第271話 作戦会議

ルイスは、紅茶を飲み無言で考える雰囲気だ。周囲は、先ほどルイスが溢した情報を整理する。トキヤも、ルイスの隣に座る。そして、紙を取り出す。


「やはり、全員は来ませんでしたね。」


ルイスは、小さくため息を吐きだす。


「来なかった人は、どーすんだ?」


ブレイブは、暢気に聞いてくる。


「勿論、今まで通りですよ。」


「つまり、俺達に災厄の魔獣を倒せと?」


フレドは、驚いた雰囲気で言う。ルイスが、無言で頷けば周囲のプレイヤーは驚く。トキヤは、考える雰囲気である。そして、ルイスを見て言う。


「ルイス、まさかお前…」


「僕は、ここに残ります。ブレイブさん達は、確定で行くべきです。名も無き同盟も、僕以外は言ってください。来なかった人と、僕で戦線を保つ事にします。勿論、僕も出し惜しみはしません。」


そう言うと、指輪を出してまた隠すルイス。


「それは、有り難いな。お前なら、安心して任せられる。例え、周りが非協力的だとしてもな。」


それで、周りもルイスの種族が人族では無いと察する。ルイスは、物資の配分などさらりと答える。


「良かった、やっとやる気を出してくれて。」


フレドは、思わずそう言えばルイスは苦笑。


「ここが、日本サーバーなら何とでもしますよ。それに、僕は偶然に巻き込まれただけです。」


「そう言えば、アメリカサーバーに何しに行ってたんだ?3週間の休みを、いきなり欲しがったり。」


トキヤは、純粋にキョトンとする。


「りょ、料理のレシピ集めをですね。」


オドオドする、可愛らしいルイスに場が和む。


「なるほど。まあ、そういう事にしとくか。」


ルイスの表情を見て、トキヤは優しく笑う。


「取り敢えず、トキヤさん任せましたよ?」


ルイスは、半ば強制的に話を終わらせる。そして、情報交換をする。魔物軍の近況、そしてシファンから聞いた現状と魔物のデータを公開した。次々に、情報を言っていくプレイヤー達。


ルイスは、真剣に考えている。


「僕は、裏切り者も見つけておきたいのですよね。なので、忍者達も此方に待機をお願いします。」


「まあ、後々に後悔しそうな不安要素だしな。」


トキヤが言えば、ルイスは真剣に頷く。


「それと、裏切り者はおそらくセカンドアバター持ちです。となると、見つけ出すのは困難…。」


ルイスは、考える雰囲気だがハッとする。


「バーズさん、ベナ、カメリ、デンテ、ポルコのセカンドネームを教えてくれませんか?それと、クランマスターなら位置も分かるはず。一応、警戒しときたい人物ですので…情報を共有しても?」


ルイスは、真剣な雰囲気で言う。


この4人、エルフ軍のメンバーとして書かれていたのだが見ていない。少しだけ、気になったのだ。


「分かった。残念だが、4人とも革命が起きてから何度も魔物軍へ向かっている。すまない、信じたくなかったんだ……報告が遅れてすまなかった。」


バーズの言葉に、ルイスは優しい表情。


「いいえ、ありがとうございます。けど、このままという訳にも行かないのですよ。」


「分かってる、流石にもう…な。」


バーズは、疲れた表情で休む為に部屋に戻って行った。そして、ルイスは一応だが聞いてみる。


「うーん、取り敢えず後で残った人と話し合いますかね。そうだ、皆さん災厄の魔獣と戦う選択で良かったんですか?今更ですが、僕の言葉ですよ?」


「俺達は、お前の言葉には従ってない。フレドさん達が、やる気だから従っているだけだ。」


そう、一人が言えば数人が頷く。フレド達は、苦笑するがルイスを見てから言う。


「だって、ルイスはいい奴だからさ。日本サーバーに、俺達がアポなし突撃しても時間を作ってくれたり、失敗しても笑って許してくれたり。」


ブレイブは、笑って言う。


「でも、ルイスの考えを聞いときたいかな。」


フレドは、優しく笑うとルイスを見る。


「魔王国は、最前線を駆け抜けた僕達ですら、行ったことのない未知の国です。無理矢理、追い返して魔獣の被害に合わせて恨みをかうより。その火種である、魔獣を消して帰ってもらう方が良いと思うのですよ。もし、君達が魔王国に辿り着いた際に、いっさいの手伝いにもしてくれない。友好度が、マイナススタートとなれば、とても苦労するでしょうからね。後は、いい落とし所を見つけて、引くに引けなくなった彼らを話し合いに持ち込むだけです。」


ルイスの言葉に、全員が驚く。


「ありがとう、ルイス。勿論、信じてたけどな。」


フレドは、嬉しそうに笑いながら言う。


「だから、魔獣を倒す事が重要なのです。」


「分かった、俺達に任せろ。」


ルイスは、無言で頷くのであった。

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