第273話 ホワイトデー

瑠衣は、お菓子を買いに来ていた。ホワイトデーのお返しには、意味がある為だ。ちなみに、マシュマロやグミを渡してはいけない。


マシュマロには

《あなたが、嫌いです。》

《関係を終わらせたい。》

《ふんわりとした優しい愛》


グミには

《貴方の事が嫌いです。》


などの意味があるからだ。ちなみに、瑠衣は毎年クッキーを作っていた。返す人が、少なかったのと義理チョコが多かったからである。


クッキーには

《仲の良い友達の1人》

《友達でいよう》


という、意味があるからである。義理チョコのお返しの、定番菓子というのもある。


「今回は、多いし買おうかな。」


そういうと、木漏れ日喫茶のマスターに相談する。何せ、今まで手作りだったので買った事が無かったのだ。という訳で、オススメを聞いてみたのだ。


「青春ですね、それならお薦めのお菓子屋さんがあります。本当なら、うちで準備したかったのですがね…予約が、たくさん来てて無理なので。」


「マスター、ありがとうございます。」


そう言って、お菓子屋の連絡先を貰う。


「瑠衣、今回は作らないのか?」


神崎は、キョトンとしている。時矢達も、聞いていたのか珍しいと言いたげである。


「37個も、貰ったから作りきれないよ。そんな時間、僕には無いので。それに、手作りで変な誤解をされた事もあるから。高校生だし、神崎君みたいに後ろから刺されそうな事をするつもりは無いよ。」


「ぶはっ!ちょ、まだそんな事はねーから!まだ、ねーから!ナチュラルに、酷いな!?」


瑠衣と神崎の会話に、周りは思わず優しく笑う。


「神崎君は、お返し用意した?」


「まだだ。けど、飴とかにしようかな。なんか、お店の人に凄くおすすめされたし。」


瑠衣は、固まり苦笑する。


「神崎君、君の場合はクッキーがおすすめ。彼女さんに、飴をやる分には良いと思うけどね。」


飴には

《あなたが好き》

《付き合いが長続きする》


とても、好意的な意味を含むお菓子です。相手が好きだった場合、両思いをこちらから示すホワイトデーのお返しとなります。このままだと、冗談抜きで神崎君が刺されかねません。止めておきましょう。


「にしても、今回はモテモテだな瑠衣。」


ニヤニヤと、神崎が言えば瑠衣は微妙な表情。


「だって、白羽の矢だもの。喜べないよ?」


神崎は、どういう意味が分からず首を傾げる。春都は、プルプルと笑いを堪えている。神崎は、春都に書き出し苦笑する。周りも、同様にである。


「瑠衣、鈍感過ぎないか?」


「すまん、俺が変な事を言ったからかも。」


神崎の言葉に、春都は申し訳ない雰囲気。トモ君たちも、困ったように笑っていた。




お菓子を注文し、ホワイトデー前日に届くが…。相手のミスなのか、一つだけ足りないのだ。


瑠衣は、苦笑して電話するが間に合いそうにない。


という訳で、一つだけ手作りする事に。そして、クッキーは靴箱に。最後の手作りは…


「雪音さん、義理チョコのお返し。」


「あ、ありがとう。えっと、ホワイトチョコ?」


雪音は、キョトンとしている。そこには、ホワイトチョコの生チョコが入っていたからだ。


「じゃあ、僕は行くから。」


「ちょっ、これって?」


ちなみに、チョコレートは味で意味合いが変わる。


「チョコって、味で意味合いが変わるんだよ。だから、雪音さんなら勘違いしないかなって。」


チョコレート

《貴方と同じ気持ち》


苺チョコ

苺味は、【恋•結婚•子孫繁栄】を意味する。


「え、結局はどういう事なのよ…。」


雪音は、困惑して慌ててスマホで調べる。


ホワイトチョコ

《今まで通りの関係を望みます》

《嫌いじゃないけど友達でいよう》


白色が、純粋をイメージさせるため、関係性を進展させないまま清い関係でいようという意味。


「結局、私は振られたの?振られてないの?」


雪音は、誰もいない教室で1人つぶやくのだった。




ホワイトデーイベントで、クッキーを全員に送るとルイスは一息。そして、話はお返しの事に。


「取り敢えず、周りにはクッキー。本命には、ルイスのおすすめでカップケーキにしてみた。」


カップケーキは、《貴方は特別な人》の意味が込められている。他のお菓子より、高価な物が多いことが由来です。本命の人やパートナーなど、特別な人に贈るのをおすすめするお菓子なのですよ。


「飴は、味でも意味が変わるからな。」


トキヤは、珈琲を飲みながら言う。


「それで、ルイス…雪音さんにホワイトチョコを送ったんだって?俺は、そこら辺を詳しく…」


「飴と同じく、チョコも味で意味が変わります。」


ルイスは、グレンの言葉を遮る様に言う。


「でも、これは秘密なのですよ。」


ホワイトデーの、甘い秘密を知るのはルイスのみ。


「でも、義理チョコだったんだろ?」


「多分あれ、本命チョコだと思いますよ。義理チョコにしては、とてもしっかりと作られてました。」


トキヤの言葉に、ルイスはあっさりと応える。


「でも、義理チョコと言って渡されたので、そういう意味に受け取る事にします。」


ルイスは、珈琲を飲んで一息。


「もし、本命で渡してたら何返してた?」


「そうですね、キャラメルでしょうか。」


トキヤ達は、意味を知らなかったのか聞く。


「えっと、どういう意味っすか?」


ルーカスが、代表して聞けばルイスは笑う。


「そんなの、教えませんよ。」


ルイスは、そう言うと立ち上がりキッチンに向かってしまう。ここで、調べるのは無粋な気がして、トキヤ達は苦笑して解散するのだった。





キャラメル

《一緒にいると安心する》

《安心する存在》


キャラメルは温かみのある味が口に広がり、溶けても味が残るため、食べると安心するところが由来とされています。居心地のいい相手や家族にプレゼントするのがオススメされるお菓子です。


「ちょっと、言って恥ずかしくなって来ました。」


ルイスは、少しだけ恥ずかしそうに呟く。そして、気持ちを紛らわせる様に皿洗いするのだった。













ホワイトデーお返しの意味


※意味を知らず、贈る人も居ると思うので気にしないでください。あくまで、豆知識です。


チョコ

《貴方と同じ気持ち》


ホワイトチョコ

《今まで通りの関係を望みます》

《嫌いじゃないけど友達でいよう》


マシュマロ

《あなたが、嫌いです。》

《関係を終わらせたい。》

《ふんわりとした優しい愛》


グミ

《貴方の事が嫌いです。》


クッキー

《仲の良い友達の1人》

《友達でいよう》


《あなたが好き》

《付き合いが長続きする》


レモンキャンディー

《真実の愛》


金平糖

《甘い時間を長く続けたい》

《甘い関係でいたい》


カップケーキ

《貴方は特別な人》


マカロン

《貴女は特別な存在》


バームクーヘン

《この幸せが長く続きますように》


アップルパイ

《永遠に続く愛》


マロングラッセ

《永遠の愛》


ティラミス

《元気付けて》


マドレーヌ

《あなたとより特別な関係を築きたい》

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