第288話 フォックスハント
子狐の姿で、向かったのは街の酒場である。ルイスは、どう派閥割れしたのか調べているのだ。トキヤも、一応は調べたが有力な情報が無かった。
葛葉になると、酒場に入る。
イギリスサーバーで、お世話になった中立派と英語で情報交換。葛葉は、なるほどと頷く。
鎧の音がして、振り向けば聖騎士が3人。
「君が、お狐様と呼ばれる葛葉君かな?」
「おやおや、私をご存知ですか。それで?」
葛葉は、笑顔を浮かべている。
「教会に、来てもらう。お前には、罪状が…」
すると、話してた2人が無言で剣を抜く。葛葉は、そもそも百合の様に儚い美妖狐なのだから。それを見て、葛葉は怯えた様なか弱い雰囲気を纏う。
「いきなり、この人達…怖いです。」
あれです、イメージは超有名海賊アニメに出てくる海賊女帝様です。妾、怖い…のあの人です。葛葉の場合は、魅了もついでに使わせて貰ってます。
次の瞬間、摘み出される聖騎士達。
「流石に、訓練された聖騎士さまには敵いませんから。助けて頂き、本当に有り難う御座います。」
葛葉が、優しく微笑めば全員が照れる。
《守りたい、この笑顔》が、そこにはあった。
「お狐様、ここは危険だ。俺達が援護するから、逃げてくれ。運営が、ゲームを始めたみたいだ。」
葛葉は、内容を確認する。どうやら、運営は葛葉の単独行動をして欲しくないみたいなのだ。葛葉は、困った様な複雑な表情をしている。
ルール
30分以内に、白旗のマークの付いた龍人。黒旗の付いた、幻獣プレイヤーを捕まえる事。龍人達と幻獣は、逃げ切ると所属する革命チームに追加点。
龍人4人
黒龍人ルイス1000p
逃げ切り:3000p
白龍人ジェイド1000p
逃げ切り:3000p
紅龍人ブレイブ1000p
逃げ切り:3000p
蒼龍人ヴァン1000p
逃げ切り:3000p
幻獣3人
幸運兎・リリナ1500p
逃げ切り:3000p
黄金猫・セリム1700p
逃げ切り:3400p
九尾銀孤・葛葉2500p
逃げ切り:5000p
まって、まってください。なんで、葛葉だけ…。なるほど、総合レアリティですか。審査は、運営がします。わざと、捕まるとマイナス点でポイント消失するのだとか。運営さんは、僕を自由にはさせたくない様です。軌道に乗せられると、困るのでしょうね。つい、余計な事を話してしまいました。
教会と冒険者協会と反逆者、それら全て敵です。
ちなみに、所属してない人は逃げる側の助っ人となります。という事で、ルイスに姿を変えられない以上は彼らを頼るしかないのです。困りましたね。
ちなみに、捕まえない選択肢は無いです。
何故なら、上の種族は仲間だとバフがつくから。バフは、とても欲しいし奪われたくもない訳です。
という訳で、全力の鬼ごっこが始まった。
トキヤは、運営の通知を見て思わず叫ぶ。
「こんな時に、くそが!」
ジェイド達は、どうするか迷っている。
「はぁ…。お前ら、全力で逃げて良いぞ。」
トキヤの言葉に、ジェイド達は驚く。
「だが、良いのか?」
「舐めるな、ここは俺達の庭だぞ?」
トキヤが、不敵に笑えば同盟メンバーも笑う。ジェイド達は、少し悩んでから走り出した。
「問題は、ルイス…か?いや、今は葛葉だしな。まっちゃん、それとそのメンバー。後は、グレン。」
トキヤは、真剣に指示を出す。
「困った盟主様だぜ…。」
「取り敢えず、頑張る。」
マッキーは、やれやれと笑いグレンは苦笑する。
「手加減できる程、葛葉の方も弱くない。ルイスの半分、それくらいのステータスはある。油断せず、確実に捕まえてくれ。うちの、お狐様をな。」
トキヤの言葉に、真剣に頷いて飛び出した。
全員の狙いは、フォックスハント。つまり、葛葉なのであった。革命中に、ミニゲームを入れて来るのは初めてである。それ程、ルイスもとい葛葉を単独行動させたくなかったのだろう。この革命は、次のアプデの時間稼ぎでもあるからだ。仕方ない。
こうして、ミニゲームが開始された。
龍人達は、素早く忍者達に捕まった。それ程に、忍者達は強かったのである。そして、後は幻獣のみ。明確に言えば、ルイスと幻獣人だけ。
プレイヤー達は、更に全力を出すのであった。
「敵が、多過ぎます…。」
隠れながら、呟く。
「トキヤさん、もう龍人達を確保しましたか。いやはや、怖いですね。やっぱり、敵にしたくないですね。さてと、烏丸さん僕と遊びますか?」
葛葉が、困った様に言うと烏丸は笑う。
「トキヤ殿が、困っているでござるよ?」
「私も、好きで逃げてる訳じゃないです。」
葛葉が、不貞腐れた雰囲気で言えば笑う烏丸。
「では、仕方ない。行くでござる!」
一応言っておくが、ルイスの方がレベルが高い。そして、スキルレベルも高いのである。しかし、葛葉の姿なので同じくらいの実力になっている。
「これは、拙者これにて…」
勝てないと、素早く判断して撤退する烏丸。
「葛葉、寄り道はここまでだ!」
グレンが、攻撃して来るのだった。葛葉は、驚いて咄嗟に回避する。しかし、お助けマン達が到着。
「グレンさん、出来れば早く捕まえてください。」
そう言うと、葛葉は全力で走り出すのだった。グレンの悔しそうな声と、烏丸の部下の追跡の足音。烏丸の、楽しそうな笑い声が響くのであった。
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