第222話 次に踏み出す為に… 2

ルイスは、花園に籠ってお茶の準備をする。お店はそろそろ閉店時間で、来れる人だけ来る様に伝えてある。予定がある人は、言う様にも…。


取り敢えず、予定では全員が来るはずである。


「こんばんは、ルイス。」


トキヤとグレンが、入ってきていつもの席に座る。


「こんばんは、皆さんが揃うまでゆっくりしてくださいね。あ、珈琲を持って来ますね。」


そう言って、トキヤとグレンに珈琲を渡す。


「ありがとう。それで、全員を集めて何するんだ?会議の内容は、確認したけど話題性はないだろ?」


トキヤは、ルイスを見て不思議そうに言う。


「はい、会議とは関係ないです。会議では、同盟参加の継続をするか否か。それと、初心者のフォローについてでした。それと、メンテナンス期間の事ですね。その期間は、ログインも出来ませんから。」


グレンは、報告書を見てないのでルイスは言う。


「となると、クランの事か?」


「そうです。で、皆んなが集まったら話しましょうかね。いちいち、説明するのも大変なので。」


2人は、頷いてからゆっくり珈琲タイム。


ガリレフとローアンが、入ってくる。ルイスは、珈琲を準備しようとしてトキヤに止められる。


「ルイスこそ、休んだ方が良いぞ。今日は、お茶もしてないくらい忙しくしてただろ?」


「では、珈琲は私が出しましょう?」


ランコルが、素早く動いて珈琲を出す。


「では、お言葉に甘えて…。」


ルイスは、椅子に座り紙を出している。これから、話し合いをして意見を聞こうと思うからだ。


次に、カリオストロとドラコフそしてアビスが。暫くして、プラメア達を連れてキリア達が来る。そしてついに、breezeメンバー全員が集まった。


「これより、breezeメンバーの進路相談をしたいと思います。まず、約束事を3つ程お願いします。」


一つ、嘘偽りなく本心を話す事

二つ、一緒に考えて答えを探す事

三つ、言いたい事は言い相談する事


すると、全員が驚いてルイスを見ている。


「あのさ、その進路相談とは意味がある事なのか?いつもみたいに、リーダーが決めるじゃダメなのかよ?その方が、楽だと俺は思うんだけど…。」


ドラコフは、純粋に疑問に思ったのか言う。ルイスは、思わず複雑そうな悲しそうな表情をする。


同意しかけたメンバーは、思わず固まり無言に。


「なるほど、リーダーあるあるだな。」


トキヤも、炎天神楽時代を思い出して苦笑する。


「つまり、ルイスはもっと俺達の意見を聞き尊重したい訳だ。確かに、誰かの意見に乗っかるのは楽で良い。けど、同時にリーダーには負担がかかる。何故なら、いろんな事を考えて配慮しなければいけないからだ。個人の意見を尊重したいのに、誰も話さずYESばかりだとストレスになったりするしな。」


「不安になるんです、本当にそれで良いのか。それが、本当に仲間の為になるのか…。皆さん、不満は無い幸せだと言います。でも僕は、僕の価値観や考え方を押し付けたくないんです。もっと、皆んなが強くなる為に意見をください。今は出来なくても、尊重すべき考えは対応していきますから。」


ルイスは、真剣な雰囲気である。


「えっと、その…申し訳ありませんでした。」


キリアは、ルイスの本音を聞いて謝る。


「取り敢えず、俺の意見としては次の国に行きたいと思ってます。武器や防具の素材は、パワーレベリングしながらその時に居るメンバーで集めたので大丈夫です。なので、素材の揃ってないメンバーのフォローとお店の事を今は頑張る予定ですね。」


「なるほど、分かりました。」


ルイスは、素早くメモをしている。


「俺は、もう少し待つべきだと思う。プラメア達が、そろそろ200レベルに到達するからな。そうなってから、動いた方が動きやすくないか?それとだ、俺も素材は集まってるから店番する。フォローとか苦手だからな。取り敢えず、これが意見だ。」


バロンは、珈琲を飲みながら真剣に言う。


「その、ルイス様にお願いが有るのですが。」


ランコルは、緊張した雰囲気で言う。


「何でしょう?」


「最近、とあるプレイヤーに会いまして。」


ランコルの話は、こうで有る。最近、年寄りのプレイヤーが農家プレイをしている。しかし、野菜を売るわけでもなく腐らせている。けど、畑にはお金がかかるのでかなり困っているとの事。野菜の品質は、かなりの高品質で出来れば取り引きしたいと。


「ふむ、取り敢えず後日一緒に訪ねてみましょうかね。それで、相手が良ければ商談します。」


ルイスが、優しく言うとランコルは嬉しそうだ。


「後、私はどちらでも良いです。まだ、レベリングするならば体を鍛えますし。行くなら、全力でお供します。この老骨は、準備万端ですぞ。」


「なるほど、それとランコルさんは老骨じゃ有りません。頼れる、おじいちゃんなのですよ。」


ランコルの言葉に、ルイスは暢気に答える。その後もメンバー達の本音は続いて行く。


「結論、プロメア達が200レベルに到達するまではパワーレベリングと素材集めと店番を交代ですると。不安は無いが意見はあり、その意見をたくさん貰えて嬉しいのですよ。少しずつ、やりますね。」


本当に、嬉しそうなルイスに全員が微笑んだ。

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