第220話 君に送る
瑠衣は、スマホを確認して少しだけ落ち込む。いつも、誕生日は大河は帰ってくるのだが…。
『すまん、帰れそうにない…。』
まあ、忙しいなら仕方ないですね。今日は、バイトも入れてませんし、この時間帯は親が居ます。ログインするにも、少し早い気がしますし…。
「寄り道して、帰りましょうかね。」
瑠衣は、小さく呟くと足早に駅に向かう。途中で電車を降り、ゆっくり商店街を歩きだすのだった。
フリー•ライフ•リベレイションにて…
トキヤは、悩んでいた。というのも、ルイスは基本的に自分の誕生日はログインしてこないのだ。
LINE着信音
『今日は、ログインが出来そうです。』
「……マジか。なら、急がないとだな。」
トキヤは、マッキーに連絡を取るのだった。
「何だ、バタバタしてるな。」
バロンは、忙しそうなトキヤにキョトンとする。
「まあな。大河、仕事でも入ったのか?まあ、何にせよルイスの誕生日をお祝いするチャンスだな。」
すると、breezeの住民達は驚いてから一斉に動きだす。特に、キリアとランコルが早かった。
「俺、今晩の買い出しに行ってきます。」
素早く、お店を出て行く。
「では、私は部屋の飾りをしましょうか。」
楽しそうに、アトリエに帰って行くランコル。
トキヤは、思わず微笑みお店を出るのだった。プロメア達は、フィン達の行動を思い出して慌てる。
「私達も、何か良いクエストが無いかな?」
プロメアは、武装して髪をポニーテールに結ぶ。
「プロメアは、料理じゃないんだね?」
ガイアは、ローブを着てから笑顔で言う。
「そこは、キリアお兄ちゃんに譲るの。あ、でもお菓子くらいは作りたいな。パパに、約束してたのになかなか時間が合わなくて…。が、頑張るぞ!」
「居候だし、いつもお世話になってるから。僕も、気合が入る…。さあ、いざ討伐へ!」
装備を確認し、伸びをしてから言うメウロ。3人とも、元気にお店を飛び出して行った。
ガリレフは、無言で立ち上がる。
「さてと、僕達はどうしようか?どうせなら、短刀に塗って使える毒でも作ろうかな?」
白衣を羽織り、ノリノリで言うガリレフ。
「やめとけ…。ご飯がある場所で、毒をプレゼントなんて洒落にならない。まあ、本人は怒らずに笑って流すか、ノリツッコミするだろうがな。」
深いため息を吐き出して、ローアンは考える。
「取り敢えず、外に行くぞ。」
上着を羽織り、足早に歩きだす。
「はーい。ちなみに、毒が駄目なら…痺」
「駄目に決まってるだろ?」
ローアンは、呆れた雰囲気である。ガリレフは、少しだけ苦笑するとローアンを追い掛けるのだった。
他のメンバーも、次々に動き出す。気を利かせて、お店に残っていたプレイヤー達も笑顔で帰る。
バロンは、お店を閉めると自室に向かった。
さてと、少しだけ寒いですね。電車は、15分後なのであったかい缶コーヒーを飲みながら待つ瑠衣。
どうやら、長期間メンテナンスがあるのだとか。
最短で3日、最長で1週間もログインが出来なくなるそうです。なるほど、暇になりそうですね。
電車に乗ると、神崎達がいる事に気付く。
しかし、瑠衣は静かに座って読書する。すると、隣に神崎が座り対面する様に裕太と智也が座る。すると、3人は鞄からプレゼントを出して渡す。
「「「瑠衣、誕生日おめでとう!」」」
「うん、ありがとう。」
瑠衣は、嬉しそうに笑うのだった。
家に帰ると、時矢や牧田からプレゼントが来てる。瑠衣は、毎度の事なので微笑みプレゼントを運んでいる。勿論、毎年瑠衣もプレゼントを渡している。
ルイスは、ログインして驚く。真っ暗だからだ。
「え、えっと…?」
すると、電気がつく。ルイスは、驚いている。
『ルイス(様)、誕生日おめでとう!』
これは、信頼できる仲間からの贈り物。
君に送る、最高のバースデーパーティーだ!
ルイスは、いろんな感情に思考が止まる。しかし、嬉しそうに微笑み感謝するのだった。
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