第241話 2人の覚醒

プロメアは、素材を素早く拾い調合しながら応戦している。危なっかしい時は、謎の力が敵の攻撃を弾いている。それにしても、今さっきプロメアはプロメテアお姉ちゃんと言ってなかっただろうか?


ガイアは、ふらふらと立ち上がる。そして、プロメアの補助をすべく詠唱を開始した。


すると、蝶が肩に2匹止まる。


【そうそう、諦めちゃ駄目だよ。可憐な少女に、背負わせるとかぶん殴ってやろうかと思ったよ。】


励ます様に、元気で明るくやんちゃな声がする。


【私達も、手伝ってあげるから頑張って!】


同様に、真剣ながらもお転婆な声がする。


ガイアは、この声を知っていた。思わず涙で、前が見えなくなりそうになるが、歯を食い縛ると涙を拭う。そして、震える声でこう呟いた。


「精霊王子、姫様…生まれ変わってたんだね。」


【また、会えたのに君は死にかけだし。】


呆れた雰囲気で、いじけた様に言う精霊王子。


【そうよ、まったく…片付けちゃいましょう?】


怒った雰囲気で、戦闘を促す精霊姫。


「うん、2人とも僕を手伝って!」


【【新たな王子の命ならば喜んで!】】


2匹の蝶は、精霊の姿になるとガイアに答える。


「ティタとニーア、君達を僕の眷属とする!」


条件が整いました、王権を持つ精霊が眷属を得た事で、精霊王子への覚醒を認めます。


世界の言葉が、3人とルイスに届いた。


ガイアは、中学生くらいの姿になる。そして、頭に王冠をつけており、神秘的な姿である。しかし、力をまだ上手には使えない。更には、疲労状態だ。


「お姉ちゃん、もう限界…かも。」


プロメアも、頑張って立とうとするが立てない。


【仕方ないわね、力を貸してあげるわ。】


プロメテアは、真剣な声音で言う。


「偉大なる、ホムンクルスの魔女プロメテア!私の呼び声に答え、その姿を顕現させて!」


すると下半身が、透けた女性が後ろからプロメアを抱きしめる。そして、消えたと思うと土の中から現れる。そして、ノホホーンと笑う。


「偉大なる魔女、プロメテア登場よ!」


「ほえ…、とても綺麗な人。」


そう言うと、プロメアは気を失った。ガイアは、慌てて受け止めて抱えると、メウロの隣に寝かせる。ガイアは、必死に2人を守るための聖域を作る。プロメテアは、それを横目で見ると長い髪を靡かせ歩き出す。プロメテアは、妖艶に微笑み魅了する。


その足は、確かに動ける様だ。


ホムンクルスの希少種が、契約をした事で条件が揃いましたホムンクルス姫に進化します。


世界の言葉は、また3人とルイスに告げる。


「名前が、紛らわしいからメテアって呼んでね?」


可愛いらしく、ウィンクしながらガイア達を見て微笑むメテア。プロメアは、意識を取り戻すが体が動かない。辛うじて、何とか頷き返す。


「パパが、来るまで持つかしら。でも、パパだしなぁ…。きっと、間に合うわよね。娘LOVEだし。」


そう言うと、プロメテアは魔導書と短剣を出す。


「私のメインは、魔女だけどサブは錬金術師なのよ。だから、プロメア。ちゃんと、見ててね。」


そう言うと、凄い速さで魔物に攻撃する。


「うーん、流石に倒せても3分の1かしら?」


魔法を放ちながら、考える様に言う。


「パパ、遅いわよ?」


パパと呼ばれて、嫌そうな表情をするルイス。


「何で、ホムンクルスが?」


ルイスは、苦笑して魔物が襲うので咄嗟に沈める。


「取り敢えず、もう少し時間稼ぎをお願いします。メウロが、重傷なので治療しなければ。ソル!」


ソルは、素早く魔物を蹴散らしながら来る。


「まあ、私はプロメアに作られた偽物だし。ざっくり、戦えて7分くらいかしら。大丈夫なの?」


「充分です。直ぐに、位置を入れ替わるので。」


ルイスは、素っ気なく言うと治療を開始する。そして、位置を入れ替わり範囲攻撃で殲滅した。


「じゃあ、私はこれで…」


そう言うと、土となって消えてしまった。


ルイスは、深いため息を吐き出して3人を連れ帰るのだった。そして、breezeは始まりの街に戻った。

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