第209話 革命イベント4日目前半

ルイスは、疲れていたのか机で寝落ちていた。それを見て、トキヤはやれやれと静かに毛布をかける。机には、消耗品の管理書類やらルイスとしての仕事が置いてある。その、ほとんどが終わっている。


「だいぶ、無茶してんな。」


トキヤは、苦笑して残りの書類を見る。


「まあ、葛葉とルイスは別人と認識されてるから、ルイスは休みでも葛葉のお仕事はある訳だし。」


マッキーも、心配そうにルイスを見ている。


「ね、寝てました?」


ルイスは、目を擦り机の書類を見る。


「ルイス、他の革命軍の動きの報告書だ。」


マッキーは、書類を苦笑しながら追加する。


「ロゼから、いろいろな書類を預かってる。けど、その前に今日はそれくらいにしとけ。余り無理すると、流石に俺も怒るからな?良いか、休めよ?」


ルイスは、トキヤの笑顔に固まる。そして、小さく欠伸をすると立ち上がりテントを出る。グレンは、寝る準備をしている。ハルトは、既に眠っている様だった。ルイスも、寝っ転がるとリル達が来る。


もふもふに囲まれて、ルイスはまた寝るのだった。


4日目の早朝5時…。


ロゼは、テントにやって来る。勿論、ルイスは疲れのせいか深く眠っている。ロゼは、申し訳ない雰囲気で入ればトキヤが目を覚ます。ルイスを起こさない様に、静かに移動してくれと言って呟く。


ロゼは、無言で頷く。


「それで、こんな早朝に何の様だ?」


トキヤは、コーヒーを飲みながら言う。


「敵の動きが、変わったから緊急で来たんだ。」


「まあ、そうだろうな。こっちが、積極的に攻撃を仕掛ける様になったし、何よりあっちの物資問題が解決したからな。けど、予想内だっただろ?」


ロゼは、少しだけ苦笑して言う。


「明日、三番勝負の試合をする事になった。」


すると、トキヤは険しい雰囲気だ。


「それ、実は回避が出来ただろ?」


ロゼは、驚いてから申し訳ない雰囲気で謝る。


「ごめん、そうだね。けど、僕も友達が悪く言われるのは嫌なんだ。せめて、名誉挽回を…」


「それをすると、ルイスの苦労が水の泡になるって理解してるよな。そもそも、誰の為に無能を演じてるか忘れてないか?とにかく、ルイスを出すのは反対だ。これ以上、ルイスの仕事を増やすな。」


トキヤは、ロゼの言葉を遮り真剣に断る。マッキーも、これには無言で頷いている。起きていたセロンも、苦笑している。そもそも、ルイスが無能を演じているのは3つの理由があるのだ。


一つは、敵を騙すなら味方から


二つは、親しい人が無能な程に周りは動く


三つは、ルイスだと動きにくいから


だと、トキヤ達は認識している。まあ、肝心なルイスだ黙秘するので何とも言えないのだが。


「ロゼさん、おはようございます。何か、御用ですか?あれ、トキヤさん達も何かあったんです?」


ルイスは、まだ眠たいの欠伸をして首を傾げる。


「いや、ちょっと意見を聞きに来たんだ。」


ロゼは、トキヤを見ながら言えばルイスは頷く。


「良かった、昨日の書類を取りに来たとか言われたら困る所でした。トキヤさん、書類は机ですか?」


「ああ、少しだけ減らしといたから。」


トキヤは、優しく微笑む。ルイスも、ニコニコとテントを出て隣のテントで書類仕事をする。


「話は終わりだ。」


トキヤは、深いため息を吐き出すと言う。


「待て待て、負けたらどーすんだよ。」


マッキーは、嫌な予感に思わず言う。


「龍人の2人は、確実に出てくるよね。」


セロンも、真剣な雰囲気で呟く。


「ジェイドとは、何回も戦ったけど…一度も勝てた事が無いんだ。原初の白龍が、かなり強すぎる。」


ロゼは、苦笑している。


「書類、終わりました。ジェイドさん、強いんですね。ヴァンさんも、かなり強かったですが。万全なら、ルーカスより強いでしょうね。」


葛葉が、サラッと言えば驚くマッキー頭を押さえるトキヤそしてポカーンとするロゼ。セロンは、苦笑している。そして、葛葉を近くに呼ぶと。


「ルイス、何やってんだ?」


そう、マッキーが思わず言う。


「いや、罠を仕掛けてやろうかと思いまして。まあ勿論、回避されてしまいましたけどね。」


トキヤは、深いため息をつく。


「次に、危険な事したらふさふさ尻尾モフる。」


その言葉に、葛葉はしても話さないぞと決めた。


「そうだな、ストレス解消にモフる。」


マッキーも、同意する様に言う。


「も、モフるならリル達が居ますけど?」


すると、2人は言う。


「「あれは、ルイス専用だろ。」」


葛葉は、絶対黙秘しようと決意した。


「ルイスとしては、今日まで休みですかね。取り敢えず、葛葉としてのお仕事をしてきます。」


そう言って、逃げる様にテントから出る葛葉。


「もう、既に何かやらかしてるな。」


トキヤは、深いため息を吐き出して呟く。


「え?」


ロゼは、気づかなかったがトキヤは鋭い。


「後で、ゆっくりと聞き出そう。」


トキヤは、ブラックな雰囲気で言う。


「葛葉、お仕置き確定!」


マッキーは、少しだけ怒った口調で言う。


「仕方ない、ちょっと行ってくる。」


グレンは、暗殺者になると葛葉を追いかけた。




ジェイドは、真剣な表情でヴァンの話を聞いてる。


「ふむ、まあ聞いた通りの情報だが…にしても、中立派の件は即答しなくて正解だった。」


ジェイドは、食事しながら言う。


「ん?えっと、どう言う事?」


「昨日の夜に、もう一度奇襲があったからだ。」


すると、青褪めるヴァン。


「葛葉は、もう一度奇襲される事を知っていた?」


ジェイドは、無言で頷き苦々しい表情だ。


「あの狐、優しい顔してかなり狡猾だぞ。」


「でも、いろいろと情報をくれたよ?」


ヴァンは、困惑する雰囲気である。


「葛葉は、他に目的がある事も言っている。つまりだ、利用されただけだな。勿論、食糧関係や貴族関係の厄介事が消えたのは嬉しいがな。」


ジェイドは、深いため息を吐き出して言う。


「なら、ルイスについても何か嘘が?」


ヴァンは、不安になって聞く。


「いや、おそらく真実なんだろう。ロリコンとか、食いしん坊とかは初耳だが嘘をつく意味がないからな。しかし、多分これは…上手く回避されたな。」


「ん?どう言う意味?」


ジェイドの言葉に、キョトンとするヴァン。


「そうだな、『嘘は言ってないが、本当の事も言ってない。』って事だ。よく流されてる噂に、少しだけ情報を追加しただけだ。それに、プレイヤーとしてのルイスの情報は何一つ無いだろ?」


ヴァンは、葛葉の口のうまさに呻くのだった。

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