第290話 叛逆者軍にて…

葛葉は、子狐姿で机に置かれる。差し出され、目の前に置かれるいなり寿司。となりには、酒杯が置かれる。勿論、酒杯に注がれているのはお水だ。桜の花びらが、浮かべてあってとても綺麗である。


「葛葉、単独行動は恐らく無理だ…。」


トキヤの言葉に、子狐葛葉は目の前のいなり寿司を落とさない様に、両手で取りそのまま考える。そして、悩む様に首を傾げる。そして、もぐもぐと食べながら烏丸を見る。すると、頷いて姿を消す。


そして、よいしょと両手で酒杯を抱えて飲む。


ちなみに、考えに没頭し過ぎて元に戻る事を忘れている葛葉。とても、癒しな光景になっている事に、本人はまだ気付いてはいない様である。


「葛葉、トキヤの攻撃を無効化したろ?」


マッキーは、疑問を解決すべく子狐葛葉を見る。葛葉は、んー?っと首を傾げてからなるほどのジェスチャー。そして、言葉を話そうとして子狐のままだど気づく。恥ずかしさに、赤面する子狐葛葉に皆んなが思わず優しく笑う。素早く、葛葉になった。


「コホンッ、お見苦しいお姿をお見せしました。いつもなら、見せない様にしてたのですが。」


「おう、子狐行動が多かったからな。」


グレンが、暢気に言えばルイスに戻る。


「気づいてたなら、教えてよ!?」


「疲れた俺達には、癒しだったぜ!」


ルイスの、素早いツッコミにグッジョブと笑うグレン。そんな、2人のやり取りを大人達は優しく見守っている。ルイスは、ため息をついて椅子に深く座り直す。そして、トキヤをみてから説明する。


「トキヤさんの、攻撃をどうやって無効化したのかだったよね。答えは簡単、カウンタースキルをドンピシャで当てただけ。たった、それだけだよ?」


カウンター…、反撃スキルには一瞬だけど無敵時間が存在する。その、わずかな一瞬を矢がぶつかるタイミングなら合わせただけ。とっ、不敵に笑うルイスに味方で良かったと思うトキヤ達であった。


「なるほど、防御スキルなら砕かれるからな。」


マッキーは、納得した雰囲気で頷いている。


「矢を折ったのは、回収されない為か…」


トキヤは、考える雰囲気で呟く。ルイスは、無言で頷いて机に置かれたお茶を飲む。マッキーは、とても複雑な雰囲気で苦笑しながら言う。


「えーとっ、うん…そのだな。普段、サポートや回復に回ってるから、みんな忘れがちだけどさ…。」


全員が、考え事を再開したルイスを見る。


「ルイスって、龍人とか聖王•錬金王とか関係なくさ、昔からかなり素で強いんだよな。」


トキヤは、少しだけ呆れた雰囲気である。


「流石、生産職最強はだてじゃないな…。」


グレンは、真剣な雰囲気で呟く。しかし、その言葉をルイスの耳は拾う。ルイスは、不愉快そうな雰囲気でグレンを見ると、深いため息をついて言う。


「あのさ、僕より強い生産職はたくさん居るよ?」


「「いや、居ねーから!居ても、少ねーよ!」」


トキヤとマッキーが、同時に突っ込むのだった。


「むぅ…、納得いかない。」


抗議する様に、不機嫌に呟くルイスであった。




ルイスは、チャットを見ながら無言で指示を出す。


「あの、ミニゲーム中はベルトンの安全は保証されていたらしい。断罪は、出来なくなってたみたいだな。取り敢えず、いろいろと調べてみるかな。」


トキヤの言葉に、ルイスは小さくホッとする。


「ルイス、良かったな?」


「トキヤさん、煩い…考え事してる。」


にやけるトキヤに、ロールを崩さないルイス。すると、トキヤは嬉しそうに笑ってから言う。


「普段も、それくらいのノリで話してくれたって良いんだぜ?いつも、かしこまっているしな。」


「断るよ。本当は、ロールやめたいのに…」


ルイスの、少しだけ焦った雰囲気に笑うトキヤ。


「駄目だぞ?悪役らしく、悪ぶるらないと。」


「トキヤさん、楽しんでるでしょ?」


ルイスは、ため息を吐き出して困った様に呟く。


「まあな。そのキャラのお前を、過去にもからかえた事が無かったからな。実は、少し楽しい。」


「トキヤさぁーん!」


素晴らしい笑顔で、ぶっちゃけたトキヤにルイスは思わずキャラを戻して叫ぶ。そして、諦めた雰囲気でルイスは小さくため息。周りは、優しく笑う。


「それより、情報は集まってんの?」


「何とか…」


トキヤの言葉に、頷いて脱力するルイス。足元に居た、リルを抱えて優しく抱きしめると、嬉しそうにぎゅーっとしてくるリル。かなり、甘えモードで可愛い。ルイスは、リルを膝に乗せたまま各革命チームの動きを確認し、無言で考え込むのだった。


「ルイス殿、ベルトンから伝言でござる。」


ルイスは、ウィンドから視線を外し烏丸を見る。


「教会は、やはりルイス君も潰すつもりだと。」


「良いんじゃない?にしても、僕も舐められたものだよね。やっぱり、いつものキャラのせいかな。」


ルイスは、素っ気なく呟いて首を傾げる。


「普段のルイス殿は、聖人様でござるからな。ゆるゆる、ふわふわなイメージゆえ…そうなるかと。」


烏丸は、考える雰囲気で言う。


「酷くない!?」


ルイスの素早い、反応に全員が酷くない酷くないと笑うのだった。ルイスは、思わず無言になった。


「ルイス様、胃薬の用意は出来ております。」


ランコルは、そう言って机に薬を置く。


「まって、これ…僕が苦労する役割なの!?」


悲鳴じみた、ルイスの声に頷くメンバーだった。




暫くして、ルイスはある程度の指示が終わり、疲れた雰囲気で息を吐き出す。トキヤも、疲れてる。


「さて、ルイス。そろそろ、出掛けるぞ?」


「…了解。」


ルイスとトキヤは、部屋を出るのであった。

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