第266話 敵対する2人

魔物軍のプレイヤー拠点


柚木は、困っていた。HPが、環境ダメージで削れるのだ。エルフ国軍に、何人か忍ばせて木製職人の有能さを知った。柚木は、流石はルイスさんと思いながらも、何で敵対したんだと後悔していた。


もともと、少しふざけて言ったつもりだった。


しかし、仲間が悪ノリして魔物側に本当になる事になってしまったのだ。苦笑する、柚木。


*柚木

アメリカ留学中の、日本人大学生。日本サーバーにも、良くログインしておりbreezeファンでもある。中規模戦闘クラン、ビッグボムのリーダーで日本食大好き。しかし、料理が出来ないらしい。


何とか、街の木製スキル持ちを勧誘したが、環境ダメージは受けないが寒いのだ。このままだと、プレイヤー達のメンタルがやられてしまう。


柚木は、モルドレーにある命令をするのだった。


*モルドレー

ビッグボムの暗殺者でありシーフ。忍者大好きで、目指そうとした結果このジョブとなった。拠点に侵入し、ルイスを襲った男だと言えば、分かりやすいだろうか?仲間からは、モルさんと呼ばれている。


「モルさん、勧誘または交渉の場を設けたいんだよね。だから、ルイスさんを勧誘してくれない?」


モルドレーは、無言で頷くと素早く走り出した。


数時間後、モルドレーはボロボロな姿で帰った。柚木は、驚いて固まるがモルドレーは嬉しそうだ。


「帰りに、忍者に襲われてな。忍者だそ、忍者。」


柚木は、モルドレーが忍者大好きな事を思い出す。


「それは、良かったね。で、交渉内容は?」


柚木は、話を聞くと青ざめる。


「交渉って、言ったよね?何で、手を出すの!」


柚木は、慌ててポイントを確認。せっかく、相手を騙して無謀突撃をされて得たポイント。それが、減らされている。しかも、エルフ国軍にポイントが追加されている。魔物軍は、現在のところ負けているのだ。数時間前は、勝っていたというのに…。


しかも、かなりの差がついている。


どうやら、ルイスさんが本格的に動き出したみたいだね。それにしても、忍者はルイスさんと関係あるのかな?新たな、商人クランは何者なんだろう。


考える事が、多すぎるよぉー!


取り敢えず、ポイントだね。これ以上、ポイント差を出せば巻き返しが難しくなってしまうし。どうやって、稼ごうかな。魔物軍のリーダー達は、僕達プレイヤーを信用していない。だから、こちらの考えを通す事が非常に難しいんだよね。まったく…。


最悪は、寝返っちゃおうかな…。


さてと、出来るだけ足掻いてから、そこは後で考えておこう。さてと、別の問題を片付けないと。


柚木は、深刻そうな雰囲気である。


食料、お金、ポーション…。かなり、不足中だ。回復職が、魔物軍に行く事を断ったので人手不足でもある。そして、魔物軍側はプレイヤー使いが荒い。


柚木は、真剣な雰囲気で深いため息を吐き出した。


「これ、どうしろって言うのさ!」


思わず、机をバンバンと叩いてしまう柚木。


「ちょっと、敵に回す相手を間違えたな。まさか、あの和装の可愛い系天然そうなガキが。」


セセリは、深いため息を吐き出している。


*セセリ

柚木の学友で、ゲームでは無知ではあるが心優しい青年。ビッグボムの副リーダーで、日本食大好き。お寿司が、一番のお気に入りなのだとか。


「炎天神楽を、知ってるかい?」


すると、プレイヤーの全員が柚木を見る。


「炎天神楽って、初代の方か?」


柚木は、無言で頷くと話し出す。


「そう、初代の方だよ。トキヤさんは、初代炎天神楽のリーダー。ルイスさんは、生産頭兼参謀だったんだ。炎天神楽は、最終的に全てのマップをクリアして全ての図鑑を埋め尽くした。FLLの先駆者として、その全ての情報を期間限定で解放した。」


すると、その場の全員が驚いてる。


「だから、情報戦じゃ…まず、勝てない。」


「戦力も、無理だろ。」


セセリは、苦笑する。


「どうすれば、いいんだよぉー!」


柚木は、叫ぶのだった。




葛葉は、やっとルイスに戻してもらえた。しかし、リルとソルはルイスにピッタリくっついている。


2人は、卵から産まれたので、ルイスが親の様なものだ。だからこそ、強くなった現在…主を今度は、自分達が守ると誓っていた。しかし、現実は残酷な事に上手くいかない。モフモフ達は、主人であるルイスが大好きなだけに、悔しそうな泣きそうな雰囲気である。ルイスは、優しく笑って声を掛ける。


次こそはと、モフモフ達は誓うのだった。


さてと、隣の部屋で会議がされるみたいですね。情報は渡してあるので、僕もいろいろやりましょう。まずは、食料を奪いました。ポーションは、何もしなくても不足になるでしょうから放置でOKです。


お金などは、あっても売ってくれる人が居ないと無意味。後で、高値で商品を売りつける予定なので、その時の為に奪わないでおきます。


回復職は、魔物側に着くと神にそっぽを向かれるので、絶対に此方に着くのは分かっていました。


此方は、即死で無ければ無敵なのです。


さてと、使える人員はどれくらいでしょう?まあ、トキヤさん達の作戦も有りますでしょうし。


ルイスは、紅茶を飲みながらサクサクと決める。


「ルイス、楽しそうだな。」


グレンは、呆れた雰囲気で言う。


「えへへ…、楽しくなって来ちゃいました。」


ルイスは、隠す事なく思わず明るく笑う。


「まあ、楽しいなら何よりだな。」


グレンは、やれやれと笑い紅茶を飲んだ。


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