第270話 創世天柱書記と火種

葛葉は、少し離れた森に移動すると木に背中を預ける。シファンは、切り株に座る。


「まず、そなたは創世天柱書記の内容を知っておるだろうか?かなりの古書ゆえ、知らぬ者も多い。」


創世天柱書記とは、この世界の始まりを書いた古書です。この世界では、最初は神とその他の種族が共に暮らしていました。しかし、土地が荒れ草木が枯れ魔物が凶暴化して時代が変わっていきます。


神ゲレティーは、各種族に提案します。


『種を従えし王達に、神王ゲレティーが告げる。今現在、この世界は壊れ崩れ始めた。王達よ、天を支える柱となりて平和を保つ為に協力せよ!』


各種族の王は、これに応えて柱となった。


しかし、時代は平和になり柱が必要なくなった。しかし、全ての柱を無くすのは怖かった。そこで、当時により力を持っていた神•精霊•龍が柱として残る事になった。こうして、平和は続くのであった。


本当は、もっと細かく複雑に書かれていますが。ざっくり言えば、こんな話なのですよね。


「はい、知ってますし持っています。」


葛葉は、クランの本棚を思い出し言う。


「あの古書を所有するとは、さてはそなた読者好きだな?ふふっ、ならば話は早いわけだが。第27章での、魔国に触れた文章を覚えているだろうか?」


シファンは、驚き微笑む。そして、優しいながらも真剣に葛葉を見る。葛葉は、考える雰囲気。


「災厄の魔獣と未知の魔物。」


葛葉の言葉に、シファンは無言で頷く。


世界が崩壊の危機に落ち入り、魔国には災厄の魔獣が攻め込んでいた。族長は、瀕死状態になりながらも、何とか災厄獣を封印する事に成功する。未知の魔物が、魔国を襲うが治療を得て復活した、族長である彼女が指揮を取り返り討ちにした。


その活躍に、魔国の民達は救いを求める。


そして、彼女は魔王となり魔王国となった。それから、数千年後…彼女は天柱の役目から解放された。


「そう、我こそが魔王シファンだ。」


ウィンクして、腕と脚を組み大人っぽく色気を振り撒くシファン。しかし、葛葉は微動だにも動揺しない。まあ、中身はルイスだから仕方ないが。


「ふむ…、今までの話を纏めると。話の流れからして、封印した魔獣の封印が解けたとかですか?」


「まあ、そうだ。正しくは、解かれてしまったのだが。我に不満を持つものに、よいしょと担がれて調子に乗ったのだ。まさか、封印を解くとは…。」


シファンは、怒りに拳を握る。


「なるほど、だいたい理解しました。まさか、権力絡みで身内が封印を解いてしまうとは。」


葛葉は、考える雰囲気である。


「我の息子、サナタルだ。まったく、ダーリンを失って一人息子だからと甘やかし過ぎた。」


怒りを滲ませた、震えた声に葛葉は考える。


「なら、親としてのケジメをつけないとですね。」


葛葉が、優しく微笑むとシファンは驚き笑う。


「そうだな、ありがとう…。」


葛葉は、深刻そうな雰囲気である。


「にしても、困りましたね。封印を開放して、倒して力を示そうとして失敗し、他の国を奪う事で信頼を取り戻そうとしていると。でも、それでは…。」


「うむ…、災厄の魔獣が来るのも時間の問題だ。」


シファンは、真剣な雰囲気で頷く。


「長きに渡る封印で、今ならば弱っておるはず。しかし、我にはもう力が残っておらん。民を逃すために、ギリギリまで消費してしまったからな。」


申し訳ない雰囲気で、落ち込むだ様に続ける。


「力を取り戻す前に、倒すべきですね。取り敢えずは、僕もやれる事はやってみます。」


葛葉は、そう言うと苦笑。暫く、シファンと話してから中立派のプレイヤーと少し話して去った。シファン達は、葛葉の姿が見えなくなるまで見送るのであった。葛葉は、狐になり全力でエルフ軍に戻る。


そして、アメリカ最強がいる事に笑う。




あの、いざこざの後にルイスは部屋に戻る。トキヤ達は、ルイスの表情を見て驚き察する。


「遊びは、お終いです。」


それを聞いて、トキヤ達は思わず笑う。


「取り敢えず、お茶の準備をしましょう。全てのリーダーと副リーダーを呼んで、話し合いをしたいのですよ。断られても、構いません。ですが、僕はこの選択が1番良い結果になると思うのですよ。」


すると、フレドとブレイブとマッシュが入る。


「よーし、協力するぜ。」


ブレイブは、元気よく笑い言う。


「これ、余った物だ。俺たちは、物資を集めてから来たからな。これから、楽しくなりそうだ。」


フレドは、優しく笑う。


「では、リーダーと副リーダーを集めてきます。」


マッシュは、2人を連れて部屋を去る。ルイスは、疲れた雰囲気で椅子に座り直す。


「ちょっと、疲れました…」


「お茶の準備は、俺達がやっておくから休め。」


トキヤは、そう言うとbreezeメンバーを引き連れて行った。同盟メンバー達も、何人かは手伝う。


「ルイス、取り敢えず紅茶だ。」


マッキーは、ルイスに紅茶を渡す。


「ありがとうございます。あー、美味しい。」


ルイスは、嬉しそうに紅茶を飲む。

 

「珍しいな、お前が疲れを隠さないなんて。」


「魔物軍で、物資欲しさに殺させそうになったり。中立軍で、魔王さんに事の経緯を聞いたので。」


魔王という言葉に、全員が反応する。


「まあ、お前の反応を見るに悪い奴では無かったんだな。なら、敵対する事もないだろうか。」


マッキーは、少し笑うと紅茶を飲む。


「マッキーさん、かつて魔王さんはゲレティー様と同じ柱でした。かなり、お強いですよ。そして、そんな魔王さんが瀕死になりながらも封印した、災厄の魔獣が解放されたのです。弱っているとはいえ、かなり強敵…。また、戦線も維持する必要が…。」


ルイスは、苦々しい雰囲気である。


「なるほどな、だから話し合いか…」


トキヤは、茶菓子を並べながらいう。


「はい、この革命には3つの選択肢があります。1つ、革命に負ける。2つ、革命に勝つ。3つ…、魔獣を倒して追い返す。正直、3つめは大変です。ですが、出来ない事は無いと確信しています。」


全員が、ルイスを見ている。既に呼ばれていた、各リーダー達もだ。ルイスは、言葉を続ける。


「けれど、結局の話。決めるのは、アメリカサーバーの人達です。僕達は、他サーバーの民ですし。」


そう言うと、ティーカップを机に置くのだった。











作者の謝罪


寝落ちしました…


すみません。

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