第216話 本気の戦い2
さてと、ヴァンさんの情報は余りないのですよね。
ルイスは、深いため息を吐き出してから、短刀を出して力を抜いた状態で待っている。
「ルイスの動きは、一度見たから大丈夫。」
ヴァンは、自信ありに言う。なるほど、では戦い方を変えれば問題ないですね。さてさて、取り敢えずは相手が動くまで動きません。さっそく、困惑した表情をするヴァン。ルイスは、無言で待っている。
「え、えっと…こないの?」
「……。」
ルイスは、無言で無視している。
「うっ…。なら、僕から行く!」
痺れを切らしたのか、ヴァンはルイスに向う。ルイスはまだ、呼び潮もアズライールも出してない。
「波斬撃!」
水の斬撃が飛んでくる。ルイスは、聖結界で防御すると呼び潮を詠唱しだした。ヴァンは、驚いてから右上から斜め下、真横に一閃と剣を振る。
ルイスは、詠唱しながら後ろにステップを踏んで回避する。強気に、走りながら突きの追撃する。しかし、ルイスは短刀で受け流して前に踏み込むと、ヴァンの横をすり抜け背を向けない様に動く。
その間に、詠唱完了。ルイスは、フィールドを支配する。そして、その無防備な背中にダメージを与える。ふらつき、何とか体勢を整えるヴァン。
HPが、少ないのか思ったより削れて驚くルイス。それにしても、、HPが少ないのに強気の戦い方をしている。言い換えれば、HPが削れてもポーション以外での回復方法があるという事で有る。
スキル…、もしくは原初がらみでしょうか?
回復を使えるのは、光と水と土だけです。光は、回復特化が多く水はバランス的です。土は、回復は使えますがやはり防御と相性の良い属性になります。
バランス的…、となるとスキルの可能性は低いですよね。となると、原初なわけですが…。
原初の蒼龍、そして攻撃的な動き…。あれですか、相手にダメージを入れたらその半分くらい自分が回復する。確か、そんなBOSSも居ましたね。
まだ、確実では有りませんし警戒しましょう。
「ぐぅ…、原初の蒼龍!はぁ!」
やはり、攻撃的に踏み込見ながら右から斜め下そして右から左、突きからの回し蹴り。ルイスは、後ろに飛んで回避して右から左の攻撃は短刀で上に弾く事で火力を削ぐ。突きは、受け流して回し蹴りは、錬成壁で受け止める。これで、ノーダメージだ。
「う、嘘でしょ?格闘術、持ってるよね?」
なるほど、最後の回し蹴りは格闘術を使うと思われていたんですね。けど、生身でガードなんてしていたら、多少でもダメージが入るでは有りませんか。
嫌ですよ、回復なんてさせません。
「さっきまで、ゴリゴリのアタッカー型だったじゃない!え、まさかのバレてる?バレてる?」
ルイスは、思わず笑う。
確定ですかね。
原初の蒼龍は発動時間にダメージを与えると、自分をダメージ量に比例して回復するです。
では、ならば戦闘スタイルをカウンター特化にすれば良いだけの話です。日本語で、例えるなら…
蝶のように舞い、蜂のように刺す。
英語なら、Hit and Away. (ヒットアンドアウェイ)
ダメージは、受けても最小限で行きましょうか。
「何で?何で、バレたの?もう、ヤケクソだぁ!」
ヴァンは、素早く踏み込み突きからの右上から斜め下そしてフェイントを入れてスキルを使う。
「水爆華!」
氷華の水バージョンですね。しかし、花の範囲が広い。ルイスは、トキヤ達が巻き込まれる事に気づいて、自分の防御そっちのけで運営を含めて聖結界で守る。爆ぜる水に、ダメージを受けるルイス。
「ちっ、違うんだ!わざとじゃなくて…」
そんな事、ルイスだって理解している。しかし、大事な友達と仲間そして娘達が危なかったのだ。
プツリと、ルイスの中で何かがキレた。思わず、笑顔になるルイス。苦笑する、トキヤ達…。
「ありゃ、切れてるな。」
トキヤは、苦笑している。
「おっかねーw」
マッキーは、笑いを含んで言う。運営は、真剣だ。
「あのスキル、確かレイド用だよな?何で、使えているんだベルンさん。ちょっと、調べてくれ。」
蒼夜の真剣な顔に、イギリスサーバーの管理者ベルンは頷いて、急いで問い合わせしている。
結論、メンテナンス中に起こったバグだと判明。
というのも、サーバー移動しても元のサーバーとの接続は完全には切れない。その影響で、メンテナンス中でのバグが此方でも起きて使えたらしい。
運営は、中断しようとルイスを見るが拒否する。
「いえ、続行しましょう。」
「えっと、レイド用スキルは無効化設定したよ。」
2人が言えば運営は、さっきのスキルを無かった事にした。という事は、ルイスのダメージも消える。消えるのだが、ルイスの怒りは消えない…。
「ふむ、ゴリゴリのアタッカー型を所望ですか。」
ルイスは、呼び潮が有るのでバフポーションを叩き割りステータスを上限まであげる。そして、MPを使い更にバフを盛っていく。そして、アズライールを解放。原初の黒龍を、発動させている。
ヴァンは、攻撃して妨害しようとするが受け流されて、カウンターの蹴りをくらいそうになる。とてもじゃないが、今のルイスの攻撃は一撃をくらっただけでも致命傷になるのでくらえない。
しかし、素早さもパワーも器用さも上がっている。ルイスは、踏み込み素早く2連撃をする。
「ルイス…さん?おこ…にゃ!ちょっ、にゃん!」
攻撃が、当たりそうになり変な声が出るヴァン。
「ん?何か、言いましたか?」
ルイスは、ヴァンの攻撃を回避しない。HPが、回復するが次の瞬間には回復した以上のHPが削られるのだから。ルイスは、短刀を構えてスキルを。
「復讐の刃」
闇属性のスキルを使う。ちなみに、復讐の刃はダメージを受ければ受ける程に火力が増すスキルだ。更にら切られた後に呪いでダメージを受けてしまう。
そして、ルイスはずっとヴァンからの攻撃を受け続けている。さあ、復讐の時だ…怒りを放て!
ちなみに、察している人も居ると思うが…。
このスキルは、邪神関連のスキルでも有るのだ。何故に、使えるかというと邪神のストーリーを1番に進めたから初回ボーナスである。ちなみに、このボーナスは表示されない様になっていた。
「ぐはっ…がふっ…」
「勝者日本サーバーのルイス!」
審判さんは、複雑な雰囲気でルイスを見ている。きっと、もう少し手加減してやれよと思っているのだろう。だが、これは本気前提な試合なのだ。
ルイスは、審判に思わず不機嫌な表情を見せる。
蒼夜も、気付いて苦笑する。ルイスは、深呼吸するとプロメア達が来て抱きついて来る。
ルイスは、驚いたが精神的に癒される。
運営3人は、少しだけホッとしてさりげなく審判を変える。ルイスは、トキヤ達の所に戻っていう。
「イライラしてやりました、反省はしてますが後悔はしてません。おや、もう戻ったんですね。」
「コワイ…ルイス、コワイ…」
涙目で、ガクブルしている。
「はいはい、では葛葉になりますよ。」
ルイスは、そのまま葛葉に変更する。すると、角がぼやけて消えるとぴょこんと狐耳が。そして、黒い髪が白銀に染まっていく。そして、服装が変わる。
葛葉は、髪を結ぶとあのニヘラとした表情。
「私は、商人なのですが…。」
そして、フィールドに立てばヴァンは構える。
「リベンジ!」
「本職では、ございませんのでお手柔らかに。」
葛葉が構えると、トキヤ達は驚く。
「本当に、別人みたいだな。」
「計算高く狡猾な商人っぽいな。」
葛葉は、苦笑して動くのだった。
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