第281話 待ち人は遅れて来る

さてさて、これはどういう状況でしょうか?ブレイブさん達が、追い出そうとしてますが…。


「おい、お前!表に出ろ!」


「初対面で、表に出ろは無いと思います。」


ルイスは、困った雰囲気で笑う。


「お前、レイの何なんだよ?」


おや、これはもしや…


「レイは、従姉妹ですよ。」


すると、ブレイブ達も驚いている。ルイスは、それを無視して深いため息を吐くと少年達を見る。


「それで、何故に僕は喧嘩を売られているのでしょうか?まったく、心当たりが無いと言えば嘘になりますが。それでも、納得が行かないのですが?」


「そ、それは…その…」


動揺する、少年達を見てルイスは立ち上がる。


「良いでしょう、その喧嘩…受けて立ちます。」


「おい、ルイス!?」


フレドは、驚きルイスを見るがルイスは悪戯っぽく笑う。それを見て、ホッとするマッシュ達。


流石に、レベル差があり過ぎます。


なので、かなり制限をかけます。取り敢えず、師弟の腕輪で同じレベルにしようと思ったら。なんと、断られてしまいました。困りました…。取り敢えずは、装備変更して出来る限り弱くなります。


ちなみに、巫服です。


「まずは、俺からだ!」


そう言って、走りながら拳を握ると真っ直ぐに殴って来る。ルイスは、手の平で受け止めてそのまま流す。反撃をせず、敢えて距離を取らせる。


「くそっ…ダメージなしかよ!?」


「終わりですか?」


ルイスは、素っ気なく首を傾げる。


「やってやるぅー!」


そう言って、拳を叩き込む。しかし、それら全てをルイスはあっさりと『軽くいなし』•『優しく受け止め』•『柔らかく受け流す』と器用な事をする。


勿論、相手はノーダメージ。


少し間違えば、プチッと倒せてしまうのでかなり繊細なスキル使いである。ルイスは、疲れて大の字に倒れた子を無視して他の4人を無言で見る。4人は、逃げるかどうか迷う雰囲気である。


「それで、君達はどうしますか?」


ルイスは、優しくノホホーンと笑う。いつの間に、周りはたくさんの人が来ている。


「え、えと…」


「それでは、終わりで良いですか?」


クスクスと、笑うと装備を戻して続ける。


「君達が、どう勘違いしてるか察してはいます。ですが、レイは妹であって恋愛対象にはなりませんから。まあ、いろいろと頑張ってくださいな。」


4人は、ポカーンと固まり我に戻る。


「「「「すみませんでした!」」」」


「いえいえ、お気になさらず。」


ルイスは、微笑ましいという雰囲気で笑う。暫くして、トキヤ達が来る。そして、ルイスに言う。


「すまん、マッキー達も来るって。」


「まあ、でしょうね。レイと喧嘩されては、素材集め所ではないでしょうし…えっ?ん?達?」


ルイスは、後半に驚きながらトキヤを見る。


「盟主様が居ないと、次の打ち合わせがな…。」


マッキーは、苦笑しながら来る。


「待ってください、次のイベントはまだまだ先な筈です。まさか、何か起こったのでしょうか?」


ルイスは、先程のノホホーンな雰囲気を消し去り、真剣な雰囲気で盟主としての雰囲気を放つ。これには、倒れている子も含めて見入ってしまう。


「ゲリラ戦イベント追加、新レイド追加予告。そして、成長武器と新機能の仮実装が始まるらしい。その前に、俺達元テスターの意見が欲しいんだと。」


トキヤは、少しだけ嬉しそうに言う。


「運営とギルマスが、日本サーバートップの同盟であるうちに話を持ち掛けて来た。という訳で、何の素材集めか知らんけど手伝うぞ。運営さんが、ルイスの用事を優先させて良いって事だから。」


ルイスは、真剣な雰囲気で考える。しかし、考えても無駄と判断してからマッキーに問う。


「それ、言って良かったんですか?」


「全国の三大同盟が、対象となるってお知らせを明日に張るらしい。だから、大丈夫だ。」


マッキーは、ワクワクしている。ルイスは、やれやれと優しく微笑んでから無言で頷く。


「では、爆速で終わらせましょうか。」


振り返りながら、ため息混じりに言えば…


「合点承知だよ、お兄ちゃん氏!」


レイが、敬礼しながら言う。


「お前…、弓師にしたのか…。」


トキヤが、素早く突っ込む。


「レイ、初心者にはきついぞ?大丈夫か?」


マッキーも、苦々しい雰囲気。何故ならば…


「弓職は、最初からコスパが悪いですからね。基本的に、矢は使い捨てですし。命中させるのも、難しく火力も出ません。とても、苦労すると思います。けれど、挫けずに頑張れるのなら、僕は兄としてレイのお手伝いしますよ。頑張れますか、レイ?」


ルイスは、真剣な雰囲気でレイを見る。別に、好きな役職ならすれば良い。ルイスを含め、心配そうだが誰一人として弓師を否定していない。ルイスは、冷静に苦しくても挫けず頑張れるかを問う。


「うん、私は弓師でお兄ちゃんの役に立って見せるんだ!そこの狩人は、弓を使ってないみたいだし。今度こそ、負けないんだから…。」


すると、ルイスは苦笑する。何故なら、最近はトキヤも弓ばかりだからだ。なので、今のままでは追いつくなんて不可能だろう。しかし、それを言えば喧嘩になりかねないので黙る判断をする3人。


「取り敢えず、レベリングして素材集めです。トキヤさん、今回は狩人にジョブ固定で。レイ、盗める技術はしっかり見て盗んでくださいね。」


ルイスが、言えばトキヤとレイは同時に返事する。


「何でだ?ルイスだと、大人しくなるんだ?」


ブレイブは、苦笑して言う。


「私が、お兄ちゃん氏を尊敬してるから。お兄ちゃん氏に、恋愛感情は無いから安心してね。」


そう、5人を見てから言う。


「それと、私…自分より弱い奴と恋仲にはならないよ?取り敢えず、リーダーさん行って来ます!」


いつもの、はっちゃけた雰囲気で言う。5人は、もの凄く落ち込んだ雰囲気で座り込む。


「うっかり、死なない様にするんですよ?」


マッシュは、心配そうに言う。


「今回は、大丈夫だよ。だって、お兄ちゃん氏が居るんだもん。絶対的、安心感だよね。」


「「「確かに。」」」


マッシュ達は、思わず頷く。


こうして、トキヤに指導されながらスキルを覚えて行くレイ。ルイス達も、気を遣いながら倒す。そして、ついにレイは100レベルに到達。半日で、爆速レベリングからの瞬殺素材集め。


こうして、解散する事となる。


「お兄ちゃん氏、私もbreezeに入れて!」


ルイスは、無言でトキヤ達を見る。無言で、頷くトキヤ達。ルイスは、少しだけ考えてから言う。


「初心者ボーナスが、終わってから日本サーバーに来てください。そこで、breezeの全てを教えた上で判断させます。breezeは、生産クランですから。」


「うん、わかった。またね、お兄ちゃん氏!」


そう言うと、レイはログアウトして行った。ルイス達も、日本サーバーに戻りログアウトした。

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