の人を知ってるんだろ?さっき、先輩って言ってたし。」


ルイスは、無言で頷けば優しく笑うトキヤ。


「なら、問題ない。お前の事は、信用してるし。」


すると、全員が優しく笑って頷く。


「ありがとうございます。」


そう言って、双神の刃を抜いた。


「汝に、死の祝福を…」


「さてと、どう攻略しようか?」


マッキーが、笑いながら問えばルイスは微笑む。


「うーん…、どうしましょうかね…。」


ルイスは、真剣に考える。ダメージが出にくい以上は火力は捨てられない。やはり、防御だろうか?


「ルイス様、ベルトンの奥様を回収しました。」


「取り敢えず、どんな攻撃があるか防御力を上げながら探るか。回復待機、ルイスはしなくていい。」


ベルトンだった、呪いの狂人は暴れ出した。


短剣を抜いた。この動きに、トキヤは嫌な予感を感じる。戦闘スタイルが、ルイスに似ていたから。


「全員、防御やめ!全力回避!」


スピードアタッカー、一撃は重くないが急所を突いたり連続攻撃する事でダメージが増える。また、ベルトンは聖者なので回復スキルも使えるのだ。


「当たったら、終わりだ。呪いで、火力が段違いに上がってやがる。しかも、早過ぎるんだが。」


「とっきー、ずっと回避はかなりきついぜ?」


マッキーは、苦し気な息づかいで言う。


「分かってる。けど、ある程度の技を引き出さないと。前にも、進めないんだよな…。」


ルイスは、考える雰囲気である。


「どうにかして、動きを止めるか鈍らせないと。」


「デバフか?異常か?」


トキヤの言葉に、マッキーは焦った雰囲気。


「範囲攻撃、来ます!」


ルイスの言葉に、青ざめるトキヤとマッキー。ルイスは、ダメージ半減系を発動させると言う。


「忍耐、根性、防御スキルをフル使用!」


3分の1、HPが削れて青ざめるトキヤ。


「怖っ!?」


「回復してください、他は異常確認。なければ、次の指示まで待機。数名、蘇生待機もお願いです。」


すると、聖職者メンバーから元気の良い返事。


「立て直し成功、さてと勝負はこれからです。」


ルイスは、全員の状態を確認する。


「スピードアタッカーに、防御は有効だが呪いで火力が上がっている以上は壊される。」


「だが、火力を上げても当たらなければ意味ない。となると、回避かデバフかなんだよ。」


マッキーは、考える雰囲気である。


そして、ついに考え事していたルイスが呟く。


「デバフかな、うん…」


トキヤ達は、どうするつもりなのか黙った。


「さて、ここからはかなりハードですよ?」


ルイスは、指示の為に深呼吸するのだった。


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