第272話 提案
取り敢えず、物資集めに数人が出て行きました。今夜は、ゆっくりして明日から移動するそうです。
ルイスは、自室の机に座りトキヤの書いた会議のメモを見つめている。すると、ノックがする。ルイスは、キョトンとする。明らかに、日本人のノックではない。取り敢えず、入っても良い事を告げる。
「お邪魔しまーす!」
ブレイブは、元気よく部屋に入る。後ろには、ジェイドとヴァンそしてフレドとグレンが居る。
「どうかしました?」
「んー…、取り敢えずお前の本来の目的が知りたくてな。その、巻き込まれたって言ってたじゃん?」
ブレイブは、歯切れが悪そうに聞いてくる。
「グレン、トキヤさん達は?」
ルイスは、答える事をせずグレンに聞く。
「外の見回り、暫くは帰って来ねーよ。」
グレンは、素っ気ない雰囲気で言う。
「3月27日は、トキヤさんの誕生日です。そこでなのですが、誕生日プレゼントを考えていたのですけど…欲しいものは、実力で手に入れちゃうので。そこで、前に弓矢は火力が弱いと言っていたのを思い出したんです。いい素材が、手に入ったのは良かったのですが…日本サーバーに、その素材を扱えるレベルの木製職人が居ませんでした。」
少しだけ、落ち込んだ雰囲気のルイス。そんなルイスを、微笑ましく見る4人と納得するグレン。
「つまり、バーズにトキヤへプレゼントする様の、弓矢を作って貰おうと訪ねたら巻き込まれたと。」
フレドの言葉に、ルイスは机に突っ伏す。そして、ガバッと起き上がるとリルを膝に乗せてモフモフ。
「上手く、いかないものですね。確かに、責任感から逃げたかったり、疲れを癒したい故もあって3週間と言いましたが。僕だって、まだ高校生。責任感から、逃げ出して遊びたい時もあるのですよ。」
その言葉に、グレンはうんうんと頷く。ちなみに、4人の反応はこうなる。ブレイブは、ルイスがまだ学生だと知って『お前って、学生なの!?』と聞く。ヴァンは、心配そうな雰囲気で『ルイス、無理に大人に合わせる必要はないよ?』という。フレドは、無言で考え込む。ジェイドは、苦笑すると『すまない、俺達大人が不甲斐ないばかりに…。』という。ルイスは、困った様に苦笑する。
「取り敢えず、ここだけの秘密ですよ?特に、トキヤさんにはバレたくないので。」
5人は、頷いてからお茶をする。そして、男子会みたいに話して解散したのだった。
ルイスは、早朝にトキヤ達に声を掛けて出かける。
偽商人クラン『大黒天』と、ともに魔物軍を目指していた。目的は、交渉である。ルイスは、荷馬車に座り、小さくなったリルソルをモフモフする。
久しぶりの、じゃれあいに嬉しそうな2匹。
目的地に着いて、荷台を確認される事なく進まされる。すると、怒鳴り声が聞こえてくる。
「別に我々は、お前達なんて居なくても構わないんだからな!分かったなら、私達に従え!」
ルイス、思わずニッコリ…
「おはよう御座います、早朝からお元気ですね。」
柚木達は、驚いて固まる。
「ルイスさん!?えっと、何をしに?」
柚木は、やっと疑問を口にする。
「僕から、少しばかり提案がありまして。」
「馬鹿馬鹿しい!そんなやつ、放っておけ。」
魔族の貴族が、怒鳴るがルイスが何か言う前に忍者が気絶させる。その忍者を見て、数人が驚く。
「ルイスさん、提案って?」
柚木は、真剣な雰囲気で言う。
「まず、この革命の経緯からお話しします。それらを、聞いた上でどうするか考えてください。」
そう言って、事の経緯と事情を話す。
「という訳で、魔獣討伐を手伝って貰えませんか?討伐ポイントが、入りますしどこの軍か関係なしのクエストなので負けたとしても、そちらの報酬が入ってくるので赤字にはなりません。」
「なるほど、けどルイスさんは行かないの?」
柚木は、疑問そうに聞いてくる。
「はい、僕は皆んなが帰る場所を残る人達と守ります。また、こちらから攻める気もありません。」
柚木は、考えた末に無言で頷く。
「その提案、乗る事にしたよ。だって、僕達は要らないみたいだし。プレイヤー全員、引き連れて魔獣討伐に参加する。ルイスさん、情報ありがとう。」
ルイスは、少しだけ支援物資を渡す。
「良いの?それって、利敵になるんじゃ…」
「これは、僕からのクエストでその報酬を前取りしているだけです。だから、利敵ではないです。」
すると、納得して受け取る柚木達。ルイスは、優しい笑って応援の言葉をかける。こうして、魔獣討伐に全部の軍が参加する事になったのだった。
作者のコメント
ホワイトデーの小説は、深夜に出せたら出します。
寝落ちする可能性、とても大きいので気長にお待ちください。最悪、明日の早朝に投稿します。
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