第227話 メンテナンス

瑠衣は、いつもの様にクラスの会話に耳を傾ける。


「鉱山の国、やべぇー広かった!」


まあ、国の土地のほぼ全てが鉱山で、今ある街も山を削って平らにした場所なので広いのも仕方ない。


「瑠衣、良かったら連れて行ってやろうか?」


「やめろよ、やっと寄生して行けたのに。こいつなんか、連れて行ったら邪魔でしかないだろ?」


相変わらず、うるさいですね。もう、行けてるので別に良いのですよ。それと、邪魔なのは君達です。


瑠衣は、無言でため息を吐き出す。


「あ、もしかして落ち込んじゃった?」


煽る雰囲気で、ニヤニヤ言う陽キャ達。


「取り敢えずさ、君達より僕が弱いと思う根拠って何?ずっと、思っていたんだけど何で?」


瑠衣は、静かな口調でゆっくり3人を見る。全員が思わず、固まって瑠衣を見ている。大抵、瑠衣は無視するか適当に流すかだ。言葉を返す事は、滅多にないし会話を避けたがる。それなのに、問うのだ。


「そ、それは…お前みたいな奴は…」


「アホらしい。見かけで、実力を見誤るとF LLでは痛い目を見るから、やめといた方が良いよ?」


冷たく突き放す様に、瑠衣は言えば落ち込む3人。


「だから、あれ程やめておけって言ったのに。」


春都は、深いため息を吐き出して呟く。


「アップデートとメンテナンス、どっちもらしいから1週間はかかるみたいだね。暇になる…。」


瑠衣は、考える雰囲気である。


「まあ、何とかなるだろ。」


春都は、明るく笑い飛ばして言う。


「うん。」


瑠衣は、頷いて授業の準備をする。




バイト先にて…


そろそろ、最近は暗くなるのが早く外は真っ暗だ。


カラン♪カラン♪


「いらっしゃいませ、何名様でしょうか。」


「3名です。」


神崎は、暢気笑いながら言う。瑠衣は、驚いてから席に案内する。3人は、笑っている。瑠衣は、神崎達の席に行くと注文を聞く。お客さんは、興味があるのか視線で追ったりしている。他の店員もだ。


「3人とも、びっくりしたよ。」


「一度は、バイトしている瑠衣を見たくて。」


2人も、にこにこと頷いている。神崎達は、ケーキと飲み物を頼み食べてから帰った。


お客さんが、少なくなったので集まる事に。


「ついに、この木漏れ日喫茶とフリー・ライフ・リベレイションがコラボする事になりました。」


マスターである、宮代さんが嬉しそうに言う。


「F LLクリスマスフェスティバル2022!にて、お店を出店する事が決まりました。という訳で、行ける人の確認をしたいと思います。」


クリスマスフェスティバルですか、今回は予約制のチケットらしいですね。一応、買ってはいますが。


「ちなみに、私達は室内出店になるわね。屋台は、外になるらしいけれど。ちなみに、チケット無しで入れるし在庫終了しだい自由行動してもOKよ。」


マスターの娘さん、綾香が紙を見せながら言う。


「1週間以内に、手伝に行ける人は名簿に丸つけといてね。ちなみに、私とマスターは確定よ。」


予約チケットは、完売しているので入手は不可能。でも、仕事が終わったら遊べると、店員さん達は目を輝かせている。勿論、瑠衣は行かない。


しかし、店員達は何故か瑠衣を見ている。


「ん?」


「あ、いや…瑠衣君もFLLやってるだろ?」


ああ、なるほど…。自分達が、行きたいのを我慢して僕を優先させようとしてくれたんですね。


やっぱり、ここの人達は優しいです。


「その、予約チケットを買いました。」


「え、あれ買えたの?ラッキーじゃん!なら、遠慮なく俺も行きます!マルつけるから、ペンくれ。」


嫉妬する訳でもなく、良かったねと自分の事の様に喜んでくれる。出来た、大人達が多いのだ。


「そうだ、終わったらさ一緒に遊ぼうぜ。夜飯くらいなら、俺も奢っちゃうからさ。」


「聞いた?瀬野が、奢ってくれるって。」


綾香が、冗談っぽく言う。小悪魔な笑み…


「違う、学生諸君だけだよ!ふざけんなよ?」


慌てながらも、笑っている瀬野。瑠衣の他に3人の大学生が、バイトをしている。瑠衣は、お店で最年少であり最も新人であった。そのため、お店の店員のみならずお客さんからも優しくされていた。


マスターの古い知人などからは、何故か気に入られてしまい色んな情報を教えて貰ったりした。


「先輩達、頑張ってください。」


「おう、ありがとな。」


瑠衣は、この後に帰る事になった。瑠衣は、少しだけ考える雰囲気でLINEをするのであった。

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